Windows 10の「バックアップ」機能(ファイル履歴)でファイルを定期的にバックアップする

Windows 10には、ファイルやフォルダを定期的にバックアップできる「バックアップ」機能が付属している(Windows 8で導入された「ファイル履歴」を拡張したもの)。これを使ってファイルやフォルダをバックアップすることで、ミスでファイルが失われるのを防ぐことができる。

Windows 10の大型アップデート「Windows 10 October 2018 Update」を適用したら、一部のユーザーのユーザーファイルが消失してしまった、という不具合が発生したようだ。非常にまれな出来事だが、このように更新プログラムの不具合や適用の失敗において、ファイルが失われてしまうことがある。

 また通常の作業においても、間違ってファイルを削除してしまったり、別のファイルに上書きしてしまったりした経験は誰にでもあるだろう。ちょっとしたミスで、何時間もかけた作業が失われてしまうことになる。

 こうした出来事や失敗、システム障害などでファイルが失われるのを防ぐには、ファイルを小まめにバックアップしておくことだ。ただ、手動でバックアップするとなると、ついつい忘れてしまう。

 このような場合は、Windows 10に標準搭載されている「バックアップ」を利用するとよい。これは、指定したフォルダを一定間隔で、設定したドライブにバックアップするものだ。バックアップ先では特に暗号化などはされておらず、変更があったファイルがそのままコピーされるだけなので、システム障害などでPCが壊れても、別のPCでファイルやフォルダを復元することが可能だ。

 Windows 10には、Windows 7からサポートされている「バックアップと復元」機能(こちらはVHDファイル形式でバックアップを行う)も引き続きサポートされているが、こちらは最も短い期間で1日1回のスケジュールしか設定できないため、修正したファイルを少し前のバージョンに戻したいといった用途にはあまり向かない。

一方、Windows 10の「バックアップ」は、10分から1日1回(毎日)までの間隔が設定可能なので、作業途中のデータもバックアップできる。本稿では、このWindows 10の「バックアップ」の使い方を紹介する。

「バックアップ」を設定する

 Windows 10の「バックアップ」は、[スタート]メニュー-[歯車(設定)]をクリックして[Windowsの設定]画面を開き、[更新とセキュリティ]画面の左ペインで[バックアップ]を選択して設定を行う。

 「ファイル履歴を使用してバックアップ」下の「ドライブの追加」の[+]ボタンをクリックする。バックアップ先となるドライブが検索され、一覧表示される。ここでバックアップ先のディスクを選択すると、ファイルのバックアップが有効になり、自動的に実行される。バックアップを停止する場合は、[+]ボタンに変わって表示される「ファイルのバックアップを自動的に実行」の下のスイッチを「オフ」にすればよい。

 デフォルトでは、ユーザーフォルダの下を1時間ごとにバックアップする設定となっている。これを変更するには、[その他のオプション]リンクをクリックし、[バックアップオプション]画面を開き、ここで設定を行う。

 設定可能な項目は、下表の4項目だ。Windows 10の「バックアップ」の実体は、Windows 8で導入された「ファイル履歴」機能なのだが、「ファイル履歴」とは異なり、「ライブラリ」「連絡先」「お気に入り」「デスクトップ」以外のローカルフォルダもバックアップ対象にできる。ネットワークフォルダは対象外となっているので注意したい。

 Windows 8のファイル履歴については、Tech TIPS「Windows 8の『ファイル履歴』で上書き/削除したファイルを復元する」を参照してほしい。Windows 10のコントロールパネルにも「ファイル履歴」があり、「バックアップ」で設定した内容は「ファイル履歴」にも反映される(「ファイルの履歴」では、Windows 8.xと同様、設定できるバックアップ対象は「ライブラリ」「連絡先」「お気に入り」「デスクトップ」となっている)。

以下、順に設定手順を見ていく。

バックアップ用ディスクを接続する
バックアップ用ディスクを接続し、フォーマットやパーティションの作成、ドライブ名の割り当てなどを行う。

「バックアップ」を設定する(1)
[Windowsの設定]-[更新とセキュリティ]画面を開き、左ペインで[バックアップ]を選択する。

「バックアップ」を設定する(2)
右ペインの「バックアップ」の下にある「ドライブの追加」の[+]アイコンをクリックする。左ペイン側にバックアップ先にできるドライブが一覧表示されるので、ここでドライブを選択する。ネットワークドライブにバックアップしたい場合は、[ネットワーク上の場所をすべて表示]リンクをクリックすると、ネットワークドライブが検索され、バックアップ先にできるドライブが表示される。ただし、ネットワークドライブにバックアップを行うと、定期的にネットワーク帯域を占有することになるので設定に注意が必要だ。

「バックアップ」を設定する(3)
ドライブを選択すると、バックアップが有効になり、自動的に実行される。バックアップ間隔などを変更したい場合は、[その他のオプション]リンクをクリックする。

「バックアップ」を設定する(4)
[バックアップオプション]画面では、バックアップ間隔やバックアップを保持する期間、バックアップ対象のフォルダなどが設定できる。

「バックアップ」を設定する(5)
バックアップ対象のフォルダを追加するには、「フォルダーの追加」の[+]アイコンをクリックし、対象フォルダを選択すればよい。ローカルドライブならば、全て対象にできる。すでにバックアップ対象となっているフォルダを対象から外すには、対象フォルダを選択すると表示される[取り出し]ボタンをクリックすればよい。

「バックアップ」を設定する(6)
バックアップ対象フォルダの下にあるフォルダを、バックアップ対象から外したい場合は、「除外するフォルダー」でフォルダを選択すればよい。

 なお、「バックアップを保持」はデフォルトで「無期限」となっている。「無期限」に設定しておくと、コピー先のディスク容量が足りなくなった場合に、バックアップ先を変更するか、手動で古い履歴のファイルを削除するかのいずれかの操作が必要になる。

 そうではなく、ディスク不足時には自動的に古いファイルを削除して、バックアップを続ける場合は、「領域が足りなくなるまで」に変更しておけばよい。

バックアップの保持期間を設定する
デフォルトでは「無期限」になっているが、自動的に古いファイルを削除し、バックアップを続ける場合は、「領域が足りなくなるまで」に設定を変更する。

バックアップを完全に停止したり、ドライブを変更したりする場合は、[バックアップオプション]画面の「別のドライブにバックアップ」の[ドライブの使用を停止]ボタンをクリックすればよい。再度、バックアップを設定する場合はドライブの追加からやり直せばよい。なお、[ドライブの使用を停止]ボタンをクリックすると、設定がクリアされてしまうため、「バックアップ対象のフォルダー」から設定を行う必要がある。

バックアップを完全停止する
バックアップを完全に停止したり、バックアップ先のドライブを変更したりする場合は、[ドライブの使用を停止]ボタンをクリックする。

ファイルを復元する

 バックアップしたファイルは、コピー先ドライブの下に「FileHistory\<アカウント名>\<マシン名>\Data\<ドライブ名>\<バックアップ元フォルダ名>」フォルダが作成されて保存される。ファイル名にはコピーされた時間がUTCで付記されており、履歴が存在するファイルは、同じフォルダ内に「file (2018_10_12 02_18_17 UTC).txt」「file (2018_10_12 09_30_49 UTC).txt」といった具合に、異なる時間が記されたファイル名となっている。目的のファイルを探して、コピーすれば、直接復元することも可能だ。

手動でファイルを復元する
バックアップしたファイルは、コピー先ドライブの下に「FileHistory\<アカウント名>\<マシン名>\Data\<ドライブ名>\<バックアップ元フォルダ名>」フォルダが作成されて保存されるので、必要なファイルをコピーすれば、復元できる。

また、前述した通り、「バックアップ」の実体は、「ファイル履歴」機能なので、[コントロールパネル]の[ファイル履歴]を使ってファイルを復元することも可能だ。

 [ファイル履歴]画面の左メニューで[個人用ファイルの復元]をクリックすると、最新のバックアップの一覧が表示されるので、一番下の左右の矢印ボタンで目的の日時のバックアップを選択し、必要なファイルやフォルダを選択して、矢印の真ん中にある[復元]ボタンをクリックすると、ファイルやフォルダが復元される。

ファイルを復元する(1)
[コントロールパネル]-[ファイルの履歴]を開き、左ペインの[個人用ファイルの復元]をクリックする。

ファイルを復元する(2)
戻したいバックアップの日時を開き、復元したいフォルダやファイルを選択、[復元]ボタンをクリックすると、フォルダやファイルを復元できる。