iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る

スマホの普及が進み、機能や性能の成熟化が進む中で、スマホに関するニュースは今年も大きな注目を集めました。筆者が注目したポイントを中心に、2022年に話題になったスマホを振り返っていきたいと思います。

「Pixel」躍進の1年に

2022年に最も存在感が増したスマホとして、筆者が真っ先に思い浮かべるのはグーグルの「Pixel」シリーズです。

特に、7月発売のミッドレンジモデル「Pixel 6a」は、ハイエンドのPixel 6と同じプロセッサーを搭載しつつ、手頃な価格を実現。「iPhone SE」とよく似た手法による高いコスパが評判になりました。

iPhoneが上位を独占する国内のスマホ販売ランキングにおいてもPixel 6aは健闘。Pixel 7の発表時にはグーグルのCEOが来日するなど、並々ならぬ気合いを感じました。

ここ1〜2年のAndroidスマホ市場では、ファーウェイの後釜を狙う競争が起きています。その中で存在感を増したPixelシリーズは、2023年も引き続き注目の存在です。

iPhoneは「値上げ」と「品不足」が話題に

日本のスマホ市場では依然としてiPhoneが高い人気を誇るものの、2022年にはさまざまな問題も起きました。

まずは、値上げです。急激な「円安」に多くのメーカーが苦しむ中、アップルはしっかりと値上げを実施することで、ブランド力の強さを見せつける形になりました。

携帯ショップでは旧モデルの「1円販売」など値引き合戦が激化。転売目的での購入が増えたことで、政府から「転売ヤー」と名指しされるなど社会問題になりました。

新型iPhoneでは、日本では根強い人気の「mini」がなくなる一方、売れ筋となるはずのiPhone 14はマイナーチェンジにとどまり、かつてない不評が話題になりました。

一方、新機能を満載したiPhone 14 Proは品不足が生じ、「数週間待ち」が常態化。工場のある中国への依存度の高さが注目を浴びました。現在も供給は不安定で、アップルの業績が不安視されています。

為替レートの大きな変動で日本のiPhoneは「割安」になり、海外への転売が加速。アップルは利益をかすめ取られた上に、免税販売とは認められず追徴課税をされるなど、踏んだり蹴ったりの事態になっています。

欧州では電子機器への「USB Type-C」搭載が義務化され、iPhoneもその影響を受けることになりそうです。2023年の新型iPhoneへの採用はあるか、大きな注目ポイントといえます。

スマホの限界を押し広げる進化はあるか

日本では、スマホを持っていることを前提とした社会のデジタル化が進んでいます。その中で、スマホの限界を押し広げるような進化はあるか、筆者は注目しています。

2022年7月にはKDDIで大きな通信障害が発生。デュアルSIMの認知度が高まり、事業者間ローミングの議論が始まるなど、これまでの枠を超える取り組みに注目が集まりました。

iPhone 14が対応した衛星通信では、これまでの基地局がカバーできない場所で緊急通報が可能になりました。楽天モバイルは2024年以降に衛星通信の導入を目指しており、2023年はそこに向けた試験が進みそうです。

スマホの買い替えサイクルは伸びており、「長く使える」ことがますます重要になっています。キャリアモデルで不満の声が多かったOSアップデートでは、ドコモがAndroid 13を38機種に提供したことが印象に残りました。

冬春モデルの「arrows N」は、ミッドレンジでありながらリサイクル素材の採用や最大3回のOSアップデートに対応しており、こうしたトレンドを象徴する機種になりそうです。

2023年5月には「マイナンバーカード」の証明書のスマホ搭載が始まります。まずはAndroidが先行し、iPhoneは遅れる予定ですが、スマホだけで本人確認が可能になることで、遅れていた日本のデジタル化が前に進むきっかけになるものと期待しています。