iPhone SEの第3世代と第2世代、8、13 miniを比較 サイズやスペックなど特長を解説

2022年3月18日、新しい「iPhone SE」が発売された。iPhone SEとしては第3世代となるが、名称はこれまで通り、iPhone SEのままだ。

形状的には従来のiPhone 8 / iPhone SE(第2世代)と変わらず、ホームボタンに指紋による生体認証機能「Touch ID」を搭載している。しかし、見た目は変わらないものの、中身はiPhone 13シリーズと同じ高性能なCPU「A15 Bionic」を搭載し、5Gネットワークに対応するなど着実な進化を遂げている。

本記事ではiPhone SE(第3世代)を紹介しながら、小型iPhoneでどれにするか迷っている人の参考になるよう、iPhone SE(第2世代)、iPhone 8、そして小型ハイエンド端末のiPhone 13 miniとの比較を行う。

iPhone SE(第3世代)は、外観上は前世代モデルのiPhone SE(第2世代)とほぼ同じだ。ディスプレイサイズも約4.7インチで解像度も1,334×750ピクセルと差分はない。

見た目は同じだが、前面および背面にはiPhone 13シリーズの背面ガラスと同じ『スマートフォンの中で最も頑丈なガラス』を採用。CPUもiPhone 13シリーズと同じA15 Bionicになった。背面カメラは約1,200万画素の広角のみでiPhone SE(第2世代)と変わらないが、A15 Bionicの搭載により画像処理プロセッサが強化されており、iPhone 13と同じ「スマートHDR 4」や「Deep Fusion」などのiPhone 13シリーズと同じ機能が利用可能となっている。言うなれば、iPhone 13シリーズの中身をiPhone SE(第2世代) / iPhone 8に丸ごと搭載したようなイメージだ。

iPhone SE(第3世代)のディスプレイは、iPhone SE(第2世代) / iPhone 8と同じく約4.7インチのRetina HDディスプレイを搭載。解像度も同じ1,334×750ピクセルだ。iPhone 13 miniは約5.4インチ(2,340×1,080ピクセル)のSuper Retina XDRディスプレイなので、比較するとiPhone SE(第3世代)はひと回り小さいことになる。

なお、iPhone 13 miniはディスプレイ保護に強靱なCeramic Shield(セラミックシールド)を採用しているが、iPhone SE(第3世代)は非対応だ。代わりにiPhone 13シリーズの背面ガラスに使われている『スマートフォンの中で最も頑丈なガラス』を採用している。

iPhone SE(第3世代)は、ディスプレイだけではなく、本体サイズそのものもiPhone SE(第2世代) / iPhone 8と同じ約138.4×約67.3×約7.3mmとなっている。ただし、重さは約144gで、iPhone SE(第2世代)の約148gから4gほど軽くなった。

iPhone SE(第3世代 / 第2世代)やiPhone 8に対して、iPhone 13 miniは画面サイズがひと回り大きいが、画面下部にホームボタンを搭載していないため、本体サイズはひと回り小さく、本体重量も軽い。

iPhone SE(第3世代)のカラーバリエーションは、ミッドナイト、スターライト、(PRODUCT) REDの3色展開。iPhone SE(第2世代)では(PRODUCT) REDは同じだが、他の2色はホワイト、ブラックという名称で異なっている。写真で見る限りでは、ミッドナイトはやや青が強いブラック、スターライトはクリーム色がかったホワイトという印象だ。

なお、(PRODUCT) REDに関しても、赤がやや深く濃くなったように見える。このあたりはぜひ実物で確認してほしい。

iPhone SE(第3世代)では、iPhone 6sからiPhone 8で対応していた3D Touchに非対応となっている。代わりに、iPhone SE(第2世代)と同様、iPhone XR以降で採用された触覚タッチ(Haptic Touch)に対応する。iPhone 13 miniも3D Touchではなく触覚タッチ搭載だ。

3D Touchは画面を強く押し込むことで圧力を検知し、ショートカットなどの操作ができる機能だ。対して、触覚タッチは圧力を検知せず、長押しした際に軽く振動することで、押し込んだかのような感覚を得られる機能。そのため、これまでiPhone 8などで3D Touchを多用していた人は、iPhone SE(第3世代)に機種変更すると少し操作時に違和感を覚えるかもしれない。

また、iPhone SE(第3世代)は、ホームボタン兼用の指紋センサーTouch IDを搭載する代わりに、顔認証のFace IDには非対応だ。マスク姿でもロックを解除できるのがTouch IDの利点だが、iPhone 13 miniではiOS 15.4からマスクをしたままでのFace ID認証に対応した。とはいえ、Touch IDには机上に置いている場合など、画面をのぞき込まなくてもロックを解除できる利点もある。

iPhone SE(第3世代)は、CPUにiPhone 13シリーズと同じ最新チップ「A15 Bionic」を採用。Appleによると、その処理性能はiPhone 8と比べ、最大1.8倍高速になったとのことだ。iPhone SE(第2世代)に搭載されていた「A13 Bionic」はiPhone 8の最大1.4倍だったので、単純計算ではiPhone SE(第2世代)より約1.3倍高速ということになる。グラフィックを司るGPUもiPhone 8、iPhone SE(第2世代)と比べ、それぞれ最大2.2倍、1.2倍と高速になっている。

iPhone SE (第3世代)のA15 Bionic搭載により、大きく恩恵を受けているのがカメラ機能だ。仕様上は約1,200万画素の広角カメラのみでiPhone SE(第2世代)やiPhone 8と変わらないように見える。しかし、カメラ機能で多用されるニューラルエンジンがiPhone SE(第2世代)の8コアから16コアに倍増。iPhone 13シリーズと同じ「スマートHDR 4」や機械学習を用いて写真をピクセル単位で最適化する「Deep Fusion」、マルチフレーム画像処理ですべての画像に自分好みの調整を加えられる「フォトグラフスタイル」など、iPhone 13シリーズに搭載されているものと同じ機能を利用できる。

ただ、超広角や光学2倍ズームは備えておらず、機能としても「ナイトモード」や動画撮影時の「シネマティックモード」には対応していない。メインカメラのレンズも単眼なので、小型iPhoneでカメラ機能を求める人は、iPhone 13 miniのほうが良いだろう。

前世代モデルと同じく防水性能を備える

iPhone SE(第3世代)の防水・防塵性能は、iPhone SE(第2世代) / iPhone 8と変わらずIP67相当となっている。iPhone 13 miniのIP68相当には劣るが、「最大水深1メートルで最大30分間の耐水性能」があり、直接水に浸したりしない限り問題ないだろう。なお、iPhone 13 miniは「水深6メートルで最大30分間の耐水性能」だ。

こちらの記事もあわせてどうぞ

防水・防塵の等級「IPX」とは? スマホを例に注意事項や保護基準を紹介

iPhone SEとして5Gに初対応

iPhone SE(第3世代)は、SEシリーズとして初めて5Gに対応した。Sub-6のみで、ミリ波には対応していないのはiPhone 13シリーズと同じだが、iPhone 13が4x4 MIMOに対応している一方、iPhone SE(第3世代)は2x2 MIMOとなっている。

MIMO(マイモ)とはMultiple-Input Multiple-Output、つまり多重入力/多重出力のことで、4x4 MIMOなら受信に4本、送信に4本のアンテナを利用する。利用するアンテナの数が多いほど通信が安定し、データの送受信が早くなる。つまり、同じ5GでもiPhone 13 miniのほうがiPhone SE(第3世代)より通信速度が出る可能性がある。

なお、iPhone SE(第3世代)のSIMスロットはiPhone SE(第2世代)と同じで、物理的なスロットひとつだけだが、eSIMにも対応しており、nanoSIMとeSIMのデュアルSIMとなっている。ただし、iPhone 13 miniとは違い、デュアルeSIMには非対応だ。

こちらの記事もあわせてどうぞ

知っておきたい5Gスマホの基礎知識 Sub6やミリ波、注意事項など解説

こちらの記事もあわせてどうぞ

eSIM、デュアルSIM、SIMフリーなどSIMカードに関する用語の基礎知識を解説

コンパクトで高性能なiPhone SE(第3世代)

これまでiPhone SEは、廉価版というイメージもあったが、iPhone SE(第3世代)は、スペックとしてはiPhone 13シリーズとほぼ変わらなくなっている。もちろん、超広角や光学ズームがないなど見劣りする部分はあるが、お買い得感は増したと言っていいだろう。

Face IDよりTouch IDのほうが慣れている、画面のスワイプ操作よりホームボタンを使いたいという人にとっては、iPhone SE(第3世代)は待望のスマホだろう。より小さく軽いiPhoneが欲しい、小型でもカメラ性能は高いほうがいいという場合は、iPhone 13 miniのほうが向いている。iPhone SE(第3世代)の登場でさらに選択肢が広がったこともあり、自分のライフスタイルや使い方を考慮したうえで、ぜひ自分にあったiPhoneを選んでほしい。