EUのスマホ充電「USB type-C」統一法案 iPhoneユーザーからは歓迎の一方「無線充電だけになる」との予想も

USB type-C端子(上)とアップルの独自規格Lightning(ライトニング)端子

欧州連合(EU)の政策執行機関・欧州委員会は現地時間の23日、域内で発売されるスマートフォンなどの電子機器の充電用端子を「USB type-C」規格に統一する法案を発表した。これを受け、ネットニュースのコメント欄やツイッターには、充電用端子に独自規格の「Lightning(ライトニング)」を採用するアップル製スマートフォン「iPhone」のユーザーからさまざまな反響が寄せられている。

この法案によって、不要な充電器やケーブルといったゴミの削減や消費者の利便性向上を図るという。規格統一には欧州議会の承認が必要だが、2022年6月までに可決、2024年から施行される見通しとの報道もある。

USB type-Cは、小型で耐久性と汎用性が高く、高速充電も可能な設計の規格。スマホやタブレット、PCなどの電子機器で採用が進み、特に「Android OS」で動作するスマホでは、最新機種が軒並みUSB type-Cを採用して、事実上の標準規格になっている。これに対し、独自OSの「iOS」で動作するiPhoneでは、2012年に発売された「iPhone5」からきょう発売になったばかりの最新機種「iPhone13」シリーズまで、一貫してLightning端子が採用されており、法案可決後のアップルの対応に注目が集まっている。

このニュースを受け、ツイッターやネットニュースのコメント欄には、iPhoneユーザーからの反響が相次いだ。「軽いApple信者ですがiPhoneや(同社のワイヤレスイヤホン)AirPodsのLightningは本当に早くやめてType-Cにしてほしいと心から願ってます」「充電器ぐらいはそろえてほしい」「そもそも(同社のタブレットPC)iPadではUSB-Cを使用しているわけですから、なにも問題ないでしょう」など、これをきっかけにiPhoneの端子がUSB type-Cに変更されることを期待する声が多く見受けられる。

USB type-Cの採用を求めるiPhoneユーザーの声は数年前から根強くあり、最新機種のiPhone13でも採用されなかったことに落胆した人が少なくなかった。同時に発表された「iPad mini」の最新モデルでは、従来型のLightningからUSB type-Cに仕様変更されたため、「なぜこれがiPhoneじゃない?」とぼやく声もあがったほどだ。なかには、「iPhone14のUSB-C化がほぼ確実となったので13の購入は見送ることとします」といった書き込みも見られた。

また、「阪神大震災の際、各メーカーのカセットコンロで規格が違いメーカーが異なるカセットボンベとカセットコンロとの間に互換性がなく、相互に融通出来なかった。それを教訓に今は共通化されているので、携帯電話の充電口も共通化された方が望ましいか」と、規格統一によって、非常時に充電器やケーブルをほかの人と共用できることのメリットを評価するコメントも見受けられた。

好意的な受け止めの一方で、「Lightningが出た頃にはタイプCはまだなく、当時は向き(端子の裏表)を気にせず差し込めるLightningは歓迎されたはず。今後新しいコネクタが開発された時にそれすらも排除することになると技術革新が進まなくなると思う」「政治主導による技術規格の強制は将来の技術革新の足かせとなる危険があるため、EUは将来の技術革新の動向を見据えた一定の柔軟性も持たせるべき」など、法規制が技術革新に与える悪影響を懸念する声もちらほら。

アップルの対応についても、「Lightningケーブルはappleの収益に寄与してるから簡単には折れないわな」と見る人や、「次はもうワイヤレス(充電)に移行するのでは?」「充電ポートが撤去されて、無線充電Onlyになるだけな気がする」と、そもそも有線接続自体をやめるのでないかとの予想が散見された。