仕事&エンタメに無双の活躍!macOS Montereyパブリックベータを試す

アップルが秋の正式リリースを前に、Mac向けの次期OS「macOS 12 Monterey(モントレー)」のパブリックベータを公開している。仕事やエンターテインメントまで幅広くカバーする注目機能をピックアップしてみよう。

新macOSにはM1 Mac限定の機能もある

macOS MontereyもApple IDを用意して、開発中OSのパブリックベータテストの参加者としてApple Beta Software Programのページ(https://beta.apple.com/sp/ja/betaprogram/)からエントリーすれば誰でも無料で試せる。

仕事からエンターテインメントまで幅広く進化を遂げたmacOS 12 Montereyのパブリックベータが公開中だ

macOS MontereyはMac ProのLate 2013、Mac miniのLate 2014など、発売後から相当に時間の経つMacにもインストールができる。ただし2020年に発売されたApple M1チップを載せたマシンでなければ、macOS Montereyの新機能をフルに楽しむことができないようだ。

OSのパブリックベータは開発途中段階のものであるため動作にバグやエラーも多く含んでいる。パブリックベータ版を試す際は、なるべく現在メインとして使っているMac以外のサブ機に入れて試したい。Apple M1チップを搭載する最新機を複数台所有していないため、正式公開まではなかなか試せないという方のため、本稿がM1限定の新機能がどのようなものかを知るヒントにもなれば幸いだ。

アップルの最新OSのパブリックベータについては画面の写真やキャプチャを公開することは禁じられているが、本稿では取材のため特別な許可を得たうえでこれらを載せている。

システム環境設定の「共有」を開き「AirPlayレシーバー」をオンにすると、iPhoneなどアップルのデバイスからAirPlay経由でストリーミングが受けられるようになる

オーディオビジュアルコンテンツをAirPlayでMacに飛ばす

macOS Montereyを搭載するMacは、AirPlayのレシーバー機器になる。例えばiPhoneで再生する音楽や写真をワイヤレスでMacに飛ばして視聴するといった使い方がようやく可能になる。

オーディオ再生の場合はAirPlayに対応するHomePodシリーズ、サードパーティのワイヤレススピーカーにオーディオコンポーネントなどをお持ちの方には、あえてMacをオーディオ的に使う理由はないかもしれない。

ただ、最新のM1チップを搭載する24インチ4.5KのRetinaディスプレイ搭載iMacはオーディオシステムがパワフルなので、オーディオ再生機として使うメリットもある。iPhoneの写真アプリに保存した動画や写真を、AirPlayによりiMacやMac miniを経由して大きなスクリーンに映してみても楽しそうだ。

24インチのM1搭載iMacはパワフルなオーディオシステムを搭載しているのでAirPlayレシーバー機能との相性がよい

tvOS 15からApple TV 4Kに接続した大画面テレビで空間オーディオとダイナミック・ヘッドトラッキングが楽しめるようになる

M1 Macが空間オーディオ&ダイナミック・ヘッドトラッキングに対応

こちらはM1チップを搭載するMacに限られてしまう機能だが、AirPods MaxとAirPods ProとBluetooth接続をした時に、空間オーディオによる立体音楽体験と、顔の向きを変えても効果音があるべき位置に定位するダイナミック・ヘッドトラッキングが楽しめるようになる。

Apple TV+のオリジナルコンテンツで視聴してみた。リアルな包囲感は先行対応してきたiPhone/iPadで楽しむ空間オーディオ、ダイナミック・ヘッドトラッキングと同様に密度の濃い体験が味わえた。

こちらもまた最新iMacの24インチの大画面を活かせそうな機能だが、実は秋に正式リリースを予定するtvOS 15をインストールしたApple TV 4Kと、上記のAirPodsシリーズ2機種との組み合わせでも、やはり空間オーディオとダイナミック・ヘッドトラッキングが楽しめるようになる。リビングルームに4Kテレビ大型テレビがあれば、より高精細な映像とリアルな没入型3Dオーディオを掛け合わせたエンターテインメント体験を満喫できる。

ひとつのマウスで複数のMac/iPad間をまたいだ作業ができる

筆者のまわりにはMacとiPadを隣どうしに並べて、マルチディスプレイ環境で仕事をこなす人も多い。1台のマウスやトラックパッドを2つのデバイス間をまたいでシームレースに作業したいという方も多いはずだ。新世代のmacOSがこれを可能にする。

macOS Catalinaから搭載されている「Sidecar」の機能を使えば、MacとiPadによるデュアルディスプレイ、またはデスクトップのミラーリング表示ができる。macOS Montereyの新機能ではMacはMac、iPadはiPadの画面を開いたまま、各OS間を自由に往来しながらマルチタスクができる。2台のMacどうしをつないだ場合はマウスカーソルの移動だけでなく、データのドラッグ&ドロップも可能だ。

6月に開催された世界開発者会議「WWDC21」ではMacBookからiPadを操作する様子が披露された

残念ながら筆者が7月下旬にテストしたパブリックベータでは、まだ本機能が試用できる状態になかったため、あらためてチェックしてみたい。

2台のMacを横断しながらマウス操作ができる機能は、筆者が愛用しているロジクールのワイヤレスマウス「MX Anywhere 3」などサードパーティーのメーカーが先に対応したものもある。だが、例えばこのロジクールの製品はMacとiPadの間になるとカーソルの移動ができないし、マウスの対応機種が限られる。macOS Montereyの新機能は様々なマウスやトラックパッドで使えそうなので期待が持てる。

他のアプリが立ち上がっていてもキーボードのショートカット操作で素速くクイックメモが呼び出せる

デバイス間共有にも対応するクイックメモ

今秋に正式リリースを予定するiPadOS 15の目玉機能である「クイックメモ」がmacOS Montereyにも搭載される。「メモ」アプリを起動していなくても、地球儀アイコンとアルファベット「Q」のショートカットキーを同時押しするとクイックメモが立ち上がる。

iPadOSとの違いはApple Pencilによる手書き入力ができないことだ。この点を除けば、macOS版のクイックメモでもSafariやその他のアプリのリンクをメモに貼って残すことはできるし、「#」記号とキーワードを本文に入力しておけばクイックメモファイルの検索も後から手軽にできる。

メモアプリのクイックメモフォルダにはユーザーの同じApple IDでつながるiPadで作成したクイックメモも保存されている

Macの場合、Apple Pencilが使えないのであれば、いつも使っているテキストエディタアプリをクイックメモ的に使えばいいように思うが、 メモアプリを開くと作成したクイックメモがフォルダ分けされていた。ユーザーのApple IDにひも付けられているiPadで作成したクイックメモも同じフォルダの中に分類され並ぶ。さっとメモした内容が、デバイスをまたいで素速く参照できるところにクイックメモの良さが活きてくると言えるかもしれない。筆者が使っているアプリでは「GoodNotes」も同じような使い方ができるので、あとは好みで使い分ければいいと思う。

右クリックから選択箇所の「翻訳」をクリックする

日本語にも対応する自動翻訳機能が便利

macOS Montereyではシステム全体の翻訳機能を使って、様々なアプリ内のテキストが日本語と10種類の外国語との間で素速く翻訳ができる。

例えばSafariの場合、翻訳したいテキストを範囲選択してから右クリックで「翻訳」をクリックするだけ。翻訳はスピード・精度ともに実用的だ。ブラウザで外国語のニュースを読んだり、日本語で書いたメールを素速く英語に翻訳して海外のビジネスパートナーに英語のメールを送るなどに重宝する。ビジネスシーンの即戦力にもなると思う。

話者の背景をぼかせる「ポートレートモード」はM1チップを搭載するMacで利用できる

iPhone/iPadと同じ進化を遂げた「FaceTime」と「マップ」

macOSにも標準搭載されているコミュニケーションアプリのFaceTimeには、次期iOS/iPadOSと同様に複数の通話参加者と一緒にテレビ番組や映画、音楽をシェアしながら楽しめる「SharePlay」機能が加わる。

Macの場合は、ビジネスシーンでFaceTimeを使う機会が増えることも期待される。WindowsやAndroidを利用する通話相手にも、FaceTimeでつながるためのリンクが送れるようになるからだ。アップル外プラットフォームのデバイスでは、ブラウザで参加する形になる。

内蔵スピーカーによるFaceTimeの通話音声は空間オーディオ対応になり、タイル状に表示される画面に表示される人物の位置と同じところからこえがきこえてくるようなリスニング感が得られるという。

通話音声の「声を分離」して、周囲の環境ノイズを相手に聞こえなくする「声を分離」が便利だ。話者の背景にぼかしを加える「ポートレートモード」も実用的だと思う。ただ本機能は残念ながら、高度な画像信号プロセッサを統合するM1チップを載せたMacでのみで使えるようだ。ビデオ通話の利便性を高める機能が揃うことで、FaceTimeがMicrosoft TeamsやGoogle Meet、Zoomなど先行するライバルに追いつけるのか注目したい。