VRアーティスト せきぐちあいみ氏に聞く、Samsung SSDが刺激するクリエイターの「制作の源」

クリエイターにとってのSSD選びとは

多くのクリエイターにとって、作品の制作に不可欠な存在であるPC。映画、TVドラマといった映像作品、漫画の原稿、小説、雑誌の記事といった出版物、DAWソフトウェアを使った楽曲制作、CADソフトウェアを使った製図や設計、デザインなど、とにかく、あらゆる制作の現場でPCが使われている。

作品に特殊な効果を求めて、“敢えて”アナログな手法を取り入れることもあるだろう。しかし、「何かを制作をすること」は、現代では、ただちに「PCを使うこと」を意味しているといっても過言ではない。

当然、PCのスペックが作業効率に影響することになる。CPUの処理性能やRAMの容量は当然重要だが、「SSDの品質」は、データの読み書きの速度や、作品のアイディアやアーカイブをPC内に留めておける量に直結するため、作業効率だけでなく、クリエイターの創造性にも影響を与えるパーツと言えるだろう。

Samsungによるプロジェクト「BOOST CREATIVITY SESSION」は、クリエイターとSamsung製SSDのコラボレーション企画だ

Samsungによるプロジェクト「BOOST CREATIVITY SESSION」は、クリエイターとSamsung製SSDのコラボレーション企画。制作の現場にSamsungのSSDを導入することで、クリエイターが持つ可能性を最大限まで引き出し、創造力をサポートするというコンセプトだ。

そんなBOOST CREATIVITY SESSIONの第一弾は、VRアーティストのせきぐちあいみ氏と、9月にメジャーデビューアルバム「NEE」をリリースする、エキゾチックロックバンドNEE(ニー)のコラボレーション企画。

「FUTURE STAGE」と銘打ち、せきぐちあいみ氏がVR空間に作り上げたステージ上でNEEが演奏をするという内容の、“現実と仮想現実がコラボレーション”したプロモーションビデオを制作している。

せきぐちあいみ氏にPCとSSDの使用感についてインタビューし、併せて撮影現場を取材する機会を得たので、その模様をお届けしたい。

今回のプロジェクトで、せきぐちあいみ氏が使用したワークステーション「WA9A-E211/XT」

PCがスムースに動作すれば、想像力をセーブしないで済む

プロジェクトの実施にあたって、せきぐちあいみ氏が使用したのは、ツクモ製eX.computerブランドの「WA9A-E211/XT」というワークステーションだ。せきぐちあいみ氏の使用を想定して、標準構成から一部をカスタマイズし、CPUがAMD Ryzen 9 5900X(12コア/24スレッド、3.7GHz)、GPUがAMD Radeon RX 6700 XT、マザーボードがASRock X570 Steel Legend、メモリー容量が32GB(DDR4)、SSDはSamsung 980 PRO(2TB)というスペックに仕上げている。

――今回のプロジェクトにあたって、せきぐちさんが制作されたステージは、バンドNEEの楽曲や、彼らの雰囲気ともすごくマッチしているように思いました。ステージのコンセプトを教えてください。また、制作はどのように進めましたか?

せきぐちあいみ氏「誰かとコラボレーションした制作は、私にとって初めての挑戦でした。NEEさんともイメージを共有しながら、『これまでに誰も見たことのない世界を作り上げていく』ことを意識しています」

――ネオンサインなどの書き込みがかなり細かく、大きなデータ容量や処理性能を使いそうに思えました。

せきぐちあいみ氏「『Tilt Brush』というソフトを使って制作していますが、VRアートの場合、『エフェクト』を多用すると、容量も増えますし、要求される処理性能も大きくなっていきます。ステージでは、見る角度によってエフェクトとエフェクトがたくさん重なり合うので、PCのスペックが低いと、コマ落ちを起こしてしまいます。でも、今回使ったツクモのワークステーションは、CPUのコア数が多く、SSDも超高速タイプだったので、すごく快適でした。これまでも、かなり高いスペックのPCを使っていましたが、『これほど違うものなんだ!』と思うほど快適でした」

せきぐちあいみ氏は、「PCのスペックで、これほどの違いが出るとは思っていなかった」と話す

――搭載しているSSD「Samsung 980 PRO」の読み書きの性能はいかがでしたか?

せきぐちあいみ氏「読み込みもすごく速かったですよ。正直なところを言うと、PCのスペックが変わって、制作にそこまで大きな違いが出ることは、期待していなかったんです。というのも、Tilt Brushで作るデータ容量は、『最大でもこのくらい』という認識があったからです。

ところが、読み書きがすごく速くて、エフェクトを多用してもまったくコマ落ちが起きないPCを使ったことで、『実は、これまで自分の中でセーブしていた部分がある』ということにも気づきました」

――セーブというと?

せきぐちあいみ氏「VR作品を作っているときって、時間を忘れて熱中していて、どんどん書き込んで、フィールドを広げていってしまうんですよね。でも、『これ以上書き込むと、コマ落ちしそうだから、いったんページを変えよう』と、仕切り直しをするというか……ところが今回のスペックだと、思うままに書き込んでいってもコマ落ちする気配がなくて、どんどん世界を広げていけました。その感じに、すごくワクワクしました」

――なるほど。より高い性能のPCを使ったことで、無意識に持っていた心理的な壁が消えたというか。

Samsung SSD 980 PRO 2TB(MZ-V8P2T0/IT)。PCI Express 4.0(Gen 4)に対応するNVMe M.2接続のSSDだ。日本国内では、250GBモデル(MZ-V8P250B/IT)、500GBモデル(MZ-V8P500B/IT)、1TBモデル(MZ-V8P1T0B/IT)も販売されている

――技術の力で創造性が広がるというのは、素晴らしいことですね。特に今回のPCに搭載されている「Samsung SSD 980 PRO」は、PCI Express 4.0に対応していて、PCI Express 3.0時代のストレージと比較すると、違いも体感しやすいかと思います。ところで、PC選びで心がけていることはありますか?

せきぐちあいみ氏「私の仕事は、PCをイベントに持ち込むことも多いので、PCを選ぶ際は、まずノートPCの中から選択肢を絞ってきました。ノートPCといっても、毎回、『これが最強!』と思えるハイスペックなものではありますが。でも、これほどの違いが出るということを実感してしまうと……」

――制作用のワークステーション、イベント用のノートPCなど、使い分けもアリかもしれませんね。それにしても、今回のプロジェクトもそうですし、VRの活用シーンはどんどん増えていますね。

せきぐちあいみ氏「最近、海外のVRつながりの友人たちと、同じVR空間に入って、ひたすらお絵描きをし続けるという遊びをしました。それがすごく面白くて。VRという言葉は難しそうに思われることもありますが、実はPCに慣れていないお年寄りでも楽しめるものだと思っています。リアルの世界で友達が集まるように、同じVR空間に一緒に入って、一緒に遊ぶことが普通になっていったり、そんな広がり方をしたら面白いだろうなと思っています」

VR空間上で演奏するNEE、躍動感もナチュラル

今回の撮影は、360度のグリーンバックの中でバンド NEEが演奏し、せきぐちあいみ氏によるVR空間と合成する手法で行なわれた。スタジオの複数箇所に設置されたモニター上には、VR空間と合成された映像がリアルタイムで映し出され、撮影スタッフは、モニターをチェックしながら指示を出すという、珍しい撮影風景が見られた。

VR空間を確認しながら制作を進めるために、スタジオには複数のモニターが設置された

バンドNEEの楽曲は、オリジナリティーに溢れた歌詞や進行、エネルギッシュなのにどこか飄々とした雰囲気も併せ持つライブパフォーマンスで注目を集めるバンドで、川谷 絵音氏が注目のバンドに挙げたり、綾野 剛氏がSNSで紹介したりと、無名ながらに各音楽配信サービスでも注目を集めている。

せきぐちあいみ氏によるVRのステージは、ネオンや宙に浮かぶ光るオブジェクトを多用し、近未来感を持ちながらも、どこかアジア的なエキゾチック感を持つ独特のものだが、NEEの楽曲や、彼ら自身が醸し出す雰囲気ともマッチしていた。

「NEEさんは、4人それぞれが独特の雰囲気を持っているのに、4人揃うと不思議な統一感があるんですよね。自分の中で完結するのではなく、『彼らがそこに立つことで完成するステージ』も、製作中に意識した点です」(せきぐちあいみ氏)