AppleがHuluに対し「App StoreのサブスクリプションAPI」への特別なアクセス権限を与えていたことが明らかに

2020年8月から独占禁止法に関して法廷闘争を繰り広げているAppleとEpic Gamesですが、この裁判の中で公開されたメールから、Appleがストリーミングサービスの「Hulu」に対し、App StoreのサブスクリプションAPIへのアクセスを特別に許可していたことが明らかになりました。Appleは「全てのアプリを公平に取り扱う」としていますが、一部の開発者には特別な権限が与えられていたようです。

AppleのApp Store担当ヴァイス・プレジデントであるマット・フィッシャー氏とプログラム管理ディレクターのシンディ・リン氏との間でやり取りされたメールが裁判資料として公開され、これにより「HuluはApp StoreのサブスクリプションAPIにアクセスできるアプリ開発者の1つであった」ということが判明しています。AppleはこのAPIをApp Storeにネイティブに組み込む以前の2015年頃から、サブスクリプションのアップグレード・ダウングレードをサポートするためにHuluにアクセスを許可していたとのこと。

しかし、HuluはこのAPIを使用してApp Storeから加入したサブスクリプションを自動的にキャンセルする方法をユーザーに提供しており、Hulu独自の課金システムに誘導していたことも判明しています。このことに気づいたAppleが問題に対処した結果、2018年頃にはHuluは自動キャンセル機能を失っています。

なお、フィッシャー氏を含めたAppleの関係者はこの問題に長らく気づいておらずAppleとは無関係のアプリ開発者のツイートにフィッシャー氏が目をつけたことから問題が顕在化したとのこと。

フィッシャー氏は「Appleは一部の開発者に特別なアクセス権限を与えているのか?」との問いに対し、「ノー」と答えていますが、「いくつかの機能を提供する前に、少数のグループでテストを行いたい場合もある」とも述べています。

Appleは以前、Amazonに対しApp Storeの手数料を半額にするという特別な契約を定めていたということが明らかになっています。「Appleはすべてのアプリを平等に扱っている」とするAppleのティム・クックCEOの主張が、いくつかの証拠により否定される事態となっています。