Microsoftが2兆円超で音声技術のNuanceを買収、ヘルスケア事業に参入

Microsoftが2021年4月12日に、音声認識技術やAIの開発を手がけるNuanceを197億ドル(約2兆1573億円)で買収したことを発表しました。

Nuanceは、Appleの音声認識アシスタントであるSiriの基礎となったテクノロジーを開発した企業として知られているソフトウェア会社です。4月11日に、海外メディアのBloombergが「MicrosoftがNuanceと買収交渉を進めている」と報じていました。

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4月12日に正式発表されたMicrosoftのNuance買収では、MicrosoftはNuanceの株式を1株当たり56ドル(約6100円)で買い取ることで合意したとのこと。これは、同社の株式が4月9日に付け​た終値に23%の買収プレミアムを上乗せした価格で、買収総額はNuanceの負債も含めた197億ドルに上ります。この買収額は、2016年にMicrosoftがLinkedInを262億ドル(当時のレートで約2兆8000億円)で買収して以来最大の買収額でした。

Microsoftは今後、Nuanceが持つAI技術や医療技術を生かして、ヘルスケア事業へと参入するとしています。Microsoftのサティア・ナデラCEOはTwitterで、「AIはテクノロジーの最優先事項であり、ヘルスケアはその中で最も緊急性の高い応用分野です。当社は今後、Nuanceとともに先進的なAIソリューションを医療の専門家たちに届け、より良い意志決定とより有意義なコミュニケーションを創出していきます」と述べました。

また、Nuanceのマーク・ベンジャミンCEOは発表声明の中で、「過去3年間にわたり、Nuanceは高度な会話型AIやエンタープライズ向けAI、アンビエントなソリューションへの需要が加速しているヘルスケアの分野に注力してきました。この機会をつかむには、より手ごろな価格で人と医療を結ぶことができるプラットフォームが必要不可欠です。その上で、インテリジェントなクラウドベースサービスを大規模に展開していて、テクノロジーで変革をもたらすことについての情熱を我々と共有しているMicrosoftとの協力は明確な答えでした。そのため、この度の統合は私たちを目標へと駆り立て、これまで当社をサポートしてくれた株主に確かな価値を提供するまたとない好機となるでしょう」とコメントしました。