Ryzen 7搭載の高性能モバイルノート、ASUS「ZenBook 14 UM425IA」

ASUSは、AMD製APUを採用する薄型モバイルノートパソコン「ZenBook 14 UM425IA」を発表した。従来モデルとなる「ZenBook 14 UM431DA」の後継モデルとして位置付けられており、最新の「Ryzen 7 4700U」の採用などさまざまな仕様強化を実現することで、高性能モバイルノートパソコンとしての魅力が高められている。

今回、最上位モデルとなる「ZenBook 14 UM425 UM425IA-AM016TS」の試用機にいち早く触れる機会を得たので、ハード面を中心にチェックしていく。税別価格は131,637円だ。

ZenBookシリーズらしい高品質な筐体

ZenBookシリーズは、ASUSのノートパソコンの中でもプレミアムモデルとして位置付けられており、“禅”の精神をコンセプトとして性能面だけでなく本体デザインにもこだわった製品となっている。今回取り上げる「ZenBook 14 UM425IA UM425IA-AM016TS」(以下、UM425IA)もシリーズ同様のこだわりの高品質筐体を採用している。

基本的には直線的かつ平面的な、シンプルな筐体となっている点は、これまでのZenBookシリーズから変わっていない。あわせて、シリーズおなじみの、天板の同心円状ヘアライン処理は、UM425IAにもしっかり受け継がれている。ただ、従来モデルでは天板中央にASUSロゴを置き、同心円ヘアラインも中心を起点として描かれていたのに対し、UM425ではASUSロゴおよび同心円ヘアラインの起点が、天板を正面から見て右にずれた位置へと移動している。これによって左右のバランスが変化し、見る角度によって光の反射具合が変化してさまざまな表情を見せる点と相まって、より印象深いデザインになったと感じる。

筐体素材は従来同様にアルミニウム合金を採用。側面付近にはダイヤモンドカット加工を施すとともに細部まで精密に作り込まれており、プレミアムモデルらしい上質な筐体となっている。カラーはパイングレーを採用。従来モデルのシルバーと比べると重厚な印象が強くなっており、こちらも好印象だ。

本体サイズは319×210×14.3mm(幅×奥行き×高さ)と、14型ノートパソコンとしてはトップクラスのコンパクトさとなっている。また、14.3mmという薄さによって、ブリーフケースのような薄型のカバンにも問題なく収納できる。

重量は公称1.25kg、実測では1,236.5gだった。14型モバイルノートパソコンとしてはもう少し軽いと嬉しいが、まずまず納得の範囲内であり、大きな負担なく持ち歩けるだろう。合わせて、落下や振動、温度など米国国防総省が定める調達基準「MIL-STD-810G」に準拠した堅牢性試験をパスする優れた堅牢性も確保している。実際に筐体をひねってみてもほとんど歪みを感じることがなく、安心して持ち歩けると言える。

フルHD表示対応の14型ディスプレイは画面占有率90%の狭額ベゼル仕様

ディスプレイは、フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の14型液晶を採用している。パネルの種類は非公開だが、IPSパネルと同レベルの十分広い視野角が確保されている。パネル表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みは非常に少なく、文字入力作業も快適に行なえる。

発色の仕様についても非公開となっているが、従来モデルではsRGBカバー率100%の広色域表示に対応するパネルを採用していたため、おそらくUM425IAも同等のパネルではないかと思われる。実際に表示される映像は、光沢液晶に比べると鮮烈さに欠ける印象はあるものの十分に満足できる鮮やかさであり、写真や動画の表示でも不満を感じることはなかった。

このディスプレイは、上下左右の4辺が狭額ベゼル仕様となっている。ベゼル幅は左右が2.5mm、上部が8.9mm、下部が11.1mmとなっており、ディスプレイ面に対する画面占有率は約90%に達している。従来モデルも十分な狭額ベゼル仕様で画面占有率は86%に達していたが、UM425IAはさらに狭額ベゼル化が突き詰められたことで、筐体の小型化にも貢献している。

本体の幅を最大限活用したフルピッチキーボードを搭載

キーボードはアイソレーションタイプの日本語キーボードを採用している。このキーボードは、本体の左右側面ギリギリまで幅を活用した新仕様のものとなっている。主要キーのキーピッチは19.05フルピッチを確保しており、Enter付近も含めて均一のピッチとなっている。ASUSの既存14型モバイルノートパソコンのキーボードではEnterキー付近の一部キーのピッチが狭くなっているものも見られるが、UM425IAではFnキー列やカーソルキーを除いてそういった部分は皆無。そのため、タッチタイプも非常に快適だ。

ただ、Enterキーの右にもキーを配置している点は気になる部分。本体の幅を最大限活用することで新たにキーを配置できるようになったためと考えられるが、できればEnterキーの右にキーを配置するのは避けてほしかった。どうしても追加のキーを搭載したいなら、キーピッチを狭めてもいいのでEnterキーからもう少し離れた場所に配置するといった配慮がほしいところだ。

キートップは0.15mmの凹みが用意されている。見た目にはほぼフラットといった印象だが、フラットなキートップのキーボードと比べると明らかに指あたりが良い。加えて、ディスプレイを開くと本体後方が持ち上がり、キーボード面に3度の傾斜が確保される。こういった点も快適なタイピングを実現する要因の1つになっていると言える。

キーストロークは1.4mmと、薄型筐体の割には十分な深さが確保されている。タッチは適度な硬さでしっかりとしたクリック感もあり、打鍵感はなかなか良好だ。個人的には柔らかめのキーが好みだが、全体的には扱いやすいキーボードと感じる。

このほか、標準でキーボードバックライトを搭載しているため、暗い場所でも快適な入力が可能だ。

ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。横長で面積が広く、ジェスチャー操作もサポートしており使い勝手は申し分ない。クリック操作時のコツコツという音がやや大きいという気もするが、大きな不満なく利用できるだろう。

上位モデルらしくスペックは充実

今回試用したモデルはUM425IAの最上位モデルということもあって、スペックは申し分ないものとなっている。

CPUは、AMD製APUのRyzen 7 4700Uを採用。メモリは省電力かつ高速なLPDDR4X-3733を16GB、内蔵ストレージは容量512GBのPCIe 3.0x2/NVMe SSDを搭載する。SSDがPCIe 3.0x4準拠ではないという点は少々気になるが、容量は必要十分だろう。

無線機能は、IEEE 802.11ax準拠の無線LANとBluetooth 5.0を標準搭載。生体認証機能はWindows Hello対応の顔認証IRカメラを標準搭載。指紋認証センサーは非搭載だ。

外部ポートは、左側面にHDMI出力、USB 3.1 Gen2準拠USB Type-C×2、右側面にmicroSDカードリーダーとUSB 3.0×1をそれぞれ用意。2ポート用意されているUSB Type-CはいずれもDisplayPort Alternate ModeおよびUSB PD対応で、USB Type-Cケーブルを利用したディスプレイ接続や、本体への給電および内蔵バッテリの充電が可能。付属ACアダプタだけでなく、出力電圧5V~20Vの汎用USB Type-C ACアダプタやモバイルバッテリなどを利用した給電が可能だ。

付属品は、出力65WのACアダプタと、USB Type-C接続のオーディオアダプタ、USB Type-A接続のGigabit Ethernet対応有線LANアダプタとなる。ACアダプタはサイズがやや大きく、重量は実測で214.3gとやや重いため、携帯性重視なら小型軽量の汎用USB PD対応ACアダプタを活用すればいいが、その場合でも出力60W以上のものを利用するようにしたい。

ところで、UM425IAには、通常の1年間のメーカー保証に加えて、ASUS独自の保証となる「ASUSのあんしん保証」が無料で付帯する。このASUSのあんしん保証は、故障原因について一切不問で、破損や故障などの修理費用のうち送料、検証費、作業費、部品代の20%と消費税の負担のみで修理が受けられるというものだ。ユーザーの不注意による破損や故障、天災による故障など、理由を問わず保証を受けられるという点は、非常に安心と感じる。

しかも、通常このような保証は有償の場合が多いが、無償で付帯するという点も、ユーザーにとってかなり嬉しいと言える。なお、ASUSのあんしん保証は有効期限が1年間で、1回のみの利用となり、製品購入後30日以内にMyASUSで登録する必要がある。

第10世代Core i7を上回る性能を発揮

では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2177」、「3DMark Professional Edition v2.12.6964」、Maxonの「CINEBENCH R20.060」の3種類で、比較としてパナソニックの「Let's note LV9 CF-LV9KDNQR」の結果も加えてある。

結果を見ると、多くの項目でレッツノート LV9の結果を上回っていることがわかる。以前までは、CPUの処理能力に関してはIntel製CPUのほうが優れているということが多かったものの、Ryzen Mobile 4000シリーズに関してはそういった図式は当てはまらないと言える。そのため、CPU処理能力に関しての不安は全くないだろう。

また、もともと定評のある統合グラフィックス機能によって、3DMarkの結果はいずれもLet's note LV9を大きく凌駕。ゲーミングパソコンに匹敵するほどではないが、軽めのゲームであれば十分快適にプレイできそうだ。

ところで、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X13 Gen1(AMD)」のレビュー記事でも紹介しているように、Ryzen Mobile 4000シリーズはバッテリ駆動時にCPUの動作クロックがかなり低く抑えられるようで、その仕様はUM425IAでもほぼ同じだった。PCMark 10実行中のCPUの動作クロックは1.5~2.4GHz付近で推移しており、結果もかなり低くなった。Office系アプリやWebアクセスなどはそれほど気にならないと思うが、写真のレタッチや動画編集のような作業ではバッテリ駆動時に動作がやや重く感じる場面がありそうだ。

次に、バッテリ駆動時間だ。UM425IAは容量67Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、公称の駆動時間は約21.1時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、14時間59分を記録した。公称に比べるとかなり短いと感じるが、それでも15時間近い駆動時間は十分満足できるもので、外出先で利用する場合でも安心だ。

コスパに優れるモバイルノートパソコンとしてお勧め

UM425IAは、CPUにAMDのRyzen Mobile 4000シリーズを採用するとともに、本体の小型化や新仕様キーボードの搭載など従来モデルからの強化を実現し、魅力が大きく向上している。いちばんの注目ポイントはRyzen 7 4700Uの採用で、Intel製CPUに負けない十分な処理能力や描画能力を備えており、性能面での不安は全くない。

また、ZenBookシリーズらしいスタイリッシュな筐体と、堅牢性に優れ携帯しやすい薄型軽量筐体、十分満足できるバッテリー駆動時間で、常に持ち歩くモバイルノートパソコンとしても十分な魅力がある。もちろん、14型と一般的なモバイルノートパソコンよりも大型のディスプレイを搭載しているため、自宅やオフィスで利用するメインのノートパソコンとしても問題なく活用できる。

そのうえで、価格はIntel製CPU搭載モデルよりも安価となっているため、コストパフォーマンスの面でも大きな魅力がある。スタイリッシュかつ高性能で、コストパフォーマンスにも優れるモバイルノートパソコンを探している人にお勧めしたい。