1滴の血液から2時間以内に99%の精度でステージ0まで判別する東芝のがん検出技術

昨年11月、東芝から発表されたがんの検出技術が注目を集めている。開発を担当した東芝研究開発本部の橋本幸二さんに話を聞いてみた。

「プロジェクトは、2014年に始まりました。マイクロRNAという、がん細胞から分泌される物質を精査したら、がんを発見する新たなツールができるのではないかと」

なぜ血液からがんを判別できるのか。

「国立がん研究センター(現・東京医科大)の落合孝広先生を中心に、5万人以上の血液を調べた結果、健常者とがん患者でマイクロRNAの種類と量が異なることが分かりました。今回マイクロRNAを検出する独自技術を開発し、13種類のがんを99%の精度で識別できることを確認しました」

血液以外からマイクロRNAは採取できないのか?

「尿や唾液に存在していることも報告されていますが、血液ならば健康診断への組み込みが容易なので、将来、この検査が取り入れられれば早期発見に効果的かと思います」

期待が高まるが、実用化はいつ頃になるのか?

「これからさらに研究を進めなければなりませんが、遠くない将来、がんによる死亡者を減らすことに貢献できればと思います。また、誰でも手軽に検査を受けられるよう、検査時間の短縮や検査価格の低コスト化を進めていきます」

町の診療所でも手軽に導入できるよう、測定の装置はコンパクトにできている。装置が普及し、検査のコストが下がれば、検査の頻度や回数が増え、がんの早期発見につながるだろう。