量子コンピューターに革新を起こす発見が「機材の爆発」から生まれる

ペニシリンやポリエチレンの発見のような、偶然による発見が現代の科学技術を大きく進歩させてきました。従来のPCよりも約1億倍高速とされる量子コンピューターの技術を大きく進歩させる可能性を秘めた発見もまた、実験室で起こった偶然によって生み出されたことが報告されています。

2020年3月11日(水)、ニューサウスウェールズ大学の量子工学教授、アンドレア・モレロ氏を始めとする研究チームがNatureに発表した論文で、「nuclear electric resonance(核電気共鳴)」の発見が報告されました。核電気共鳴はノーベル物理学賞受賞者であるニコラス・ブルームバーゲン氏によって1961年に予想されていましたが、約60年間、誰も発見することができなかった現象でした。

モレロ氏は「核電気共鳴は、磁場を発生させずに、単一の原子核の磁極を制御できる方法です。この発見は、量子コンピューターを構築するための新たな道筋ができたことを意味しています」と語っており、量子コンピューター技術のさらなる発展を示唆しています。