世界最軽量の870gを実現した14型の「ASUS ExpertBook B9450」はここがスゴイ

ASUSは16日(台湾時間)、台湾にある本社でCES 2020にて発表した新製品群の詳細を紹介するAPAC地域向けの記者説明会を開催した。

ほぼ1日かけて、製品のデザインや特徴について詳しく説明が行なわれたが、PC Watchでは製品別にピックアップして特徴をレポートしたい。本記事では、ビジネス向けの「ExpertBook B9450」を取り上げる。

2020年の主力製品となるExpertBook B9450

説明会の冒頭で紹介されたのが、ビジネス向けのExpertBook B9450だ。このところどのメーカーもゲーミング向け製品に注力しており、ASUSとて例外ではない。そのなかでもあえてビジネス向けのExpertBook B9450を主軸に説明会が展開されるのは、APACにおいてワークスタイルの変革が顕著になってきているからだ。

日本でも働き方改革が進んでいるなか、人々はよりフレキシブルな働き方を求めつつあるという。ノマドワーカーや出張族といった、外出先で仕事をこなしたい人は、とにかく可搬性を重視する。世界最軽量の870gを実現したExpertBook B9450は、まさにそうしたユーザーのニーズに応えた製品となる。

日本の担当者も、春商戦にあわせて本製品を強く訴求していきたいとする。「ビジネスユーザーがもとめる要素を詰め合わせ、高い次元の製品バランスを達成しながら、870gという軽量性を実現している。しかも同等のスペックを競合他社と比較した場合、かなり安価な値付けにする予定で、価格競争力も高い。2020年はまず本製品を主力に推していきたい」とした。

ExpertBook B9450の特徴は、シンプルで直線的な建築物をモチーフとしたソリッドなデザイン。角やエッジ部分は、建築物のジオメトリパターンからインスピレーションを得てデザインがスタートしたという。そして、14.9mmという厚みのなかに、フルサイズのHDMIポートやUSB Type-Aといった、ビジネスで多用するインターフェイスを備える。

特徴的なのは、「Micro HDMI端子を利用したGigabit Ethernetポート」だ。形状こそMicro HDMIなのだが、付属のドングルによってGigabit Ethernetに変換して、有線LANに接続できるという。一見「なぜややこしくした」というふうに思われるかもしれないが、これもビジネスユーザーの声に応えた結果だ。

というのも、有線LANに接続したい場合、USBの有線LANアダプタを利用する手もあるが、MACアドレスはそのUSBのアダプタ固有のものとなるため、機器のMACアドレスと紐付けて管理したい企業の管理者にとって悩みのタネとなる。このMicro HDMI形状の端子からは内蔵のNICからそのままGigabit Ethernetの信号が出ているため、MACアドレスはこのExpertBook固有のものとなり、管理が容易になるのだという。

筐体で特徴的なのは、マグネシウムリチウム合金を全面的に採用している点。主流のノートはアルミニウム筐体だが、マグネシウムアルミ合金は30%同じ強度で30%軽い。一方、マグネシウムリチウム合金はこれよりさらに16%軽量で、強度が38%高いとしており、堅牢性と軽量性を両立させた。

ちなみに、堅牢性はこうした筐体のみならず、基板のショックアブソーバーの実装や、ポート類/ヒンジ類の補強バーの増加などによって、さらに高めており、MIL-STD 810G準拠の堅牢性を達成したという。

870gモデルでも10時間駆動可能

CPUには第10世代Coreプロセッサ(Comet Lake)を採用。cTDPにより、10Wと25Wを切り替えられ、これによってバッテリ寿命を延長している。加えて、動画コンテンツではリフレッシュレートを最大(60Hz)、静止画コンテンツでは内容に応じてリフレッシュレートを可変にすることで消費電力を抑えるパネルセルフリフレッシュレート技術も備える。

バッテリは独自の「Smart Charging」技術により寿命を延ばすことができ、一般的な充電アルゴリズムと比較してチャージサイクルを延長させた。付属のACアダプタもクレジットカードよりフットプリントが小さい60Wタイプのものとなっている。なお、さらに薄いタイプも第2四半期中にオプションとして用意する。ちなみに充電はUSB Type-Cで、USB PDをサポートする充電器であれば、理論上はどの市販品でも対応可能としている。

バッテリ駆動時間は、33Whバッテリ搭載モデル(870g)が約10~12時間、66Whバッテリ搭載モデル(995g)が約20~24時間となっている。急速充電により、容量80%まで前者は55分、後者は62分で充電可能としている。

もう1つ技術面で特徴的なのは冷却機構だ。ファンを含めた冷却ユニットはASUS PRO B9440と比較して25%小型化されたが、ファンの回転の遠心力によって飛ばされる風の向きを考慮して、放熱フィンを斜め向きに配置させることにした。フィンの数も20%増の100枚とし、放熱面積を30%増加させ、放熱効率が向上。これにより騒音を28dBに抑えたとしている。

さらに、キーボード面には比率60%、底面には比率70%にもおよぶ面積のグラファイトシートを貼りつけ、熱を横方向に拡散。熱が一点に集中することを回避したとしている。

WebカメラはIRカメラ搭載でWindows Helloに対応。これに加えて、指紋センサーも備える。さらに、狭額縁で画面占有率94%におよぶ「NanoEdge」ディスプレイ、4アレイマイクの搭載、Harman/Kardon協業のスピーカー、画面を開くと5度筐体が持ち上がるErgoLiftヒンジ、0.15mmの窪み/ストローク1.4mm/ピッチ18.4mm/打鍵耐久1,000万回のキーボードの搭載などが特徴としている。

本機はテンキーを備えていないが、タッチパッド右上をタッチすると数字がバックライトで浮かび上がりテンキーとして使える「NumberPad」を搭載。ファンクションキーは標準でホットキーとして機能するが、Fn+Escで入れ替え可能。また、ユーティリティ上から入れ替えの設定も可能だ(この場合電源を落としても入れ替わったままとなる)。UEFI BIOSもグラフィカルなものとなっている。

軽量ながらデュアルSSDが可能など、ハイスペックを実現

ちなみにCPUなどの構成は地域によって異なるが、日本では1モデルのみ投入される予定となっている(ただしその仕様は未定)。最大構成は第10世代Core i7 vPro、メモリ16GB、4TB SSD(M.2形状、2TB×2)、1,920×1,080ドット表示対応14型液晶、OSにWindows 10などを搭載する。

インターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.1、HDMI出力、Gigabit Ethernet(Micro HDMI端子から変換)、Wi-Fi 6、Bluetooth 4.2、音声入出力などを備える。本体サイズは320×202×14.9mm(幅×奥行き×高さ)。