Windows 7はついにサポート終了OSへ……結局どうなる? どうすればいい?

2020年1月14日。ついにWindows 7のサポートが終了となる。2009年の発売以来10年以上に渡って第一線で使われてきたOSが、1つの節目を迎えたことになる。すでにWindows 10へ移行した人がほとんどだと思われるが、未だWindows 7のまま、という人のために、現在の状況と対応をまとめてみた。

より強いメッセージに

サポートが終了した今、Windows 7はどうなっているのだろうか?

実は、本稿を執筆しているのはちょうど一週間前の1月7日のため、実際にどうなっているのかは確認できていない。

しかし、Windows XPのときもそうだったように、サポートが終了してもすぐに大きな変化は訪れないだろう。

普通にPCの電源は入るし、Windwos 7も起動する。今までのデータは当然そのまま残っているし、アプリも普通に使えるはずだ。

サポート終了=セキュリティ更新プログラムの提供終了

なので、Windows 7自体が使えなくなるわけではない。

ただし、移行を促すメッセージは、より強いものに置き換わるはずだ。

2019年の6月以降、Windows 7ではサポート終了を伝えるメッセージが、サインイン時やロック解除時に表示されるようになっていた。

2020年1月15日の12時以降には、このメッセージが次のように「サポート対象外」とはっきりと表示され、メッセージ画面も従来のウィンドウ表示から全画面表示へと切り替わる。

いよいよサポートが終了したことを実感させられるわけだ。

もちろん、以前と同じように「今後、このメッセージを表示しない」をクリックすれば、メッセージの表示はオフにできるし、Windows 7を今まで通り使い続けることは、不可能ではない。

Windows 7を取り巻く周りの対応が変わる

しかし、昨日(2020年1月14日以前)と今日(2020年1月14日以降)では、Windows 7に対しての周囲の見方や対応が大きく変わる。企業によって実際には細かな差があるにせよ、一般的な対応を以下で予想してみよう。

Microsoft
万が一、Windows 7に脆弱性が発見されても公表されず、セキュリティ更新プログラムも基本的に提供しない

アプリベンダー
Windows 7向けの新アプリの提供予定なし。既存のアプリもWindows 7で使う限りはサポートなし

周辺機器メーカー
Windows 7向けドライバーは開発終了。新製品はもちろん、既存製品もWindows 7での動作保証されない

各種サポート窓口
Windows 7を利用している場合、問題の切り分けや操作方法の説明が困難。問い合わせ対象外になる可能性大

このほか、本誌のような情報サイト、書籍、雑誌などで、Windows 7関連の話題が徐々に減っていったり、困ったときに相談してきた友人から「Windows 7かぁ、じゃあ、分かんない」と切り捨てられたり、あまりいい状況ではなくなるはずだ。

法人向けサポートが有償ながら継続、そのコストは?

コンシューマーは2020年1月14日で、ばっさりとサポートが打ち切られるWindows 7だが、法人向けは少し状況が異なる。

Microsoftは法人向けのサービスとして「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU:Windows 7 Extended Security Update)」という有料のサービスを提供しており、これを契約することで2023年1月までWindows 7のサポートが受けられるようになっている。

しかし、このサービスは正直、安くない。

正確な価格は公開されておらず、パートナー経由での問い合わせが必要だが、3年間延長するためのトータルコストは150ドルほどと予想される。これは、Windows 10にアップグレードするための価格とほぼ同等だ。

Windows 7でないと動かないアプリが業務で必要だったり、工場の制御端末がWindows 7で作り込まれていて、Windows 10に置き換えられなかったりと、どうしてもやむを得ない事情がある場合に利用するサービスと言える。

ちなみに、
「法人向けに更新プログラム提供するなら、重大な脆弱性が発見されたときにコンシューマー向けにも提供されるはず……」
などと考えたくもなる。

実際にWindows XP向けには、サポート終了後も「例外措置」として、2017年5月、2017年6月、2019年5月と3度ほどセキュリティ更新プログラムが提供された経緯がある。

しかし、これと同じ「例外措置」を期待するのは危険だ。

特に、今回は法人向けながら、「有料」でセキュリティ更新プログラムを提供するサービスが実施されることを考えると、同じものが「無料」で提供されることは、むしろ考えにくいのではないだろうか。

もちろん、社会的な影響が大きいと判断されれば「例外措置」に踏み切る可能性はゼロではないが、「例外」と判断される頻度は、Windows 7の方がWindows XPよりも個人的には少ないのではないかと考えている。

ダウンロード? パッケージ? DSP? どれでアップグレードすればいいの?

Windows 7からWindows 10への移行方法に関しては、コンシューマー向けに関しては3種類がある。それぞれについて見ていこう(価格は2020年1月8日現在)。

Microsoft Storeや、Amazon.co.jpでオンラインコード版のライセンスを購入することで、プロダクトキーが発行される。

インストールのためのメディアは提供されないので、Windows 10のダウンロードのウェブサイトからオンラインでインストールするか、いったんダウンロードして自分でメディアを作成する必要がある。

現在使っているPCをアップグレードする場合は、「今すぐアップグレード」からアップグレードアシスタントをダウンロードして、画面の指示に従ってアップグレードする。

別のPCをアップグレードしたり、新規にWindows 10をインストールしたい場合は、「ツールを今すぐダウンロード」をクリックし、メディアクリエイションツールでインストール用のUSBメモリーなどを作成する。

アップグレードも新規インストールも可能で、32bitか64bitかも自由に選択できる。とにかく、すぐにアップグレードしたい人向けの選択肢となる。

パッケージ版の中身は基本的にはダウンロード版と同じだが、物理的なパッケージを購入する形態となる。

同梱されるUSBメモリーにインストール用のプログラムが格納済みとなるため、ダウンロードする手間を省ける。高速なインターネット回線がない環境では、パッケージ版を購入するのがお勧めだ。

ダウンロード版と同様、アップグレードも新規インストールも可能で、32bit、64bitも自由に選択できる。

DSP版は、PC本体やPC用パーツに対してライセンスが付与される形態となる。このため、パーツ(上記の例では同梱されるLANアダプター)とともに購入するだけでなく、必ず一緒に使うことが前提となる。

価格の安さを重視するならLANアダプターとのセットでも構わないが、実用性を重視するなら、SSDやCPU、メモリーなどとのセットで購入するのがお勧めだ。PCショップなどであれば、豊富なパーツから組み合わせを選択できる。

また、DSP版は新規インストールのみで、既存のOSからのアップグレードはできない。データを自分で待避したり、新しいPCにインストールしてデータを自分で移行する場合の選択肢となる。32bit版と64bit版が別々に提供されるため、購入時に間違えないよう注意する必要もある。

DSP版はパッケージ版に比べると若干安いが、上記の注意点があることを踏まえた上で購入する必要がある。

なお、Windows 10は発売から1年間、2016年7月29日まで、無償アップグレード期間が提供されていた。この期間に一度でもアップグレードを実行したことがあるPCの場合は、現在でも無償でWindows 10にアップグレード可能だ。

先にも紹介した以下のサイトから、アップグレードするといいだろう。

移行前にやっておきたいこと

Windows 10のインストーラーは完成度が高いので、ほぼ失敗することはない。しかし、万が一を考えてデータをバックアップすることは重要だ。また、Windows 10ではOneDriveやMicrosoft StoreなどのクラウドサービスがOSに統合されているため、これらのサービスを利用するための準備も整えておく必要がある。

バックアップ

データのバックアップにはいろいろな方法がある。シンプルなのは、外付けHDDやNASに文書や写真などのデータをコピーしておくことだ。

Windows 7のバックアップ機能を使ってデータをバックアップすれば、Windows 10からバックアップしたデータを簡単に復元できる。

大手メーカー製のPCを使っている場合は、現在のPCにバックアップ用のアプリがプリインストールされている場合がある。これを利用して、外付けHDDなどにデータをバックアップしておくのも手だが、その場合は同じバックアップソフトがWindows 10に対応しているかどうかを事前に確認しておこう。Windows 10に対応していないと、Windows 10移行後にバックアップデータを読み取れない可能性もある。

バックアップのお勧めは、クラウドサービスを使った移行だ。詳しくは、以下の記事でも紹介しているので参照してほしいが、この場合、利用するクラウドサービスの容量に注意が必要だ。OneDriveの場合、無料の容量は5GBなので、バックアップ用途にはかなり物足りない。

Office製品のアップデートも兼ねてOffice 365を契約するか、有料版のOneDriveの契約を検討するといいだろう。

空き容量の確認

Windows 10のメディアをダウンロードする場合もそうだが、オンラインでWindows 7からWindows 10へアップグレードする場合は、現在のPCのストレージの空き容量は重要だ。

最低でも32bit版で16GB、64bit版で20GBの空き容量がないと、アップグレードすることができない。

外付けHDDを使ってアップグレードすることもできるが、不要なファイルやアプリをなるべく削除し、アップグレードのための空き容量を確保しておくといいだろう。

Microsoftアカウントの取得

Windows 10では、OSの機能としてOneDriveが統合されている上、Microsoft Storeからアプリをダウンロードすることができる。こうしたサービスを活用するためにも、あらかじめMicrosoftアカウントを作成しておくといいだろう。

Microsoftアカウントは、いろいろな方法で作成できるが、シンプルなのは、OneDriveや、Outlook.comのウェブページから新規にアカウントを作成する方法だ。

Officeアプリの確認

2020年1月14日は、Windows 7のサポート終了日となるが、同年の10月13日は「Office 2010」のサポート終了日となる。

このため、Windows 7でOffice 2010(それ以下のバージョンはすでにサポート切れ)を利用している場合は、Office製品の移行も検討しなければならない。現在のバージョンを確認し、移行の必要があるかどうかを確認しておこう。

OneDriveの容量も1TBに増えるので、今なら「Office 365 ProPlus」(月額1300円)への移行がお勧めだ。

その他

そのほか、移行時や移行後に役立ちそうな情報を過去の記事からまとめておく。一度、目を通しておくことをお勧めした。

Windows 7はもう限界

以上、Windows 7のサポート終了となる2020年1月14日を迎え、移行の必要性や移行方法などをあらためて紹介した。

多くの人が、すでにWindows 10へと移行していると思われるが、家族や親類にまだWindows 7のサポート終了を知らない人がいたり、知っていてもどう対応すればいいのか分からない人がいたりする可能性もある。

Windows XPの際も、サポート終了後に大きな脆弱性が発見されたことを考えると、Windows 7を使い続けることは、大きなリスクにほかならない。

今はまだ困らないかもしれないが、次に困るタイミングは、まず間違いなく致命傷になる。Windows 7はもう限界なので、さすがに引退させてあげるべきだ。