元祖狭額縁PCが「ほぼ画面」の領域へ。デルがXPS 13 2020年モデルを米国発表

大手PCメーカーデルがCES 2020の開催に先駆けて、13.4インチ/縦横比16:10の画面(間違いではありません)を搭載する高級モバイルノートPC、『XPS 13』2020年モデルを米国で発表しました。

米国などでの販売日は1月7日で、価格は999.99ドルから。本体色はブラックとホワイトの2種類となります。

最大の特徴は、昨今のトレンドとなっている4辺ナローベゼル(狭額縁)設計の画面パネルの採用などにより、最大91.5%もの画面占有率を実現した点。XPS 13は2015年版で3辺ナローベゼル画面を導入した元祖的存在のモデルですが、今回は「4辺すべてがほぼ画面」とも呼べるデザインとなりました。

上写真は本機こと2020年モデル(左側)と現行の2019年モデル(右側)の比較ですが、底面側ベゼルが大きく"削られた"ことが一目で判別できます。

また、基本的な仕様に関しては、2019年にフルモデルチェンジを果たした360度ヒンジモデル『XPS 13 2-in-1』とかなりの点を共通化しています。

例えばCPUは、インテルの第10世代Coreでも"Ice Lake"版になりますし(現行のXPS 13 2019年モデルは同じ第10世代でも"Comet Lake"版のほうです)、画面のアスペクト比も2-in-1と同じ16:10と"若干縦長"になりました(現行モデルは16:9)。

本体サイズは、295.7×198.7×14.8mm(幅×奥行き×厚さ)で、重量は約1.2kg(タッチ非搭載モデル)。またタッチ搭載モデルでも約1.27kgと、公称値で70gしか重くならないのも隠れたポイントです。

なお現行モデルでは、302×199×11.6mm(同)、最軽量構成で約1.23kg。幅を6mmほど削減し、画面が縦方向に伸びた分を底面側ベゼルのナロー化で相殺した格好となっています。

2-in-1(2019年版)では296×207×13mm、最軽量構成で約1.33kg。奥行きに関しては(当然ですが)本機のほうがコンパクトとなります。

接続端子は2-in-1と同じく、Thunderbolt 3×2基(左右に1基ずつ)+マイクロSDカードスロットという構成に。現行モデルからはUSB Type-C×1基が減った格好となっており、このあたりは残念なところです。

なおTB3端子は(当然ながら)従来機と同様に、電源入力(USB PD対応)と映像出力(DisplayPort Alt Mode)を兼ねる「全部入り」タイプです。

また2-in-1と共通化が図られたのは、キーボードのデザインもです。現行モデルと比べるとキーキャップの拡大が図られ、また本体幅左右ギリギリまでを使ったデザインとなりました。またタッチパッドも面積が拡大されています。

ただしキーの支持機構に関しては、米国版Engadgetによると2-in-1とは異なっているとのこと。というのも2-in-1は、『MagLev』と呼ばれる磁気浮遊式キーを採用するため。これは磁力によってキーを浮上させる、薄型設計のキーです。

対して本機では、従来モデルと同様のシザー式懸架機構が採用されている模様。

注目となるディスプレイパネルはナローベゼル設計のみならず、画質にも配慮。昨今デルが前面に展開する高画質仕様『DELL CINEMAテクノロジー』とDolby Vision仕様のHDR映像ソースにも対応。さらに最大輝度は500nit(ニト)と高め。

解像度はモデルによって選択可能で、3840×2400の『4K+』と1920×1200『フルHD+』の2種。実際にはさらにタッチパネルの有無を含めた3種類(4K+はタッチ対応のみ)となります。

色域に関しても、すべての仕様でsRGB比100%をカバー。4K+版はDCI-P3比でも90%とさらに広く、VESAのHDR表示仕様『DisplayHDR 400』認証もパスしています。コントラスト比はフルHD+版が1800:1で、4K+版が1500:1。

CPUは上述の通り、Ice Lake版の第10世代Core i系。性能と発熱、消費電力の目安となるTDP値15WのUシリーズを搭載します。現状では『Core i3-1005G1』『Core i5-1035G1』『Core i7-1065G7』の3種類です。

RAMはIce Lake機では定番となる超高速タイプ『LPDDR4X-3733』を採用。増設や交換は不可能なタイプで、容量は4GB/8GB/16GB/32GB(32GB版は後日追加)からの選択式です。

ストレージはPCI Express 3.0 x4接続のNVMe SSD。容量は256GB/512GB/1TB/2TBからの選択式です。

代表的な基本仕様は、

本体サイズ.....約295.7×198.7×14.8mm(幅×奥行き×厚さ)

本体重量......約1.2kg(非タッチ画面)、約1.27kg(タッチ画面)

ディスプレイ......13.4インチ/16:10、1920×1200または3840×2400、Dolby Vison対応IPS液晶(最大輝度500nit)

CPU(例)......インテル製Core i7-1065G7(TDP 15W、4コア8スレッド、標準1.3GHz、ターボ時最高3.9GHz)

GPU(例)......CPU内蔵(Iris Plus Graphics、またはUHD Graphics)

RAM......最大32GB/LPDDR4X-3733(増設・交換不可)

ストレージ......最大2TB SSD(NVMe/PCI Express 3.0 x4)

バッテリー容量......52Wh

バッテリー駆動時間......非公開

USB端子......Thunderbolt 3兼用USB Type-C×2(映像出力とUSB PD給電対応)

拡張端子......マイクロSDカードスロット、3.5mmヘッドセットジャック

Wi-Fi......Wi-Fi 6(Killer Wi-Fi 6 AX1650または同AX500-DBS)

生体認証機能......指紋認証+顔認証(Windows Hello対応)

標準搭載OS......Windows 10 HomeまたはPro 64bit版

といったところ。

また、Linuxを用いるソフト開発者向け構成として、Ubuntu 18.04LTSをプリインストールする特別構成モデル『XPS 13 Developer Edition』が用意されます。

このように、2020年版のXPS 13は、象徴的だったナローベゼル設計を発展させ、さらに内部設計を一新した(そして多くの部分で2-in-1と共通化を図った)フルモデルチェンジとなりました。

とにもかくにも、正面から画面を見た際の「ほぼすべてが画面となる衝撃」は、2015年版を最初に見た際の驚き再び......と言っても過言ではありません。歴代モデルの傾向から鑑みるに、日本でも(時期は不明ながら)発売はほぼ確実と思われる2020年版XPS 13。全般的にスタイルが洗練されている昨今のPCの中にあっても、強烈に実機を見てみたい、触ってみたいと思わせる仕上がりです。