どこにでも連れ歩きたくなるポータブルSSD「Seagate One Touch SSD」を使って分かったこと

あまりの軽さに驚いて、仕事用につい衝動買いをしてしまったNECパーソナルコンピュータのモバイルPC「LAVIE Pro Mobile」(以下、LAVIE)。持ち歩くことに主眼を置いていたこと、家には母艦となるPCがあること、さらに大容量ストレージのNASを組んでいることから、購入時に256GBのストレージを選んでしまったのだが、それが甘かった。

思い切ってモバイルPCを購入するもストレージ容量をケチる

取材先で撮影した写真をLAVIEに取り込み、その場で編集。帰宅後に、データを移動させるという運用を考えていたのに、面倒くさくなる&うっかり作業を忘れてしまうため、データはLAVIEにたまりっぱなしだ。アッという間に、ストレージの残容量が50GBを切ってしまった。

そこで、「ポータブルHDDを持ち歩けばいいじゃないか!」と思いつき、容量1TBのエレコム「ダンボーHDD」を購入した。

とりあえず、ダンボーHDDを持ち出して、出先で落ち着いたタイミングを見計らってLAVIE内のSSDを圧迫していた写真類をじゃんじゃんコピーした。仕事として完了したものもあるので、消してしまっても(あるいは消えてしまっても)良いのだが、万全を期して、データのコピーが完璧に終わったことを確認してから削除する、というのが私の流儀だ。

しかし、データのバックアップに思いのほか時間がかかってしまった。これでは困る。時間がかかることは、私の中で「面倒くさい」に分類されてしまい、いずれはやらなくなるからだ。

しかも、物理的にも重い。回転するディスクを内蔵しているため、仕方がないといえばその通りなのだが、重いし意外とかさばる。いやされる見た目をしているので、作業中に和むというメリットはあるのだが……。

外付けSSDという選択

以上の経緯を踏まえ、少なくともストレージの速さは欲しい。そして、持ち歩くことを考えれば、できれば小型のものがいい。ポータブルSSDなら、こういったニーズを満たしてくれるのではないか、ということでSeagate Technologyの外付けUSB 3.0ドライブ「Seagate One Touch SSD」を取り寄せた。

パッケージを開けたところ、クレジットカードを少し小型化したサイズの小さなケースのようなものが出てきた。マッチ箱を一回り大きくしたもの、といったほうが感覚的に近いかもしれない。これで1TBの容量があるのだ。

サイズは75(幅)×55.5(奥行き)×10(厚さ)mm、重量はドライブが約47g、ケーブル込みでも約63gとダンボーHDDよりはるかに軽い。

本原稿を執筆するために、ダンボーHDDとOne Touch SSDでどのくらい転送速度に差があるのかを比較した。コピーするのは、23.7GBの写真類を収めたファイルだ。公平を期すため、HDDまたはSSDからファイルのコピーが完了したら、デバイスを取り外してLAVIE再起動、他方の外付けストレージに同様にコピーする、ということを行った。

結果は以下の通りだ。

“爆速”というほどではないが、そこは“チリツモ”だ。日々の作業が少しでも速くなるのだから、この選択は正解だったといえるだろう。

内蔵ストレージと同じ使いかたが吉

いわゆる“データ単価”でいえば、1TBのOne Touch SSDは税込みで1万8000円前後と、ダンボーHDDの2倍近い価格の開きがある。「短縮できる時間は、たったの4分の1かぁ~」とか、「チリツモって言ったって、投資金額を回収できるまで、何回作業するのよ」とか、PDCAを回しながら批判したくなる御仁もいることだろう。

実は、データのバックアップより、“普段の作業”にこそSSDの真価はあるのだ。つまり、通常であれば、PCストレージ内に保存したデータ……例えば、写真や動画を編集するものだが、SSDであれば、外付けであってもスピーディーに作業ができる。私のLAVIEは、内蔵ストレージがSSDだから、One Touch SSD上での作業が速いかどうかの判断がつきづらいのだが、言い換えてみれば、どちらのストレージで作業しても違和感がないくらい“速い”ということだ。

撮った写真はLAVIE本体ではなく、最初からOne Touch SSDに保存して、そのまま外付けSSDで編集作業をする、というのが個人的にベターな使い方なのではないか、と感じた。

最終的には、クラウド上のドライブにもバックアップを取っておくのだが、できればそれは自宅など、いくら“ギガ”を消費しても問題ない場所で行いたい。その作業をする前に、どのPCでも同じデータを見られるようにするのに、One Touch SSDは有効だ。

しかも、この小ささである。これならカバンの中に入れておいてもかさばることはない。むしろ、入れているのを忘れてしまうのではないかと思うほどだ。

しかし、使っていて気になるところもいくつかある。

デザイン性も付加価値も良好だが気になるところも

本製品で、もう1つ気に入っているところがある。それはデザイン性の高さだ。プラスチックは軽さに貢献するし、メタル調は質感の高さに貢献するが、どちらも一長一短がある。片やチープに見えてしまうし、他方は軽さが犠牲になってしまう。

その点、One Touch SSDの上面のテクスチャーは珍しいファブリック素材だ。1TBモデルでは、ツイード調のホワイトとブラックの2パターンだが、500GBモデルではグリーン、レッド、ブルー、ホワイト/グレーの迷彩柄が加わる。仕事用、プライベート用と分けても良さそうだ。少々、値が張る(500GBモデルは実売9800円前後)が、作業効率の良さに加え、所有欲を満たしてくれるところがいい。

ただ残念なのは、本体がこんなに小さいのに、付属のUSBケーブルがかさばるということだ。長さは約22cmと短いが、巻取り式にするなどしてほしかったというのが正直な感想である。また、2019年の新製品なのにも関わらず、USB端子がmicro B(USB 3.0)→USB Type-Aという、古さを感じさせるポートなのも気になる。

製品パッケージにはWinowsだけでなく、macOS(10.12 Sierra以降)への対応も記されているが、近頃のMacBookシリーズはThunderbolt 3(USB Type-C)端子しか備えておらず、別途変換アダプターが必須になる。さらに購入時はexFATになっているため、用途によっては再フォーマットが必要だ。

本製品ならではの特典としては、Adobeの「Creative Cloudフォトプラン」2カ月分、および写真整理/同期サービスの「Mylio Createプラン」1年間利用権が付属する他、Toolkitソフトウェアに含まれる自動同期ソフト「Sync Plus」が利用可能だ。

別途ユーザー登録は必須だが、Sync PlusはPCとSSDの双方向で同期が行え、削除したファイルのアーカイブなどが設定できるので、有効に活用したい。

まとめると、「使わないかもしれない」というときでも気軽に持ち歩ける携帯性と、外付けであることを忘れてしまうほどの軽快なスピードは、実に魅力的だ。PCの内蔵ストレージがHDDの人には、ぜひとも試してもらいたいと思った一品である。