7nmプロセスで独自設計の次世代ARMプロセッサ「Graviton 2」をAmazon Web Servicesが発表

Amazonのクラウドコンピューティング事業であるAmazon Web Services(AWS)のイベント「AWS re:Invent 2019」が2019年12月2日から6日まで、ラスベガスで開催されます。その中で行われたAWSのアンディ・ジャシーCEOによる基調講演で、AWS独自設計の次世代ARMプロセッサ「Graviton 2」が発表されました。

ジャシーCEOによると、新しいGraviton 2は、64ビットARM Neoverseコアに基づいた7nm製造プロセスによるAWS独自設計のプロセッサで、クラウドコンピューティング向けに最適化されているとのこと。浮動小数点演算処理では前世代チップから性能は2倍に向上し、最大でA1インスタンスの7倍もの性能を発揮するそうです。なお、Graviton 2に搭載されるトランジスタ数は3000万個だとのこと。

チップを独自開発する利点についてジャシーCEOは、「より多くの機能を提供するために、チップを設計することを決定しました。多くの企業が長い間x86アーキテクチャのチップを使用していましたが、コストパフォーマンスを向上させたいと思い、ARMアーキテクチャのチップを独自開発しました」と基調講演で語り、「それでも、IntelとAMDは引き続きAWSの主要なパートナーです」と述べました。

ジャシーCEOはさらに、AWS Nitro SystemをベースにGraviton 2を搭載したインスタンス「M6g」「R6g」「C6g」を発表しました。AWSによると、新インスタンスの仮想CPUの処理性能は全世代から2割から4割向上し、ビデオエンコーディングのベンチマークスコアも26%アップ。ケイデンスの論理シミュレータXceliumによるベンチマークスコアは54%も向上したそうです。

なお、Amazon Elastic Load Balancing、Amazon ElastiCache、Amazon Elastic Map ReduceなどのAWSサービスは、2020年にGraviton 2インスタンスによる本番環境に移行する予定とのことです。