インテル、PC向けの5Gモデム開発でMediaTekと協力

クアルコムとの競走に敗れ、スマホ向けモデム(通信用チップ設計)事業の大半をアップルに売却したインテル(Intel)。一方で次世代モバイル通信5Gについては、PCやIoT、自動運転車向けの設計能力を保持する方針を示していました。今回、インテルは新たなパートナーとしてMediaTekと提携し、PC向けの5Gモデム開発に挑むことを発表しました。

2019年に登場した5Gスマホのほとんどはクアルコム製のチップを搭載するなど、5Gモデム市場はクアルコムが席巻している状況。MediaTekは低価格なスマホ向けの5Gモデムを発表しており、2019年内の市場投入を見込んでいます。同社にとって今回の提携は、PC市場向けへの参入の道を開き、市場を拡大することになります。

両社の提携の成果は、2021年の初頭に5Gモデム搭載のノートパソコンとして市場に投入される見込み。DellやHPといったメーカーが採用することになるとしています。また、両社はFibocomと協力して、M.2モジュール(SSDなどによく使われる拡張カード規格)に搭載できる5Gモデムの開発も進めます。

インテルは一度は5G事業を縮小していますが、すべてのものがインターネットにつながる時代、PCにとっても5Gが重要なことはかわりません。MediatTekの技術を得ることによって、自社での開発に膨大な費用を掛けることもなく、PC向け市場に5Gを導入することができます。

5Gモデムで先行しているライバル、クアルコムはマイクロソフトとタッグを組み、インテルの本丸であるPC向けのプロセッサー技術でも同社を脅かしつつあります。インテルとMediaTekの協力は、両社にとってのライバルであるクアルコムを強く意識したものと見ることができます。