驚きのバッテリーライフに進化した瞳AF、ソニー「α6600」はオールランドなミラーレス一眼

現在、デジタル一眼のトップをひた走るソニーのAPS-Cサイズセンサー機が「α6xxx」シリーズ。今までに、「α6000」「α6100」「α6300」「α6400」「α6500」「α6600」と6機種が出ている。

では、この中で生産完了したモデルは?

答え:α6300。

これ、追いかけてないと分からないよねえ。さらに発売日順に並べよう、となるとまたややこしい。

答え:α6000→ α6300 → α6500 → α6400 → α6100 → α6600

って、面白がっててもいけないので整理しよう。

数字の大きさがポイント。

α6000〜6400まではボディ内手ブレ補正なしでエントリー系のコストパフォーマンスが高いモデルと思っていい。

最新モデルはα6100(2019年10月25日発売)だ。

α6500以上はボディ内手ブレ補正を内蔵した上位モデル。最新モデルはα6600(19年11月1日発売)で、α6500では未搭載だった瞳AFの動物対応やリアルタイムトラッキングAFを搭載してよりAFに磨きをかけてきた。

今回使ってみたのはそのα6600だ。

α6600は見ての通り、上面がフラットでコンパクトなミラーレス一眼。シンプルかつコンパクトで高性能なのがソニーらしいところだ。

一見、α6500と同じように見えるが、良く見るとちょっと違う。グリップ部のデザインが見直され、より深くしっかり持てるようになったのだ。

これは大事な点。

グリップが大きくなった分、中にはいってるバッテリーも大きくなった。50グラムほど重くなったけれども、バッテリーの持ちは体感できるほど上がってる。このボディでこれだけ持つのかーとびっくりするほど。

CIPA規格でα6500は約310枚(ファインダー使用時)、α6600は約720枚。2倍以上である。

USB充電ももちろんできるので(ただし、これから主流になるUSB Type-Cではなく、microUSBなのは残念)、予備バッテリー持たなくてもいいかも、というレベルだ。これは良い。

グリップが大きくなったのは上から見ると分かる。

上面は撮影モードダイヤルと電子ダイヤル。C1とC2のカスタマイズできるボタンがあるのは従来通りだ。

後ろから見るとちょっと横長。

左肩にはEVFを搭載。ボディがコンパクトなためEVF自体のサイズはそれほど大きくはないが十二分に実用的だ。

電子ダイヤルはい一応二つあるが、このクラスなら背面のロータリーダイヤルではなく、上面に二つほしかった。グリップした状態で自在に回すには、背面ロータリーダイヤルはちと操作性が良くない。グリップ部にもダイヤルがあれば、とは思う。

では撮ってみよう。

やはり今年のαはAF回りが気になるよねってことで何はともあれその話。フォーカスエリアはワイドからフレキシブルスポットまでいろいろあるが、基本はワイド。これに「AF時の顔/瞳優先」をオンにするのがデフォルトだ。

ソニーは瞳AFとリアルタイムトラッキングAFに磨きをかけてきた。

瞳を見つけると緑色の小さな枠が現れる。AF-Cモードだと被写体が動いていてもきちんと追いかけ続ける「リアルタイム瞳AF」がウリ。これは良い。

 

背面モニターはチルト式。2つのヒンジでうまいこと背面を迂回して上から顔を出す仕組み。自撮り対応だ。

今回は装着してないが、こうすることでアイピースカップを装着したとき、それをうまく迂回してくれるわけである。

で、自由に自撮りしていいよといったら、レンズを持ってカメラを縦にしたのだ。面白いのでそのまま採用。セルフタイマーを使えばこの方が持ちやすそうだ。

確かにこういうのはありかもなあ。

他のモデルと同じく、人物と動物は排他的なので、動物瞳AFを使うときは検出対象を切り替える必要がある。

人も動物も撮る、という人はこの切り替えをどっかのボタンに割り当てるのがおすすめ。わたしはC4ボタンに割り当てたほか、Fnメニューからでも呼び出すようにした。

で、猫撮影。

しっかり瞳を捉えてるのがよく分かる。

猫は目をつぶってたり明後日の方向を向いてることが多いので瞳AFだけでは心もとないことも多いので、検出対象の指定がなくてもいいように、瞳以外でも動物を認識できるように進化していくことを期待したい。

AF性能シリーズ3番目は「リアルタイムトラッキングAF」。

これ、検出対象が「動物」のときは使えない。この機能を使うときは「人物」にしておくこと。ちょっとした罠だ。

今回、プラレールを走らせてテストしてみた。

このように小さな被写体の方が自動追尾は難しい。

AFをAF-Cにし、リアルタイムトラッキングAFをオンにして撮りたい被写体をタッチしててやると、このような枠が出て追いかけてくれる。

途中で迷うことなくしっかりプラレールの車両の先頭を追い続けて連写してくれた。

シャッタースピードがちょいと控えめだったので少しブレているけれどもフォーカスはきちんと合ってる。

連写速度は「Hi+」時で最高11コマ/秒。もちろんAF追従だ。

背面モニターはタッチAFに対応しているので、カメラ任せのAFが狙ったところにいかなかったら、タッチしてリアルタイムトラッキングAFに切り替える、的な運用ができてこれはなかなか実用的だ。

ファインダーを覗いているときもタッチパッドAFを使えば被写体を直接指定できる。

この賢くて速いAFのおかげでスナップ撮影にすごくいい。動いている被写体もとっさに捉えてくれる。さすがである。

ソニーならではの安定の画質がそこに

それ以外の画質もチェックしておこう。

いつものガスタンクを。

レンズは18-135mm F3.5-5.6のレンズキットにも採用されている高倍率ズーム。

まあとくにいうことはないです。

色ののりも良く、ソニーらしい爽やかさだ。

もうちょっと寄った絵も、ということでライオン。

消防服着ちゃうとちょっとかわいくなっちゃうけど、珍しい姿だったのでつい撮ってしまった。

ただ、このクラスのカメラだともうワンランク上のレンズを付けたくなるかも。というわけで、新発売の「SEL1655G」(16-55mm F2.8 G)も使ってみた。このレンズが良いのだ。

全域F2.8通しで広角から中望遠まで賄ってくれるこのレンズは実に写りも良いし扱いやすい。

手ブレ補正は持たないが、α6500や6600ならボディ内手ブレ補正を搭載するので問題ないだろう。

ボケもきれいなので何気ないスナップに最適だ。

ISO感度はISO100からISO102400まで。ISO51200からは拡張ISO感度となる。α6500に比べてISO感度の上限がすこし上がった。

ISO4000で撮った夜景はこんな感じ。

あと、作例はないけど、動画はもちろん4K/30に対応でS-Logにも対応していて、HDR用のピクチャープロファイルにHLGも用意されてて、この辺はソニーならではのハイエンドな仕様だ。

動画時のAF駆動速度や被写体追従感度も指定できる。

α6500のマイナーチェンジモデルって感じだけど、より本格的な撮影に向けたバッテリー駆動時間の大幅な強化、しっかりしたグリップ、2019年型ソニーカメラに欠かせない進化したAF、ガチの動画機能と中身はさすがの新鋭機。

タッチパネルのUIが相変わらずでタッチAF以外の使いどころがない、メニュー項目が多すぎて目がチカチカするなど相変わらずの点はあるけれど、携帯性が高く、ミラーレス一眼としてはバッテリーの持ちが良いスナップ用カメラとして、ガチで動画を撮影しない人にも魅力的だ。