レノボの新旗艦モバイルノートは4辺狭額縁で奥行197mm。Yoga S940日本版発表

レノボ・ジャパンが、コンシューマー向け高級PC『Yogaシリーズ』の新製品4モデルを発表しました。中でも最注目となるであろうモデルが、14インチ画面で1.2kgのモバイルノートPC『Yoga S940』です。発売日は11月15日、販売価格は税別22万9800円から。

特徴は、底面側も狭額縁な4辺ナローベゼル液晶の搭載により実現した、14インチノートとしては異例の20cmを切る奥行きと、すっきりとした画面周りのデザイン。
さらに4K・HDR対応、最大輝度500nitという高画質液晶や、CPUに「Ice Lake版の」第10世代Core i7を搭載。バッテリー駆動時間も公称で最長9.2時間など、モバイルノートPCとして最上位クラスの性能を確保します。

さらに画面保護ガラスには、PCとしては非常に珍しい2.5D加工の曲面タイプを採用するなど、デザイン面でも新しいアプローチを導入。同社のビジネス向け軽量モバイル『ThinkPad X1 Carbon』に対応するコンシューマー向けモバイル――言わばもう一つのX1 Carbon――とも呼べる気概とグレードの製品です。

なお、Yogaブランドのモバイルノートと聞くと、Yogaヒンジ(360度回転ヒンジ)を搭載したモデルを連想する方もおられるでしょうが、本機はいわゆるクラムシェルタイプのモデル。これは2018年に、Yogaシリーズの位置づけがコンシューマー向け高級PCへと変更になったため。
なお若干余談ですが、本機は米国などでは『IdeaPad S940』として販売されています。

注目ポイントの一つが、冒頭でも紹介した液晶パネル。解像度は4K(3840×2160)、HDR映像ソースはDolby Visionに対応し、さらに最高輝度は、モバイルノートPCとしては非常に明るい500nit(ニト)。さらにHDR表示品質はVESAが規定する『DisplayHDR 400』認証をパスするなど、モバイルノートPCとしては非常に豪華な仕様です。

このあたりを見る限り、ThinkPad X1 Carbonの4K液晶モデルが採用するパネルにほぼ近いグレードと思われます。同機の液晶品質はすでに定評があるため、これが採用されるのであればかなり期待できます。

こうした高画質液晶パネルを活かすべく、CPUにはモバイルノートPC用としてグラフィックス速度に優れるIce Lake版Core i7を採用。もちろん、末尾のグラフィックスグレードが「G7」となる、Ice Lake中でも最速となるIntel Iris Plus Graphics仕様です。

また、底面側も額縁部(ベゼル)が狭い4辺ナローベゼル設計により、非常にベゼルが目立たないデザインとなっている点も特筆できるところ。とくに本体の大きさ(底面積)という点でも「14インチノートで奥行きが197mm」という点は白眉です。

本機に匹敵するのは、319×199×16.9mm(幅×奥行×厚さ)なASUS『ZenBook 14(UX434FL)』など、現行機種でも数えるほどしかありません。他に近い機種を挙げると、ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)は約323×217×14.95mm。ナローベゼルノートPCの代表とも呼べるデルの13.3インチノートXPS 13(2019)でも302×199×11.6mmと、画面のハンデがあるにもかかわらず奥行きは本機のほうが狭くなります。

さらに天面側の顔認証対応カメラは、魚のひれのようにベゼルから若干飛び出したデザインとなっているのも特徴。歴戦のEngadget読者の方には、かの『ThinkPad i Series s30』に搭載されたキーボードを思い出す方もおられるはず。

さらに画面保護ガラスには、高級スマートフォンのような2.5D加工された曲面タイプ。レノボ側は「エッジ周りを包むような加工」とアピールするこのガラスは、PCとしては非常に異例の装備です。
また本体の素材も、こうしたグレードに合わせたアルミニウム合金のユニボディ。高級機ならではの凝った仕上げがなされています。

さらに本機では、顔認証用カメラを認証時やテレビ電話以外での操作にも活かす工夫もなされています。例えばマルチディスプレイ使用(外付けディスプレイ増設)時には、顔を向けるだけでカーソルやウィンドウをディスプレイ間で動かせるユーティリティ『Glance by Mirametrix』を導入。さらに顔認証用の赤外線深度センサーを応用し、ビデオ通話中の背景をぼかせる機能なども搭載します。

サウンドに関しては、キーボード左右に配置されたスピーカーにより分離感の良いステレオ音場が楽しめる仕様。さらに音響拡張用ソフトウェアとして、レノボ製品おなじみのDolby Atmosユーティリティも導入。HDR映像でのDolby Visionと合わせて、HDR対応映画などを楽しめる配慮がなされています。

拡張端子は、Thunderbolt 3兼用USB Type-C×2基(映像出力とUSB PD給電対応)に加えてUSB Type-C×1(5Gbps、USB PD給電対応)で合計3基を搭載。配置も右側にTB3×2基、左側にType-C×1基と分散しており、さらに電源入力としてはどの端子も使えるという、使い勝手に優れた構成です。

基本仕様は、

本体サイズ.....約319×197×12.2mm (幅×奥行き×厚さ)

本体重量......約1.25kg

ディスプレイ......14インチ、4K解像度、Dolby Vison対応液晶(DisplayHDR 400認証取得)

CPU......インテル製Core i7-1065G7(TDP 15W、4コア8スレッド、標準1.3GHz、ターボ時最高3.9GHz)

メモリ......標準16GB/LPDDR4X-3733

ストレージ......1TB SSD(NVMe)

バッテリー駆動時間......最大約9.2時間

USB端子......Thunderbolt 3兼用USB Type-C×2(映像出力とUSB PD給電対応)、USB Type-C専用(5Gbps)×1(USB PD給電対応)

拡張端子......3.5mmヘッドセットジャック

Wi-Fi......Wi-Fi 6

生体認証機能......顔認証(Windows Hello対応)

標準搭載OS......Windows 10 Home 64bit版

といったところ。

このようにYoga S940は、14インチノートPCとしては非常に奥行きの小さい本体に高品質な液晶ディスプレイ、高級機らしい充実した基本仕様など、高級モバイルノートPCとして注目点の多いモデル。ThinkPad以外のレノボ製ノートPCのイメージをいい意味で変える原動力ともなりうるモデルとなりそうです。