「ハイブリッド10倍」の望遠撮影が超強力! 「HUAWEI P30 Pro」のカメラを試す

いち早く135mm相当の望遠カメラを搭載し、画質劣化を抑えた10倍までのハイブリッドズームが目を引くが、発売が9月にずれこんだせいで、ちょっと影が薄くなった「HUAWEI P30 Pro」。

海外では「HUAWEI Mate 30 Pro」も発表されているが、P30 Proを見逃すわけにはいかないよねってことで、その特徴である望遠性能を中心に見ていきたい。

既にレビューしているP30とP30 Proの違いは望遠カメラの性能と、ToFカメラ(深度測定専用のカメラ。被写体との距離を測るのに使う)の搭載。

3つのカメラの内訳はこの通りだ。

超広角カメラが2000万画素で16mm相当。広角カメラが4000万画素で27mm相当。これはセンサーサイズも大きくレンズもF1.6と明るいためメインカメラとなる。

5倍の光学ズームカメラが800万画素で125mm相当。なお、Huaweiは光学ズームカメラと呼んでいるけど、このレンズ自体がズームするわけじゃないので、望遠カメラと呼ぶべきかと思う。

27mm相当の5倍なら135mm相当になるんじゃないかと思うのだけど、その辺は撮りながらチェックしてみる。

「1xの次がいきなり5x」に違和感

何はともあれいつものガスタンクから。カメラアプリを開くと、横位置の場合は下に、縦位置の場合は右にズームのボタンが表示される。

デフォルトは1xで27mm相当のカメラ。右が0.6xの超広角カメラ。左が5xの望遠カメラで、一番左が10xのハイブリッドズーム、という構成。

広角カメラは4000万画素で望遠カメラは800万画素だが、通常の撮影モードでは「1000万画素」サイズで画像が保存される。

ただ、超広角カメラだけはセンサーの画素数そのままの2000万画素サイズで記録される。ちょっとややこしい。統一して全部1000万画素サイズで記録、でもよかった気はする。

さらにデジタルズームを限界までかけると50xとなる。さすがにもやっとしているけど、悪くない感じ。ただ、そこまで望遠になると目的の被写体をちゃんと構図内に収めるのが大変。

で、使ってみた感じ、1xの次がいきなり5xってのは落差がでかい。指をスライドさせることで細かいズーム倍率にもできるけど、反応がシビアなので、なかなか思ったところに止められないのだ。

ここはもう「0.6x→1x→2x→3x→5x→10x」の6段階くらい作るべきだったんじゃないかなと思う。1xの次が5xだといきなりデカくなっちゃう感が強いのだ。

望遠5倍と10倍で撮影してみた

では望遠カメラを堪能しよう。とあるアパートの階段の下で丸くなって寝ている猫を発見した。猫を起こさないように「5x」の望遠でそっと狙う。

えらいのは、猫の顔が見えていなくても、こんな風に丸くなっていてもちゃんと「猫」と認識したこと。これはよい。

さらに、倍の10倍ズームをかけてみた。

日陰だったが毛の色も合っていてしっかり出ているのがいい。見事なチャトラだ。ただ望遠カメラはF3.4とちょっと暗いので、ISO感度が上がりやすい、またシャッタースピードが落ちやすいので、晴天下以外では手ブレに注意すること。

ではもう1つ、猫の5xズームもの。保護猫カフェにて寝ている猫をアップで撮ろうと思って5xにして撮影。

だがこのときは広角カメラのデジタル5倍ズーム(ハイブリッドズームといった方がよい?)になった。拡大して見ると、毛のディテールが出ていない。なぜなら、5xで撮っても、望遠カメラは使われず、広角カメラのデジタル5xズームで撮影されたからだ。

理由はシンプル。望遠カメラは撮影最短距離が長い、つまりあまり近いとピントが合わないのである。そこで、近距離のものを撮るときは、広角カメラを使うのだ。

P30 Proに限った話ではないのだけど、近くのモノをアップで撮りたい、と思ったときは要注意。まあ、拡大して見ない限り気にならないし、被写体によってはまったく分からないので、普段は気にしなくていいんだけど。

さらに望遠の話。1xの次が5xになっちゃうのは飛びすぎ、普通の人はそこまで望遠は使わないし、と思いつつ、上空で飛行機の音がすると「お、出番だぞ」というわけでP30 Proを向けちゃうのがサガってものである。

P30 Proには普通のスマートフォンでは撮れないものも撮れちゃう楽しさがるのだ。ただ、とっさだとけっこうピントが合うまで待てないことや、被写体をちゃんと捉えるのに時間がかかることもあって、いくつかは失敗したのだけど。

月の撮影にチャレンジ

さらに、望遠ネタでもう1つ。一度試してみたかったのだ、これを。月の撮影である。

夜空の月に向けてカメラを構えたら、ちゃんと「月認識」した! 実は晴れた夜の月ってかなり明るいので、セッティングさえちゃんとすれば撮るのは難しくない。でもスマートフォンだと設定に手間がかかる。そこで「月認識」が生きてくるわけだ。

で、50xのズームにまですると、ここまででかくなる。

ただ、満月じゃないこともあってか、大気がそこまで澄んでいなかったせいか、なかなかピントが来なかったのだけど、このくらい撮れたら楽しいのである。

アウトカメラとインカメラでポートレート

望遠の話はこのくらいにして、その他もろもろの被写体も。

まずは人。人を認識すると自動的にポートレートモードになる。 ポートレート時はズームが1x、2x、3xに限定される。5xや10xは使えないが背景ぼかしは可能だ。

ポートレートモード時はボケ方も選ぶことが可能だ。

このとき、ToFカメラを使って奥行きを見ているのだと思う。

続いて自撮りのポートレートモード。

アウトカメラ時と比べると奥行きの判定がちょっと甘いことがあるが(手がぼけちゃっているのはちょっとこわい)、美肌や逆光時の肌の出し方はさすがだ。

人物以外で背景をぼかしたいときは「アパーチャ」モードを使う。

夜景モードは相変わらずすごい

次は得意の夜景モード。

スマホ夜景撮影ブームを作ったといっても過言ではないHuawei。夜景モードは相変わらず強力で、数秒かけて撮影し、暗いところは明るく、明るい所は白トビしないきれいな夜景を撮ってくれる。

広角カメラでも夜景を撮れるのがよい点だ。

と、静止画を中心に見てきたが、相変わらずHuaweiらしいこってりした派手目の絵作りを見せてくれた。印象的な写真をさっと撮りたいならHuaweiはよい。

望遠を強化したことでP30 Proでしか撮れない写真を撮れるようにはなったが、その分スマートフォンならではの手軽さは少し下がったかなという気はする。文中に書いたように、1xの次が5xってのは間が開きすぎているし、望遠時のAFはもうちょっと速くなってほしい。

超強力な望遠撮影を日常的に使う人ならおすすめだけど、そうじゃないならP30かな、という感じだ。