超高性能カメラ搭載スマホ、ファーウェイ「HUAWEI P30 Pro」の望遠&暗所性能徹底チェック!

スマホの枠を超越する、圧倒的とも言えるカメラ性能に注目が集まっている「HUAWEI P30 Pro」。今回はその中でも望遠撮影と暗所撮影の性能について、プロカメラマンによる作例と解説とともに紹介する。

スマホの枠を超えたカメラ
Leicaクアッドカメラ搭載の「HUAWEI P30 Pro」

ドコモから発売中の「HUAWEI P30 Pro」は、ハイエンドモデルにふさわしい最高スペックを備えたスマホだ。特にLeicaクアッドカメラが話題となっている。

このLeicaクアッドカメラの構成について、あらためて紹介しよう。メインである広角(35mmフィルム換算で27mm相当)の約4000万画素カメラ、超広角(同16mm相当)の約2000万画素カメラ、光学5倍ズーム(同125mm相当)の約800万画素望遠カメラに加えて、深度測定用のToFカメラの計4つとなっている。HUAWEI P30 ProではToFカメラが加わったことで、より正確なボケ効果やAR撮影を実現している。

本機ならではの要素が望遠撮影。光を90度曲げるペリスコープ機構により、薄型の筐体に光学5倍の望遠レンズを搭載していることも驚きだが、さらにメインカメラで撮影した情報やAI手ぶれ補正技術と組み合わせることにより、高画質な10倍ハイブリッドズームを搭載している。また、デジタルズームでは月の表面まで撮れる50倍ズームになっている。

メインとなる約4000万画素センサーのサイズは、一般的なコンパクトデジカメよりも大きく、スマホとしては最大級の1/1.7型。さらにこのセンサーは、G(グリーン)の情報を取得するセンサーがY(イエロー)になった「RYYB」カラーフィルターを採用することで、サイズとフィルターの両面から光をより多く取り込めるようになり(前モデル「HUAWEI P20 Pro」との比較で40%増)、暗所撮影での強さを実現している。ISO感度も最大でISO409600に設定可能だ。

そのほか、「マスターAI」や「ライトペインティング」といったおなじみの撮影機能も搭載。超広角と望遠での同時撮影を実現する「デュアルビュービデオ」など、動画撮影も充実しているのも特長だ。

プロカメラマンがLeicaクアッドカメラの望遠撮影の魅力、
そして撮影術を解説!

さて、ここからはプロカメラマンによる作例と解説で、HUAWEI P30 ProのLeicaクアッドカメラの望遠撮影と暗所撮影について、詳しく紹介していく。協力していただいたのは、ASCII.jp/週アス電子版でデジカメのレビュー記事を意欲的に執筆しているプロカメラマ、岡田清孝氏だ。

まずは望遠撮影だが、最初に35mmフィルム換算で16mm相当の超広角から1350mm相当の50倍デジタルズームまでの画角と画質を検証してもらった。以下は、その作例と岡田氏のコメントだ。

「HUAWEI P30 Proの1台だけで、幅広い画角の写真を撮ることができるのが魅力的。1倍(27mm相当)から5倍(125mm相当)の中間の倍率ではデジタルズームになるため、等倍まで拡大表示して見ると確かに画質劣化はあるが、50%程度の表示なら気にならないレベルだ。5倍を超えるとハイブリッドズームになり、10倍(270mm相当)までは画質劣化は少なく、1~5倍の中間倍率と同等の画質。10倍を超えると、さすがに画質劣化が目立つが、被写体が確認できる程度の画質は保持している」。

望遠撮影の使い道だが、遠くの被写体を大きく写すのはもちろん、「近づくことが困難な被写体を撮影したいときにも、望遠が活躍してくれる」と岡田氏はアドバイスしてくれた。たとえば、下の作例のように、警戒心の強い野良猫も望遠ならアップで撮ることができるわけだ。

また、岡田氏は「望遠で撮影すると、遠近感が圧縮されるという特徴がある。被写体を同じような大きさになるようにして1倍と5倍で撮り比べてみると、5倍で撮影したほうが背景の距離感が近づき、大きく見える」とも指摘。以下はその作例だが、確かにそれは実感できる。「どちらがベストということではないが、同じ被写体でも意識して広角と望遠を使い分けてみるのも面白い」とのことだ。

カメラ初心者は思いつきにくいが、近接撮影も、望遠が活躍するシーンだ。岡田氏は「花などをアップで撮影する場合は、1倍で大きく撮ろうと思うと、被写体に近づかなければならない。そうすると、自分自身が影になって、全体が暗くなってしまうことがある。そんなときは、望遠にして撮影すると、被写体まである程度の距離を保てるため、影にならずに済むはず」とアドバイスしてくれた。

HUAWEI P30 Proで望遠撮影をしてみてのインプレッションでは、「望遠でもしっかり構えれば、手ブレは目立たなかった」と、AI手ぶれ補正の効果を実感したそうだ。ただ、注意点もあり「10倍以上の望遠ではフレーミングが安定せず、三脚で固定してもおそらく手ブレ補正の動作のせいでフレーミングが動くため、満足のいくフレーミングで撮影できるまで何枚も撮るようにしたい」とのことだ。

また、操作性の部分では、「撮影画面をタップして、ズーム画角を0.6倍・1倍・5倍・10倍・50倍のステップで変更できるのは好み。個人的な感覚だが、画面スワイプで変更するより使いやすい」との感想だそう。そのうえで「1倍の次が5倍になるのは幅が広すぎるので、2倍や3倍などズームステップを自分でカスタマイズできるようになるとうれしい」という希望も教えてくれた。

夜景モードを積極的に活用したい!
HUAWEI P30 Proの暗所撮影の性能をチェック

続いては、暗所撮影についてだ。

HUAWEI P30 Proには、シャッターボタンを押すと数秒間露光し、階調補正やノイズ低減などの処理をして暗所でもキレイな写真が撮れる夜景モードが搭載されている。また通常モードでも、前述した大型センサーの採用などにより、夜景をキレイに撮ることは可能だ。そこで、この2つの夜景撮影を比較してもらった。

上はその作例だが、岡田氏は「2つの写真を比べてみると、夜景モードのほうが明暗差の階調再現の幅が広く、特に通常モードではつぶれている暗部が明るく写っているのがわかる」と指摘。

さらに「Exifで確認すると、夜景モードの撮影時間は5秒と表示されるが、通常の長時間露光とは違って露光中の複数画像を合成し、その際に手ブレの補正も行なわれているようだ。そのおかげで、手持ちで撮影してもブレがほとんど目立たずに撮影することができた」と、夜景モードの利点を説明している。

上記の作例も、夜景モードと通常モードの比較だが、いずれも明暗差の階調再現に差が出ているのが理解できるはずだ。

ところで、繁華街など夜間でも明るい場所の撮影では、ちょっとしたコツもあるそうだ。岡田氏によると「通常モードでもマスターAIをONにしておくと、夜景と判断されれば自動的に夜景モードに切り替わる。ただし、夜間でも明るい場所は夜景と判断されないケースもあるので、そんな時は手動で設定したい。街中のネオンの灯りなどの明部も、夜景モードのぼうが白飛びせず写るはず」とのこと。以下は、繁華街を写した作例の比較だ。

岡田氏は「夜景を撮るには、やはり夜景モードを積極的に使いたい」とのこと。ただ、夜景モードは、撮影に(数秒の差だが)時間がかかる点が少し気になる。それについては、「通常モードでも十分キレイに撮れるので、ゆっくり撮影できる時には夜景モード、夜の街中を気軽にスナップしたい時は通常撮影という具合に、使い分けるといいだろう」とのことだった。

また、夜景モードでは露出補正ができないため、少しコツが必要。岡田氏は「被写体の明部または暗部など、タッチする位置によって露出をコントロールするといいのでは」とアドバイスしてくれた。

薄暗い夜の川沿いで撮影。夜景モードはISO1250で撮影できたが、通常モードではISO感度がISO5000まで上がってしまったので、ノイズ処理が強く、輪郭の描写がやや甘くなっている。

なお、HUAWEI P30 Proのウリのひとつは、最大ISO409600まで設定できるISO感度だ。岡田氏はその威力を認めつつ「ISO6400以上の感度では、シャッタースピードが固定されてしまうので、被写体の暗さに合わせて感度を調整する必要がある。また超広角レンズでは、最大ISO3200までしか設定できないので、そこが改善されるとさらにうれしい」との要望もあった。

HUAWEI P30 Proは、ドコモショップやドコモオンラインショップ、家電量販店など、ドコモ端末取扱店で購入可能。本体色はブリージングクリスタルとブラックが用意されている。