インテルと共同設計したドスパラ製15.6型ゲーミングノート「GALLERIA GCR2070RGF-QC」

ゲーミングPCブランド“GALLERIA”で知られるドスパラが、インテルと共同設計したという15.6型プレミアムノートPCをリリースした。2モデルあるうち今回は上位モデルの「GALLERIA GCR2070RGF-QC」を入手したので性能を評価してみたい。

ゲーミングとクリエイティブのニーズを1台でカバーするきょう体デザイン

今回のインテル共同設計モデルのコンセプトは「Game&More」。ゲーミングに加え、「More」としてクリエイティブ用途も視野に入れている。ゲーミングノートPCの優れたCPUとGPU性能は、大容量ファイルを取り扱うクリエイティブ用途にも最適だ。

ゲーミングとクリエイティブで1つ方向性が異なるとすればデザインだろうか。世界的に見ればゲーミングPCは個性的なデザインが好まれ、クリエイティブPCは落ち着いたデザインが好まれる。ただし、日本市場で言えば、どちらも落ち着いたデザインのほうが好まれているだろうか。GALLERIA GCR2070RGF-QCも落ち着いたデザインで2つのニーズをカバーしている。加えて、GALLERIA GCR2070RGF-QCは、Core i7プロセッサとRTX 2070 with Max-Qを搭載しながらまずまずスリムかつ1.8kg程度の軽さを実現している。

GALLERIA GCR2070RGF-QCは15.6型パネルを搭載しながら、365.4×233.66×20.5mm(幅×奥行き×高さ)のサイズに収めている。人気の狭額縁パネルを採用することで、大画面とコンパクトなサイズを両立し、重量を1.87kgに抑えている。“モバイル”と言えるかどうかは難しいが、従来、RTX 2070級のGPUを搭載したモデルが3kg以上、より大型の筐体サイズをしていたことと比べれば、十分に小型で持ち運びやすくなっている。

厚みは2cmを少し超えているが、それでもスペックを考えれば十分にスリム。このスペックでこれ以上スリムなものはプレミアムクラスに属し、よりスタイリッシュであるが30万円超の覚悟が必要な高価な製品でもある。一方でGALLERIA GCR2070RGF-QCは税別249,980円と、現実的と言える価格ではないだろうか。

液晶パネルは解像度が1,920×1,080ドット。パネル駆動方式は公開されていないが、正面、斜めと見比べて見てもやや暗くなる程度で色味の変化は小さく十分な視野角があるとわかる。表面コートも非光沢で、エンターテイメントよりはゲーム/クリエイティブ業務向けだ。そして、リフレッシュレートは144Hz対応で、高性能GPUと合わせてゲームと画質設定次第で滑らかな映像が楽しめる。

狭額縁ベゼルと言えるのは左右部分。ここに関しては十分にスリムで全体の幅を抑えている。上部ベゼルは狭額縁より若干スペースがあり、ここにWebカメラを搭載する。下部ベゼルは一般的な幅がある。ここに関しては、ヒンジ部分の強度を高めたという説明もあるので、それが影響しているのかもしれない。

キーボードはLEDバックライト付きで6列の日本語配列。ユニークなのは最上段のキーで、ノートPCではここに縦幅のせまいキーを用いるのが一般的だが、本製品は通常のキーと同じものを並べている。

キースイッチは光学式とされており、メカニカル式と同等の打鍵感を特徴に、光学式の高耐久を実現するという。実際、ノートPCとしては心地よい打鍵感だ。キーピッチは19mmを確保しており、キーとキーの間もほどよいスペースがある。ただ、配列で言うと、Enterキーの右に1列あるタイプなので、ここに慣れを要するかもしれない。

キーボードの下には一般的な面積のタッチパッドがある。6列キーの最上段をせまいものにすればもう少し拡大できたかもしれないが、ゲーミングやクリエイティブ用途では別途マウスを用いることのほうが一般的とあって、キーボード側の快適さを優先したのだろう。

キーボードの右上にある2つのボタンは右が電源、左が電源モードの切り換え。電源モードボタンには2つのLEDがあり、消灯時は「Battery Saver」、左側点灯時は「Balanced」、2つ点灯時は「Performance」に切り替わる。これはユーティリティからも設定できるが、このボタンを押すだけでもトグル式に切り換えられる。

インターフェイスは左側面にUSB 3.1×1、マイク、ヘッドフォン、右側面にマルチカードリーダ、USB 3.1×2、背面にThunderbolt 3(Type-C)、HDMI、Gigabit Ethernet、ACアダプタ用DCジャック。左右合わせてUSB 3.1ポートが3つあるのでマウス、キーボードのほかにも外付けストレージなどが接続できるほか、さらに転送速度を求めるクリエイティブ用途向けにはThunderbolt 3が活用できる。

有線LANに関してはギガビット対応。ハイエンド製品では2.5Gbps対応のものもあるが、マルチギガの普及率を考えればまだ急ぐ必要はないだろう。あるいはThunderbolt 3端子に高速LANアダプタを介して接続することもできる。無線LANに関しては、インテルと共同設計ということもありWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応で、Bluetooth 5も搭載している。

ACアダプタに関してはいわゆる弁当箱サイズだ。TDP 45WのCPUに、Max-QモデルとはいえハイエンドGPUを搭載していることで最大消費電力は大きめで、ACアダプタは19.5V×11.79A=229.9W。性能を考えればスリムかつ比較的コンパクトで持ち運びも視野に入る本製品だが、このACアダプタを携行するかとなると悩ましい。

第8世代CoreとGeForce RTXの定番構成に、クリエイティブ用途で必須の大容量SSDも

CPUは第9世代Core i7-9750H。6コア12スレッドのCPUコアに、Intel UHD Graphics 630を搭載している。動作クロックは定格が2.6GHz、ターボブースト時最大4.5GHz。コンフィグラブルTDPで調整されている可能性はあるが、TDPが45WとノートPC向けとしては高く、高性能だ。それを厚さ20.5mmの筐体に収めているのだから冷却設計はかなり高度なものを搭載しているようだ。

GPUは先程のIntel UHD Graphics 630および、メインとなるGeForce RTX 2070 with Max-Qを搭載する。GPU機能はスイッチャブルで、状況に応じてGPUを選択使用する。ゲームプレイ中は高性能なGeForce RTX 2070が、バッテリ駆動中やGPU負荷の低いアプリケーション使用中は省電力のIntel UDH Graphicsが、といった具合だ。なお、もう別のラインナップの「GALLERIA GCR1660TGF-QC」ではGeForce GTX 1060 Tiが搭載される。

また、少電力という点では、バッテリ駆動時間も特徴となっている。バッテリ容量は94Whrと大容量で、先に紹介した省電力機能と合わせて最長10時間駆動を可能としている。さすがに軽作業を主眼としたモバイルノートではないため、実運用ではこれよりも短くなると思われるが、急用、AC電源の得られない状況になったとしても、ある程度の時間、駆動できることはメリットだろう。

ストレージは1TBのIntel SSD 660p。QLC 3D NANDを用いた容量単価に優れたNVMe対応SSDだ。転送速度はシーケンシャルリードで1,919MB/s、同ライトで1,741MB/sなので、PCI Express 3.0 x4接続モデルとしては普通だ。とはいえ、通常使用におけるレスポンスとして不満はない。シングルドライブだが、標準容量が1TBと大容量なので当面問題はないだろう。ゲーム用途でも多数のゲームをインストールでき、クリエイティブ用途でも動画やRAWデータなど大容量ファイルの保存の意味でも1TBあれば安心だ。

ゲームはもちろん、デジタルコンテンツ制作用途でも高い性能を発揮

それでは、GALLERIA GCR2070RGF-QCの性能を見ていきたいが、先に電源モードについて説明しておきたい。ゲーミングノートPCでも一般的に、標準の電源モードは「Balanced」に設定されている。バランスのままでも3Dゲームを起動すればGPUが切り換わり、そのGPUの最高クロックまで性能を引き出せるものも存在するが、一部は専用ユーティリティから「Performance」に設定しなければ性能制限がかかるものもある。本製品は後者だ。

Performanceモードであれば、ファンの回転数を制御した上で、3Dゲーム起動時には性能を引き出してくれる。一方、Balancedモードでは、とくに3Dベンチマークを中心に、本来の半分ほどの性能となった。もちろんその分、ファンの回転数はマイルドで快適だ。

なお、本製品には「Benchmark」モードのチェックオプションも存在する。こちらにチェックをすると、ファンの回転がつねに全開になり、その冷却分性能が上がる。キーボード右上の切り換えボタンからは設定できず、ユーティリティから行なう必要がある。その意味で特別なモードとなるので、以降のベンチマークスコアは一般的に利用されるだろう「Performance」で計測した。

今回利用したベンチマークソフトは、まずULの「PCMark 10」と「3DMark」と「VRMark」、MAXON「CINEBENCH R15」および「CINEBENCH R20」。

PCMark 10のExtendedスコアは7,313だった。Productivity、Digital Content Creationの2つのシナリオも7,000ポイント台であり、本製品の第2のニーズであるクリエイター用途でも高い性能を示している。

ゲーミングについては、3DMarkでFire Strikeが17708とあるように、GeForce RTX 2070 With Max-Qなりの高い性能だ。とくに本製品は1,920×1,080ドットパネルを採用しているので、4Kを目指す必要がなく、フルHDで十分なフレームレートが得られる範囲で高画質設定を煮詰めていける。VRMarkにしても、Cyan、Orangeの2つのテストで目標フレームレートを大きく超えており、VRゲームに関しても十分に視野に入ることがわかる。

CPU性能のCINEBENCH R15に関しても1,314cbを記録している。6コア12スレッド対応のCPUなので不足はなく、先のPCMark 10の結果からもクリエイティブ用途、たとえば映像編集などのアプリケーションでも十分な性能が得られると言えるだろう。CPU(Single Core)に関しては187cbで200cbを超えてはいないが、こちらもノートPCというフォームファクタを考慮すれば十分だろう。

それではゲーム性能も見ていきたい。こちらでは「Far Cry 5」、「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Shadow of the Tomb Raider」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「World of Tanks Encore」を計測している。

まず頭から3つのゲームのスコアを総括しよう。一般的なプリセットでは、3タイトルとも最大プリセットで60fpsを超えている。Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの特別なプリセットである「ウルトラ」に関しても平均58fpsなら十分に快適なフレームレートが得られると言ってよい。また、Shadow of the Tomb RaiderでDLSSおよびレイトレースシャドウクオリティを最高とした場合でも、53fpsなのでこれもプレイ可能とみなしてよいだろう。そしてこのクラスの負荷のタイトルで60fpsを超えているため、3D負荷が低いeスポーツタイトルでは、144Hzパネルの性能も十分に活かしきれる。

かなり3D負荷の高いFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの高品質プリセットでも快適評価だ。ほか、比較用に計測したファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク、World of Tanks Encoreのスコアも5桁のやや飽和気味の値になっている。

2つのニーズを的確に捉えつつ、じつはコスパも隠れた魅力!?

インテルとの共同設計は、「ゲーミングとクリエイティブ双方のユーザーが重視する機能とデザイン」というかたちで、具体的にどことは言及されていない。ただ、GALLERIA GCR2070RGF-QCを見ていけば、デザインはおとなしめであり、機能についてもベースのゲーミングスペックがしっかりしているためにグラフィックスとCPU演算ともに高いレベルにある。そこに大容量ストレージ、高速な無線LANとThunderbolt 3が加わるため、4Kパネル必須ということがないかぎりはクリエイティブの現場でも高い生産性が期待できる。

価格は25万円なので決して安い買い物ではないが、スペックと性能、筐体サイズはプレミアムノートPCにかなり迫るところにある点からすれば、コストパフォーマンスが高い。今、高性能ゲーミングノート、あるいは生産性の高いクリエイティブノートを検討しているなら、候補の1つに組み入れたい製品と言えるだろう。