折りたたみスマホGalaxy Fold国内版はau独占。24万円

au が折りたたみスマホ Galaxy Fold の国内版「Galaxy Fold SCV44」を発表しました。発売は10月25日、予約受付は10月11日の午前10時から。国内版の Galaxy Fold はauの独占販売となります。価格は約24万円。

サムスンの Galaxy Fold は、細長い本体を手帳のように開くと、内側から7.6インチ(縦横比4.2:3)のタブレット級メイン画面が現れる新時代のスマートフォン。

外側にも4.6インチ(21:9)の小さなフロント画面を備えており、折り畳んだ状態では厚みがあるものの片手で操作しやすく、一般的なスマホのようにポケットに入ります。

メイン画面には、ガラスのかわりに樹脂を使ったフレキシブルな有機ELディスプレイ Infinity Flex を採用。中央に仕切りや継ぎ目はありません (ただし谷折り部分が緩やかに凹んでいるため、角度や映り込みによっては「折れ目」として見えます)。

折りたたみに加えて、一般的なハイエンドスマホの倍近い12GB RAMや高速な512GBストレージ、7nmプロセスの最新6コアプロセッサ、超広角から望遠まで内外計6つのカメラ、4000mAh超の大容量バッテリー、他の端末を置いて給電できるワイヤレス逆充電など、ヤケ気味に高い性能も特徴です。

ソフトウェアとしては、外側の小さな画面で使っていたアプリが開くと大画面でそのまま使えたり、メイン画面を二分割や三分割して同時に複数のアプリを並べて使えるなど、大画面を活かす機能を備えます。

海外での Galaxy Fold 初公開イベントでは Google も登壇。こうした縦横比の違う画面への切り替えやマルチタスクについて、サムスンとの協力のもと Android の 標準機能として取り込んでゆくことを発表しています。

Galaxy Fold といえば、当初は今年の前半に海外で発売予定だったはずが、メディア向けの評価機で肝心のメイン画面が破損する例が続出。設計の不備を認め、改良のため発売を延期していた経緯があります。

au版は当然ながらこの改良モデル。海外で画面が破損した際の報告には、ディスプレイ表面の保護層を輸送用の保護フィルムと勘違いして無理に剥がした例や、画面の折れ目付近を強い力で突いた例、上下のヒンジ(蝶番)部分から画面の裏側や折りたたみ機構に異物が入った例などがありました。

こうした例に対して、それぞれ「誤って剥がせないよう、ディスプレイ周囲のベゼル部分下まで保護層を拡大し一体化する」「ディスプレイ裏側の支持層を金属素材に変更、曲がる部分は金属メッシュ素材を採用して強度を高める」「上下ヒンジに複数の保護パーツを追加して密閉性を向上」といった対策で改良しています。

従来にない機能や機構を採用した製品では、量産初号機で不具合が続出して二代目以降のモデルで改良を施す例がよくありますが、Galaxy Fold については評価機の段階がヤバすぎて発売前にそのサイクルが一度は回った珍しい例です。

改良モデルで当初よりは大幅に信頼性が向上したとはいえ、製品版も「防水防塵には非対応」「画面は強い力や尖ったもので押さない」「磁気に影響を受けるものには近づけない」など、一般的なスマホとは違った注意点があることは変わりません。

最後の磁気云々は、折りたたみ機構をパチンとスナップするため磁石を使っていることから。磁気ストライプのカードやフロッピーディスクはともかく、磁石にくっつく細かい金属粉などには気をつける必要があります。

とはいえ、国内版の予約や販売は一部の店舗のみ。何よりも24万円という価格から、買う人が自動的に選ばれる製品なのは確か。

折りたたみ画面の端末は新しいカテゴリー「フォルダブル」として複数のメーカーが開発しており、来年以降になればもう少しこなれた価格で、複数のモデルから選べるようになることはほぼ確実です。またマルチタスクと相性が悪いアプリも、Android側のアップデートを含めて対応が進むことが期待できます。

Galaxy Fold は新しい時代の先駆けとして、高価でも初モノを手に入れてフォルダブルの世界を真っ先に探検したい、他にない超ハイエンドが欲しい、新しい道具の扱いに慣れたり使いこなす段階も含めて楽しめる、普及前の段階を最前線で体験しておきたいユーザー専用というべき商品です。

最近のスマートフォンはどれも似たような板になり、最新モデルでもよほどスマホ好きだったり買い替え検討中でもないかぎり気づききにくく、新しさをアピールするため複眼カメラ部分を敢えて目立たせるメーカーもあります。

しかし Foldの場合、新しいガジェットを自分から周囲に見せびらかしたり、頼まれていないのにプレゼンする趣味のない人でも、パカッと開いた途端に一般のスマホユーザーから「えっ何それ??」と食いつかれます。

au版の Galaxy Fold は原則的に海外LTE版と同じ。おサイフケータイやフルセグ / ワンセグなど、日本国内向け仕様はありません。

20万円を超える高価な商品ですが、完全ワイヤレスイヤホンの Galaxy Buds と、アラミド繊維製のカバーを同梱します。

実際に海外版をしばらく使ってみた印象は、「めちゃめちゃ楽しい」(※パズルやアクションフィギュア的なハイテクおもちゃいじりとして)、「スマホとタブレットの二台持ちにはない使い方、魅力がある」「常用には厳しい有料ベータかと思ったら拍子抜けするほど普通に使える」「スマホと思うとずっしり重い(276g)」「周回や待ちがあるゲームはマルチタスク対応を法律で義務付けるべき(憤怒)」等々。詳しくはレビューをごらんください。