急カーブをえがくGIGABYTEの湾曲液晶はゲームへの没入感がヤバイ

GIGABYTEというと、自作PCに明るい人ならマザーボードやビデオカードのメーカーというイメージがあるかもしれないが、ゲーミング向け液晶ディスプレーも手掛けている。

9月6日には、湾曲パネルを採用したゲーミング向け27型液晶ディスプレー「AORUS CV27Q」(以下、CV27Q)と「AORUS CV27F」(以下、CV27F)の発売を開始。

これらの製品を投入することで、ゲーミング向け市場においてAORUSブランドの拡充を図り、液晶ディスプレーでも同社の存在感を増す狙いがあるようだ。

さて、このCV27QとCV27Fは対応解像度が異なるなどの違いはあるが、今回は上位モデルとなるCV27Qを中心に取り上げ、どのような液晶ディスプレーなのか詳しく見ていこう。

1500Rの湾曲パネルは没入感が高め

やはり、CV27Qで最も特徴的なのは、曲率1500Rの湾曲パネルを採用している点だ。1500Rとは半径1500mmの円を描くカーブを表しているのだが、同種の競合製品では1800Rを採用しているモデルが多い。

つまり、CV27Qではよりカーブが急になっているわけだが、GIGABYTEによると1500Rは人間の目の自然な曲線に似ているためゲームにおける没入感が高いという。

実際、CV27Qで「Apex Legends」や「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」をフルスクリーンでプレイしてみると、迫力のあるゲーム画面を楽しめた。

その一方で、ゲーム以外のウェブブラウジングやオフィスアプリケーションなどの用途では、パネルのカーブが急なため、中央部が若干凹んだような印象を受ける点は指摘しておきたい。

なお、高さは最大で532㎜だが、130mmの高さ調節が可能。さらに、±20度のスイーベルや-5度~+21度までのチルト機能も用意されており、画面を自分に合わせてかなり簡単に微調節できる。

さて、その液晶パネルだが、VA方式の光沢のないノングレアタイプを採用。解像度は2560×1440ドットまで対応し、そしてリフレッシュレートは165Hzをサポートしている点は注目に値する。

もちろん、PC側のパフォーマンスが高ければという条件付きにはなるが、ゲームにおいて秒間165フレームまで表示可能で、1フレームで試合の勝敗を分けるTPSやFPSなどで活躍できそうだ。

また、応答速度は1ミリ秒(MPRT:動画のぼやけを測定する方式)と高速で、実際にゲームをプレイしていても、描画のもたつきを感じることはまったくなかった。

さらに、AMDのディスプレー同期技術「FreeSync 2 HDR」をサポートしている点も見逃せない。CV27Qであれば、ティアリングやスタッタリングといったゲーム画面のチラつきを抑えることが可能で、かなり快適なプレイ環境を構築できる。

さらに、NVIDIAのディスプレー同期技術「G-Sync Compatible」についても申請中としており、GPUのメーカーを問わずディスプレー同期技術が利用できる点はかなりありがたい。

そして、FreeSync 2 HDRにより、FreeSync利用中であってもHDR品質の映像表現が可能となり、より自然色に近いゲーム画面を楽しめる。

さらに、VESA認定のDisplay HDR 400規格にも合格しているため、ゲーム以外にも映画や動画などでもより品質の高い映像を享受可能だ。

ゲーム向け機能を多数搭載

ゲーム向けのユニークな機能を装備している点も注目したい。「ブラックイコライザー 2.0」という機能では、映像の暗い部分を明るくして、視認性の向上を図る機能だ。

GIGABYTEによると、同機能では画面を1296分割し、それぞれを同時に調整しているとのこと。そのため、暗がりだけを明るく表示することが可能で、ほかの箇所が変に明るくなったりはしない。

また、「エイムスタビライザー」では、ブラーを軽減することで、FPSゲームでの射撃の反動で起きる映像のブレを抑えられる。

実際にPUBGでエイムスタビライザーを使用してみたが、その効果は確認できたものの、コアなプレイヤーであればその効果に若干違和感を覚えるかもしれない。このあたりは、ブレが抑えられているとはいえ、慣れが必要だと感じた。

そのほか、画面の中央の照準点や、リアルタイムのフレームレートを表示する機能を有しているほか、1時間のカウントアップおよびカウントダウンのタイマー機能も用意されている。

とくに、このタイマー機能はMMORPGのリポップ管理や、さまざまなゲームのタイムアタックの計測に非常に重宝する。

さらに、付属アプリケーションの「OSD Sidekick」(Version B19.0822.1)を利用すると、Windows上からマウスで各種設定を変更可能だ。

もちろん、中央下部に用意されたスティックボタンを操作することで、OSDの設定を変更できるのだが、OSD Sidekickを利用するほうが各設定を一覧表示できるため、かなり扱いやすい。

CV27QとPCをUSBケーブルで接続する必要はあるものの、操作性は抜群に向上するので、ぜひOSD Sidekickの導入をオススメしたい。

ノイズキャンセリング機能を内蔵
イルミネーションも調整可能

映像入力インターフェースは、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2を装備。これらのうち2系統を使って同時に画面に表示させるピクチャーバイピクチャー(以下、PBP)やピクチャーインピクチャー(以下、PIP)にも対応する。

また、ヘッドフォン端子のほかにマイク端子も用意されているのだが、このマイク端子に接続すると先ほどのOSD Sidekickから「アクティブノイズキャンセリング 2.0」と呼ばれるノイズ低減機能が利用可能となっている。

PCのサウンド機能にもノイズリダクション機能が用意されているものが多いが、PCが離れている場合は、このCV27Qにマイクを接続して、周囲のノイズを抑えられる点はありがたい。

背面にはLEDが埋め込まれイルミネーション機能を装備。このLEDは、OSD Sidekickから色や光り方を変更できる。

価格はCV27Qが6万円強
CV27Fは5万円を切っておりコスパは良好

CV27Qの価格は税抜6万2800円と、湾曲パネルを採用しつつも高速応答やFreeSync 2 HDRに対応している点を考慮すると、お買い得感はかなり高い。

とはいえ、もうちょっと価格を抑えたいというユーザーには、下位モデルのCV27Fをオススメしたい。こちらは、税抜4万8000円と5万円を切る価格はコストパフォーマンス抜群だ。

ただし、CV27Fは、CV27Qとは異なりPBPやPIPが用意されておらず、ブラックイコライザーやアクティブノイズキャンセリングといった機能も、前バージョンの1.0までの対応となる。

なお、それら以外はCV27Qのスペックを踏襲しているため、これらの機能をあまり利用しないのであれば、CV27Fはかなり有力な選択肢になり得るだろう。なお、CV27Fは解像度も1920×1080ドットまでの対応となっている点は注意したい。

湾曲パネルはユーザーの好みが分かれるところではあるが、従来の平面パネルよりゲームの没入感が増すことは間違いない。ゲーム環境を一歩進めたいと考えているのであれば、このCV27QおよびCV27Fはかなり魅力的な液晶ディスプレーと言える。