13.3インチの大画面電子ペーパータブレット「ONYX BOOX Max 3」発表。ペンによる手書きやディスプレイ機能も

電子ペーパーをディスプレイに採用したタブレットを多数展開しているONYXから、高速CPUを搭載した大画面タブレット「BOOX Max 3」が発表になりました。ベルリンで開催されたIFA2019の同社ブースでさっそく実機をテスト。電子ペーパータブレットの常識を打ち破る、新しいタイプのデバイスだと感じられました。

BOOX Max 3のディスプレイサイズは13.3インチ、2200x1650ドットとかなり大型です。本体サイズは325×237×7.5mmで、A4サイズの雑誌よりもサイズは一回り上回ります。しかし重量は550gでこのサイズのデバイスとしては若干軽め。実際に持ってみると思ったほど重量は感じられません。

カバンの中に入れておき、電車の中で座れた時やカフェに入ったとき、あるいは自宅やオフィスで使う分にはこの大きさは視野が広くなり使いやすいでしょう。一方混んでいる電車の中などで使うものではありません。BOOX Max 3はとにかく「大きい」「軽い」を売りにしているのです。

同社の電子ペーパータブレットは多くの製品がAndroid OSを搭載しています。また同じ大きさのモデルとしてはすでに「BOOX Max 2」が発売中です。新製品となるBOOX Max 3は従来モデルと比較するとスペックが大きく高まっており、動作は軽やか。特にCPUがSnapdragon 625となり、RAMも4GBを搭載しているため全体のパフォーマンスが従来モデルより劇的に高まっています。

さらにOSはAndroid 9.0を搭載。ちょっとしたミッドレンジクラスのタブレットとしてそん色のない動きをしてくれます。なおONYXは販売中のAndroid OS搭載タブレットも6.0から9.0へのアップグレードを提供すると発表しています。すでに同社のタブレットを使っているユーザーには朗報でしょう。

OSはAndroidですがホーム画面といえる最初の画面には電子ブックのタイトルがアイコンで並ぶ独自のUIを搭載しています。あくまでも電子ブックリーダーであり、Android OSとしての機能は「ついで」というところでしょうか。しかし後述するようにメモ機能はペンの使い勝手も高まりかなり使いやすいものになっています。

本体は外部端子がUSB Type-Cとなり、OTGによりキーボードやマウスなどの接続も可能。これも後述しますがBOOX Max 3はPCの外部ディスプレイとしても使えます。その接続用にマイクロHDMI端子も搭載。ストレージは32GBですが標準でType-C接続のSDカードリーダーが付属するとのこと。さらにステレオスピーカーやマイクも搭載しており、グレースケール16諧調ながら動画を再生したり、写真を見たり、さらに音声入力も可能です。そしてスタイラスペンも付属します。

ONYXのタブレットはホームボタンのような形状の「戻る」ボタンを本体下部に備えていますが、BOOX Max 3ではここに指紋認証センサーが搭載されました。反応は一般的なスマートフォンと変わりません。とにかく電子ペーパー端末は画面の書き換え速度が「秒」単位のため全体的に動きが遅いと感じてしまうのですが、指紋を使った画面ロック解除などはCPUとRAM容量の効果もあってか迅速です。

画面左には「ライブラリ」「ショップ」「ノート」「ストレージ」「アプリ」「設定」の画面が並びます。電子ブックはKindleアプリなどを入れて使ってもいいのですが、ONYXも独自のブックストアを展開しています。

アプリは必要最小限。Play Storeがあるので追加も可能ですが、グレースケール表示のためゲームなどのアプリは使いにくいでしょう。リーダーやユーティリティーなどを追加するのが現実的でしょう。

グレースケール16諧調表示ですが、画面の書き換えモードを変更することで動画の再生もそれなりに(モノクロですが)見れるなど、意外と使えます。WEBでニュースサイトを表示して埋め込まれた動画を再生することもできるわけです。もちろんカラーディスプレイと同じ表示結果は得られませんが、モノクロの電子ペーパーでもそれなりにマルチメディアコンテンツに対応できるのです。

スタイラスペンは前モデルのBOOX Max 2に付属のものより太くなり、断面が三角形になったことで握りやすく、机の上においてもころがって床に落ちてしまうなんてことがなくなりました。ワコムの技術を採用しているため充電は不要です。同じ技術のサムスンGalaxy Noteシリーズでもこのペンで手書きや画面タッチ操作ができました。ただしペンにはボタンはありません。

ペンの書き心地は悪くなく、ディスプレイの表面が若干硬めなのでどんどん書き進んでいくことができます。日本語は非対応ですが英語の場合はテキスト変換が可能。変換速度も一瞬なので実用性は高そう。

テキスト変換は書いた文字のその場所にほぼ同じ大きさで変換するオリジナルモードと、罫線を引いたノートにテキストを埋め込むモードの2種類。書いた後のテキストの使い方で選ぶことができます。

マイクを使って音声入力も可能なので、会議の様子をそのままテキスト化もできます。マイクの性能を考えると講演会などの会場ではノイズが多くて使うのは難しいかもしれません。オフィスや大学の教室で使う、なんて利用が現実的でしょうか。

そしてデモはされていませんでしたが、HDMI接続でPCの外部ディスプレディスプレイとして使える機能はテキストサイトの表示やドキュメント作成画面として使えば便利そうです。13.3インチと大きいディスプレイのタブレットをオフィスや自宅でカバンの中に入れっぱなしにしておくのはもったいないですよね。

30分ほど実機を触ってみましたが、13.3インチという大きさはA4ワイドサイズの雑誌を持ち運ぶような感覚で利用できるので思ったよりも使えそうと感じました。またノートを起動してメモを書く操作も画面の反応速度が遅くないので大型ノートを常に持っているような感覚で使えます。ちなみに保存したノートのデータはQRコードを表示させて転送できます。

もちろんカラー画面の普通のタブレットを買ったほうができることは多いでしょう。BOOX Max 3は電子ブックリーダーであり軽量で、メモがすらすらと書けるという、他のタブレットとは違う方向を向いた製品なのです。PCの外部ディスプレイ機能もよく考えられているでしょう。企業や学校で一括導入すれば生産性や学習効果も高まりそうです。

唯一気になるのは価格。859.99ドル(約9万2800円)は性能を考えれば納得できる人もいるでしょうが、他社のタブレットと比べるとモノクロ画面というだけでもやや割高感を覚えてしまうかも。実機を触ってみてこの価格に納得できるかどうかが購入判断の分かれ道になるでしょう。

筆者も実機を触ってかなり欲しくなりましたが、価格で二の足を踏んでいる状態です。アマゾン「Kindle」の広告表示モデルのような、何かしらの割引もぜひ展開してほしいものです。