iPhone 11に勝てるか。ソニー「Xperia 5」実機でわかった期待と不安

ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)が発表した新型スマートフォン「Xperia 5」。同社は2019年2月にグローバルでフラグシップ機「Xperia 1」を発表し、その後2019年夏モデルとしてNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクから発売されている。

Xperia 5は現時点で「今秋以降、日本を含む国と地域で導入」とされており、例年通りであればXperia 1同様に、上記3キャリアから発売されると見ていいだろう。

ただ、ソニーモバイルの直近の実績は正直かんばしくない。IDC Japanの調査によると、ソニーモバイルは、2019年第2四半期(4~6月)の国内スマートフォンの出荷台数ベースで、6位以下に転落している。

アップルの「iPhone 11」シリーズ発表で盛り上がる秋、そして冬ボーナスなどと続く商戦期を、Xperia 5で再びトップグループに返り咲くことはできるのか。実機から考えてみた。

Xperia 5は超縦長の6.1インチ有機ELディスプレイを採用、幅68ミリで片手でも握りやすい

画面の縦横比は21:9。Xperia 1は同じ縦横比で画面サイズ6.5インチ、幅72ミリだったので、小型化している。

横幅だけなら市場では比較的小型な「Pixel 3」とほぼ同じサイズ感

写真左からPixel 3(幅68.2ミリ)とXperia 5(幅68ミリ)。

解像度は1080×2520ドットと「1」と比べて劣るが、横長の映画館の映像と同じ画面比率で鑑賞できる

背面カメラは12メガピクセル×3つ。被写体やシーンに応じて使い分けられる

標準(26ミリ)での画角

望遠(52ミリ)での画角

光学2倍、デジタル最大5倍で撮影可能。

広角(16ミリ)での画角

「1」同様の、人の目にピントが合う「瞳AF」に対応

ソニーの映画撮影用プロカメラ開発チームが監修したアプリ「Cinema Pro」で、映画並みの質感・色の動画撮影

Cinema ProもXperia 1から引き続き搭載。

ただし、スローモーション機能は最大120fps。Xperia 1は最大960fps対応だった

eスポーツに注力するソニーモバイル。ゲーム補助機能も強化

写真は実況動画の撮影機能を試しているところ。ゲーム画面上に丸抜きで正面カメラの映像が乗っている。

画面の縁を2タップして起動するショートカット機能「サイドセンス」。ある程度は片手操作が可能

縦長画面の真骨頂は複数アプリを同時起動できること

グローバルでは4色展開。ブルーとレッドは派手すぎない良い色だ

ついに松竹梅そろった新Xperiaシリーズ

Xperia 5の登場で、1で生まれ変わったXperiaの主要ラインナップが出そろった。

1と5は心臓部であるチップセット(Snapdragon 855)やメモリー(6GB)は変わらないが、5は前述の通りディスプレイやスローモーション撮影機能が劣る。そのため、数字の通り「1より抑えめの機能。しかし、10より高いスペック」のポジションの製品だ。

従来、この「高性能だけどやや抑えめ」の機種はいわゆる「Compact」シリーズが担っており、長期的に見ると人気の機種だ。

人気機種の要素はあるが、ライバルや市場環境は厳しい

ドイツ・ベルリンのソニーストアではいまだに最後のCompactシリーズ「Xperia XZ2 Compact」が販売されていた。

そのため、Xperia 5も十分「人気の出る」と言えるのではないかと思う。

ただ、Xperiaのライバルは決してiPhone 11シリーズだけではない。2019年秋冬商戦には、世界シェア1位のサムスンの「Galaxy Note 10」や国内Androidスマホシェア1位のシャープなども登場するだろう。

また、Xperia 5は「Xperia 1より抑えめ」といっても、スペック的にはハイエンド機だ。予約の始まっているヨーロッパでは799ユーロ(約9万5000円)。日本登場時には10万円前後になる可能性が高い。

10月から始まる法改正による分離プランの促進、通信料金とセットでの端末の割引が大幅に制限される中、いまの「10万円前後のXperia」がどこまで支持を集められるのか。長年Xperiaシリーズを買ってきた1ユーザーとしても、やや不安が残るところだ。