液晶の裏にすっぽり!超小型デスクトップPC「Veriton VN4660G」がちょうど良すぎる

現在、さまざまなメーカーがビジネス用途に特化した法人向けモデルを展開しているが、その中にはかなりユニークな製品も存在する。日本エイサーが手掛けるVeriton VN4660Gシリーズは筐体の大きさが1L~3Lと、液晶ディスプレーの背面にすっぽり収まるほどコンパクトで、狭い机でも作業スペースを効率的に運用できる。

ブロック単位でサイズが増加するデザイン

本稿ではVeriton VN4660Gシリーズで最小サイズの1Lモデルである「VN4660G-F58Q1」を中心に紹介していく。サイズは約35(W)×217(D)×192(H)mmとデスクトップPCとしてはかなり薄型で、ちょっとした辞書のようなサイズ感だ。付属のスタンドを装着しても幅は82mmで高さは199mmと、机上に置いてもほぼ邪魔にならない。デッドスペースを有効活用できるサイズと言ってもいい。

もちろん、スタンドを装着せずに横置きで本製品を利用することもできるが、PCの上に物を置くと吸気口を塞ぐことになってしまう点には注意が必要だ。だが、本体重量は1.42kgと軽量なため、机上のキャビネットの上に設置して運用するのはアリ。また、本棚に設置するといった使い方もおもしろいかもしれない。

外観はブラックにシルバーのラインがアクセントで入るといった、ビジネスモデルだけあって、かなり落ち着いたデザインだ。ユニークなのは2Lモデルの「VN4660G-N58D2」、3Lモデルの「VN4660G-F58U3」とサイズが大きくなるにつれて、VN4660G-F58Q1を基礎にブロック単位で増設されたような形状を採用している点だ。

VN4660G-N58D2はVN4660G-F58Q1に光学ドライブを内蔵し、薄型のユニットを増設したような形状で、VN4660G-F58U3ではさらにそこから上側にユニットが付属したようなデザインとなっている。それぞれのモデルの違いについては下記の表にまとめたので参照してほしいが、簡単にまとめると光学ドライブの有無やストレージ構成の差異、電源アダプター容量の違いということになる。

CPUは全モデルとも第8世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-S)で6コア/6スレッド駆動の「Core i5-8400T」を採用。TDPを35Wに抑えた俗に言う“T付きモデル”で、高い性能はそのままに消費電力の低減が期待できる。なお、システムメモリーは全モデル、DDR4-2666を8GB(4GB×2)搭載。ビジネス用途で困ることはまずないはすだ。

サイズごとに微妙に異なるインターフェース

さて、VN4660G-F58Q1に話を戻すと、前面にType-AとType-C両方のUSB 3.1 Gen.2端子を用意。さらにUSB 3.0端子も1ポート備え、USBへのアクセスのしやすさはかなり良い。また、これらのうちType-CのUSB 3.1 Gen.2端子とUSB 3.0端子は、電源オフ時における充電機能を有しているため、スマートフォンなどを充電する際に、いちいちPCを起動する必要がない点はありがたい。

背面にはUSB 3.0端子×2、USB 2.0端子×2を搭載し、周辺機器を接続してもUSBが足りなくなることはまずないだろう。また、ユニークなのはBIOSレベルでUSBポートを制御できるデバイスフィルター機能を搭載している点だ。同機能を利用すると、前面を含めたすべてのUSB端子に接続できるデバイスをキーボードとマウスだけに設定したり、読み込み専用に設定してデータの書き出しを制限したりすることができる。

そのほか、ディスプレー出力はDisplayPortに加え、2基のHDMIを用意。それらすべてを使って最大3画面の同時出力ができ、マルチディスプレー環境を構築し、作業の効率化を図ることも可能だ。

また、ネットワーク機能は1000BASE-T対応の有線LANのほか、IEEE802.11 a/b/g/n/acに準拠した無線LANを装備。そのため、電源だけ確保できればLANケーブルの取り回しを考慮する必要がなく、好きな場所に設置することが可能だ。

また、同社の液晶ディスプレー「B277bmiprzx」や「B247Ybmiprzx」、「B227Qbmiprzx」を接続した場合のみ、ディスプレー側の電源ボタンを押すことで、PC本体の電源を連動させてオンにできるのが非常に便利だ。さらに、全モデルともUSBキーボードとマウスが付属しており、別途用意する必要がない点もビジネス用途では重宝するのではないだろうか。

付属アプリケーションも紹介しておこう。Veriton VN4660Gシリーズでは、写真編集ソフトの「PhotoDirector for acer」や、動画編集ソフトの「PowerDirector for acer」がプリインストール。業務内容によっては必要ないかもしれないが、デジカメで撮った画像を編集してレポートや企画書を作成する際は、重宝するのではないだろうか。

また、システム管理ソフトウェアとして「Acer ControlCenter」が用意されている。Wake-on-LANの設定やソフトウェアのインストール管理及び履歴確認、ストレージとインターネットの状態チェックなどが行なえる点は、ビジネス用途で複数台管理する場合にありがたい。

第8世代Coreプロセッサーの6コアCPUは強力

ここからはVN4660G-F58Q1のパフォーマンスを確認していこう。まずは、システム全体のパフォーマンスを推し量れる「PCMark 10」(Version 2.0.2115)からだが、今回は無償版でも実行できるPCMark 10“無印”のテストを実行した。

総合スコアーは3454とビジネス用途のPCとしては良好な成績。Office系アプリケーションの性能を示すProductivityのスコアーも5680と高く、パフォーマンスが足りないといった場面に出くわすことはそうそうないはずだ。

続いてCGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R20」でCPUの地力を見てみよう。

VN4660G-F58Q1は6コア/6スレッドタイプのCPUを搭載しているだけあって、マルチスレッドテスト「CPU」の結果は1125ptsと良好だ。1コアだけでテストを実行する「CPU(Single Core)」の結果が324ptsとその6分の1になっていないのは、6コアすべてを使い切る場合よりも、1コアだけ使用するほうが動作クロックを向上しやすいためだろう。

最後に、ストレージベンチマークソフト「CrystalDiskMark」(Version 6.0.2)を用いて、SSDのパフォーマンスもチェックしておきたい。

VN4660G-F58Q1のテスト結果は、さすがSSDだけあって良好だった。特に「Seq Q32T1」の読み込み速度が545.1MB/sと高いパフォーマンスを発揮。画像や動画ファイルを開く場合に、ストレスを感じることはまずないはずだ。

まとめ:ビジネス用途での使いやすは抜群 ネットカフェにもオススメしたいPC

以上のようにVeriton VN4660Gシリーズのビジネスシーンにおける使い勝手はかなり高い。コンパクトサイズながらも十分高いパフォーマンスを備えており、場所を選ばず設置できる点に魅力を感じる企業も多いのではないだろうか。それと同時に、個人で購入できない点が非常に惜しい。

個人向けモデルとしてはAspire XシリーズがVeriton VN4660Gシリーズのコンセプトに近い。しかし、Veriton VN4660Gシリーズはさらに薄さを追求したモデルであるため、個人向けに発売してもかなり人気を博すのではないだろうか。日本エイサーにはVeriton VN4660Gシリーズの個人向けモデルへの展開を期待したいところ。

とはいえ、BIOSでUSBポートの制限を簡単に加えることができる点など、ビジネス用途で魅力的な製品であることは確か。また、ネットカフェなどにおいてできる限りPCの占めるスペースを狭めたいと考えるのであれば、このVeriton VN4660Gシリーズはまさに打ってつけのPCではないだろうか。もし、コンパクトなPCの導入を考えている企業があるのであれば、このVeriton VN4660Gシリーズは一考の価値アリだ。