第9世代Core&GTX 1660 Tiで20万円を切る新Helios 300の実力を試す

高性能なCPUとGPUを搭載していることで好評を博している日本エイサーの15.6型ゲーミングノートPC「Predator Helios 300」。同社は2019年8月21日、同シリーズの新モデルとなる「PH315-52-A78U6T」を発表した。

PH315-52-A78U6TはCPUが第9世代Coreプロセッサーに、GPUがTuring世代のものへと刷新され、パフォーマンスの向上が図られている点が最大のトピックとなる。では、PH315-52-A78U6TはどのようなノートPCなのか、その詳細を見て行こう。

Core i7-9750HとGeForce GTX 1660 Tiに刷新

まずはスペックから確認しておこう。CPUは6コア/12スレッドの「Core i7-9750H」を採用。従来モデルが「Core i7-8750H」だったので、コア数やスレッド数は変わらないものの、定格クロックは2.2GHzから2.6GHzに、Turbo Boost適用時の最大動作クロックは4.1GHzから4.5GHzへと引き上げられ、マルチスレッド時やシングルスレッド時の性能も強化されている。すなわち、ゲーミングにおけるパフォーマンスの向上も期待していい。

GPUはTuring世代の「GeForce GTX 1660 Ti」を搭載。従来モデルはPascal世代の「GeForce GTX 1060」だったので、こちらも大幅な性能向上が見込めるはずだ。独自ユーティリティーの「PredatorSense」では、CPUやGPUの温度をモニタリングしたり、ファン制御が可能。また、「高速」や「最大」といった動作モードを選択すると、GPUがオーバークロックされる。

CPUとGPUの冷却には「AeroBlade 3Dファンテクノロジー」と呼ばれる独自のクーリングシステムを搭載。このAeroBlade 3Dファンは厚さ0.1mmのブレードが59枚用いられ、同社曰く非搭載モデルに比べて約45%の風量アップを実現しているという。

144Hz駆動のIPSパネルで視認性は抜群

ブラックでまとめられた外観は従来モデルを踏襲しているものの、天板の「PREDATOR」ロゴが通電時に水色に点灯するなど、従来モデルではアクセントに赤色を使用していたのに対して、今回の新モデルでは水色に変更している点に新鮮さを感じる。

液晶パネルは15.6インチのIPS方式。視野角が広い上、応答速度は3ms以下、リフレッシュレート144Hzに対応している点が特徴的だ。そのため、eスポーツで人気のFPSやTPSなどのタイトルでは、1フレームでも多く表示でき、他人より有利に立ち回ることが可能となる。

キーボードは日本語107キータイプを採用。キーピッチは実測で1.9mm、キーストロークは同1.5mmで打鍵感は良好だ。ただし、ゲームプレイ中は「Home」キーあたりが熱くなっている点は少々気になるところだが、テンキーの上にPredatorSenseの起動キーが配置されているのはユニークな点。

また、キーボードにはバックライトとしてLEDが内蔵され、暗がりでの視認性が高いほか、色や光り方をPredatorSenseから変更できる。

そのほか、サウンドユーティリティーに「Waves MaxxAudio」を採用している点や、「Killer Wireless-AC 1550i」によるIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANサポート、「Killer E2500」による1000BASE-T対応LANへの対応などは従来モデルから変わらず。ゆにえ、使い勝手の良さはそのままに、CPUやGPUのパフォーマンスが向上したモデルと捉えてもらって問題ない。

リフレッシュレート144Hzを生かせるゲーム性能

ここからはPH315-52-A78U6Tのパフォーマンスをチェックしていこう。まずは、「3DMark」(Version 2.10.6751)の結果から見てみよう。

Fire Strikeでは13000スコアー超えと非常に高い結果を叩き出した。DirectX 12のテストとなるTime Spyでも約5600スコアーと優秀な成績。やはりTuring世代のGPUを採用しているだけあって、3Dグラフィックスの性能は十分に高いと言えそうだ。

続いて人気バトルロイヤルゲーム「Apex Legends」におけるフレームレートも確認してみたい。今回は、オプションから描画負荷が最大になるように設定した上で、実際にゲームをプレイ。そして、プレイ中の1分間のフレームレートを「Frps」(Version 3.5.99)で取得した。

1920×1080ドットでも最小フレームレートが100fpsに迫る勢い。1600×900ドットにいたっては、最小フレームレートが120fps弱、平均フレームレートが137fpsほどと、リフレッシュレート144Hzに対応した液晶パネルを十分生かせるだけの性能を見せた。

それは「Fortnite」でも同様のことが言えそうだ。今回は、プリセットから「エピック」を選択した上で実際にプレイし、1分間のフレームレートをFrapsを用いて取得している。

エピックプリセットという非常に高負荷な設定にも関わらず、1920×1080ドットで常時80fps以上の高フレームレートを発揮。1600×900ドットでは100fpsを切る場面がまったくなく、高画質設定時でもかなり快適にプレイできることがわかった。

さらに、人気MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」も実行しておこう。ここでは、「最高品質」プリセットを選択している。

1920×1080ドットでも約13000スコアー、平均フレームレート91.3fpsを記録。スクウェア・エニックスが示す指標では7000スコアー以上が「非常に快適」とされており、PH315-52-A78U6TでファイナルファンタジーXIVが快適にプレイできる点に疑いの余地はない。

動画編集などのコンテンツ制作でも活躍できる

ゲーム以外の性能も「PCMark 10」(Version 2.0.2115)でチェックしておきたい。今回は、無償版でも実行できるPCMark 10“無印”のテストを実行した。

基本性能を示すEssentialsが9000スコアーを超え、Digital Content Creationは6000スコアー以上と、コンテンツ制作でも活用できる高い実力を備えていることがわかる。ゲーム以外でも十分頼りになるノートPCだと言える。

まとめ:20万円を切る実売価格が魅力、512GB SSDの上位モデルもある

以上のテスト結果から明らかなように、PH315-52-A78U6Tで持たらされるゲーム環境はかなり快適だ。また、コンテンツ制作にも適しており、動画編集ソフトウェアである「PowerDirector for Acer」がプリインストールされているため、プレイしたゲーム動画を録画・編集し、それを動画配信サイトで公開するといった楽しみ方も十分可能だ。

ただし、ストレージはNVMe接続の256GB SSDのみと、容量面にいささか不安が残る。ゲームをいくつもインストールしてプレイするといったスタイルを採るユーザーは、ストレージ容量が512GBの上位モデル「PH315-52-A76Y6T」(実売価格21万5800円前後)をオススメしたい。

とはいえ、PH315-52-A78U6Tの価格は実売で20万円を切っており、コストパフォーマンスはこちらのほうが良好だろう。なるべく安価で快適なゲーム環境を望むのであれば、PH315-52-A78U6Tを選ぶのが得策だろう。