次世代Surfaceがついにベールを脱ぐのか、10月の新製品イベントを予測する

今年も恒例の秋の新製品シーズンがやってきたようだ。Microsoftが8月27日(米国時間)、米国内のメディア関係者らに10月2日にニューヨークで開催される新製品発表イベントの招待状を送付したと、複数のメディアが報じている。

例年通り、このイベントはSurface関連の新製品の発表が中心となる。製品開発担当のパノス・パネイ氏が先日の来日で予告していたように、米国でのイベント開催からおそらくほとんど時間を置かずに日本国内でも製品発表イベントが開催される可能性が高いとみられるが、今回はその前に現状出ている情報について少し整理してみたい。

「2画面Surface」に関する話題

イベントで発表される新製品の内容について、ここ最近は識者の間での予測が比較的一致している傾向が強かったが、今回は割と意見が割れている印象がある。ITmedia Newsでもこの話題を扱っているが、The Vergeのトム・ウォーレン氏の記事を引用しつつ、「『Centaurus』の開発コード名で知られる2画面折りたたみ式のSurfaceが発表されるとみられる」としているものの、ウォーレン氏自体が記事中で「Microsoftがこのハードウェアを10月のイベントの場で発表あるいはローンチするかは不明瞭だ」と言及し、ある情報源からの話として「2画面Surfaceのターゲットは2020年」という情報を紹介している。

同様に、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏もこのタイミングでの2画面Surface発表に懐疑的であり、やはり2020年ターゲット説を唱えている。Windows Centralのザック・ボーデン氏も、やはり同様の「2020年がターゲット」という意見のようだ。

以前に、2020年第1四半期をターゲットにしているという記事が出回って話題になったが、内容から判断して情報の半分程度は信ぴょう性に乏しいもので、あくまで「2020年」くらいに考えておいた方がいいかもしれない。

開発コード名「Centaurus」とは

もう1つ、「Centaurus」について復習しておくと、過去には「Andromeda」の名称で呼ばれ、後に「Windows Lite」の名称で「モジュラー構造となったWindows OS」として紹介されることになった「Windows Core OS(WCOS)」を搭載したデバイスの“1つ”という扱いのようだ。

意味合い的にはWCOSを搭載したデバイスのうち、2画面構造を持つものを「Centaurus」で呼んでいるようだ。ただし、聞こえてくる開発コード名が数カ月おきに変わっており、WCOSのバリエーションの1つである“軽量版Windows”の名称が「Windows Lite」、それが前述のボーデン氏によれば後に「Santorini」の名称に変わっていたという。

一方で、そもそも「Centaurus」や「Windows Lite」ではない全く別の名称として「ModernPC」というキーワードが出てきており、コード名から情報を推測するのが非常に困難な状況にある。メディア各々が異なる情報源を持っている証拠でもあるが、現段階でソフトウェアの大きな変更を伴うハードウェアの周辺情報が全く集まっていない状況を見る限り、いきなり製品がローンチされる可能性が低いのではないかと筆者は考える。

という形で2画面Surfaceの話題がフェードアウトしていく中で、「今年は目玉製品がないんじゃないの?」と思われるかもしれない。だが既存のSurface製品群の大量リフレッシュが控えており、そのうちのいくつかはフルモデルチェンジが期待される。

筆者が個人的に注目しているのは、2018年時点で2019年の大幅リフレッシュがうたわれていた「Surface Pro」や、既に前回のモデルから1年半以上が経過している「Surface Go」あたりだ。

新しくなる既存のSurfaceラインたち

新製品が発表される可能性のあるラインアップ一覧としては、Windows Centralの記事が見やすいが、「Surface Laptop 3」「Surface Pro 7」「Surface Book 3」「Surface Go 2」「関連アクセサリー」あたりが有力とされている。

過去にも何度か触れられているが、今回のSurface新製品では「USB Type-C端子」が標準実装されるといわれている。これまで頑なにUSB Type-C端子の搭載を避けてきたSurfaceだが(パネイ氏を含む開発メンバーの意向だといわれる)、さすがに周辺機器が増え続ける中で未対応というわけにもいかず、ようやくという形で重い腰を上げることになりそうだ。

逆に、既にUSB Type-Cを搭載しているSurface Bookのような製品の場合、プロセッサを含む機能のマイナーチェンジに留まる可能性がある。

注目は「Surface Laptop 3」で、以前に一部でうわさされていたAMDプロセッサを搭載するモデルとなる可能性が高い。それ以外に変化する点はインタフェースで、従来のSurface ConnectがUSB Type-Cで置き換えられる可能性がある。

開発チームのメンバーによれば、「日本の炊飯器にあるマグネット着脱構造の電源にヒントを得た」というSurface Connectだが、そのこだわりを捨てて単純にUSB Type-Cにリプレイスするのではなく、何らかの工夫があると期待したい。

次に、筆者が今回の目玉と考える「Surface Pro 7」と「Surface Go 2」だ。過去の情報と筆者自身の情報を総合する限り、今回のSurfaceタブレットのラインにはデザイン上の変更がいくつか加えられる。そのため、キャンペーンなどを通じて安価に現行モデルを入手するのでもない限り、来る10月の製品発表イベントの情報をチェックしてから購入に動いた方がいいかもしれない。

内部的な大きな変更はジョー・フォリー氏も触れているように、QualcommのSnapdragon 8cx採用モデルがSurface Proのラインに追加されることだ。

Windows 10 Enterpriseに対応して企業向けをプッシュする8cxだが、その最大の特徴は「Always Connected PC」であり、LTEモデムが標準搭載される。一方で他のIntelプロセッサモデルにはLTEモデムが搭載されない可能性が高いとのことで、このあたりが選択のポイントになりそうだ。

同様に、Surface GoのLTE搭載の有無もプロセッサ仕様に依存する可能性が高い。同時に、日本での注目は「8cx版Surface Pro」が市場投入されるかにある。引き続き情報を待ってほしい。

なおボーデン氏は、今回の製品発表イベントで2つの開発コード名を挙げている。1つは「Excalibur」で、これが前述の「8cx版Surface Pro」だという。もう1つは「Morrison」で、Surfaceブランドのイヤフォンのようだ。新しいラインの製品こそないものの、「買い換えを検討」するのに適した年だともいえる2019年。1カ月後のイベントで出てくる情報に期待したいところだ。