今秋、iPadに魔法が宿る。iPadOSを触ってわかった9つの新機能

今年秋にリリース予定の「iPadOS」。ソフトウェアのリリースにここまでワクワクするのは、iPadOSが初めてかもしれません。

まったく新しいOSでiPadは、パソコンの代わりにはなるのか? 進化に期待してもいいのか?

その答えを求めて、現在公開されているiPadOS Beta版を手元のiPad Proにダウンロードしてみました。

現時点でわかっている、iPadOSの全貌をお伝えします。

現在公開されているiPadOSは開発者向けのBeta版です。Apple BetaSoftware Programに登録をすれば、誰でもダウンロードできますが、まだ開発段階のため不具合があります。

ダウンロードする場合は、自己責任でお願いいたします。

また、記事内で紹介する機能が、正式版ではなくなる可能性もありますのでご了承ください。

1. 操作性を向上させたマウス操作

待ちに待ちました。iPadOSは、ついにマウス操作に対応します!

早速、無線のマウスを繋げて使ってみたところ、それはそれは快適。「これが欲しかったんだよ!」という気持ちで溢れかえりました。たとえて言うなら、片思いだったiPadへの想いが、ついに両思いになったような、そんな気持ちです。

みなさんの期待通り、このマウス操作は、iPadを仕事用デバイスに変える魔法と言っても過言ではありません。カーソルはビュンビュン動くし、スクロールだってマウスでできちゃいます。ホーム画面を右クリックでドラッグして、画面の切り替えもできました。

パソコンと異なる点としてカーソルが円になっています。だからと言って、操作しにくいことはまったくなく、逆に新鮮。

ただ、タブレットというだけあり独自の使い方もあります。

たとえば、左クリックを押すと、画面右側のAssistiveTouchが開き、様々なコマンドを選択できるようになっています。

Siri、画面のスクショ、再起動などがありましたが、中でもホームがあるのはとっても便利。わざわざiPadの画面をタッチしてホームに戻るのは面倒だったので、これでストレスがだいぶ緩和されそう。

現時点で言えるのは、文章の編集が非常に楽になりそうということ。エクセルを使った表や図の作成や修正、数式の管理などもより素早くできるようになるでしょう。とにかく今まで指でやっていた操作が、マウスにより細かい動きができるようになります。

今まではクリエイティブツールや動画観賞用だったiPadも、マウス操作を手に入れたことで仕事で使えるツールにグッと近づきました。

2. テキスト編集機能が大幅に向上

文字と文字の間にカーソルを移動させるのが非常に困難だったiOSですが、iPadOSでは全体的にテキスト編集機能が大幅に向上したのを実感しました。

特に、テキストの範囲選択は目を見張るものがあります。タップ2回で1つの単語、3回で1つの文章、4回で段落全体を選択できるようになりました。パソコンでは当然のようにあったこの機能も、ついにiPadに…。感動です。

ただ、マウスで文章の範囲を選択することはできませんでした。タップorクリックで選択範囲を指定するようです。正式版では変更になる可能性もありますが、あくまでもiPadはタブレットという位置付け。タッチ操作優先でOSが作られているのは明白なので、変更はないかもしれません。

それでも、テキストの範囲選択のおかげで、生産性が爆上がりそうな予感がします。メール作成、資料作成時には必ずと言っていいほど必要な機能でしょう。

3. トップ画面にウィジェットを追加できる

この画面を見て、何か不思議に感じませんか? そう、左3分の1にウィジェットを埋め込めるようになったんです。

「マップ」「天気」「Siriコマンド」「予定」「iPhoneやApple Watchの残りバッテリー」「ニュース」など、気になるウィジェットを常に表示しておけます。よく使うアプリがある人は、ここに固定して置くこともできますね。

「いやいや、今まで通りアプリの表示だけでいい」という人もご安心ください。非表示にして今まで通りアプリだけを表示させることもできますよ!

4. Split Viewで同じアプリを2つ開けるようになった

iPadOSでは、SafariやWord、Excleなど同じアプリを並べて見ることができるようになりました。個人的にはかなり嬉しいこの機能。iOSでもSplit Viewはありましたが、そもそも1つのアプリで2つのウインドウを表示することはできませんでしたからね。

仕事柄、「Wordファイルを2つ開いて見比べる」ということがあり、2つ並べられるのはとってもありがたいところ。

他にも、ファイルをアプリを2つ開いて、データを移動することも可能になったので、データ管理もより一層楽になるでしょう。

5. Split Overで作業性アップ

Split Viewは画面を2つに分けるものでしたが、Split Overは画面上にもう1つのウインドウが浮いているイメージです。さらに複数のウインドウを重ねて開け、スワイプで簡単に切り替えができます。

カレンダーやメールアプリを表示しておく使い方もできますが、SlackやChatworkといったチャットツールを常に固定しておくのもいいかもしれませんね。NetflixやYouTubeを見たい気持ちには打ち勝ちましょう(笑)。

6. Apple Pencilのパレット移動が自由になった

Apple Pencilのおもしろいアップデートとして、パレットの移動が自由になりました。

今まではデフォルトで画面下に固定だったのですが、メモをとっている最中に邪魔に感じることも…。iPadOSでは、自由に動かせるのはもちろん、一円玉程度の大きさに収納することも可能です。これで、画面をより広く使えるようになりました!

確かに小さなアップデートではありますが、こうした小さな気使いが積もりに積もって最終的な使いやすさに繋がるんですよね。

7. ファイルを階層で表示できる

iPadがパソコンライクに使えない理由として、ファイル管理の弱さがありました。フォルダーを階層表示できなかったのです。

仕事で使うには、これはかなり致命的で…。それを改善したのが、iPadOSです。フォルダーを表示できるようにし、書類管理のしやすさが大幅に改善されました。

8. ダウンロードマネージャーが使える

Safariにダウンロードマネージャーが追加され、ダウンロードした画像や書類を一括で確認できるようになりました。この画面で、画像や資料を開いてApple Pencileで注釈を入れることも可能。

パソコンのようなデスクトップがない分、ダウンロードした画像を探すのはちょっと手間だったりします。でもダウンロードマネージャーがあることで、瞬時に画像や資料にリーチできるように。これも、ファイル管理改善の1つと言えそうです。

ちなみに、ファイルアプリにも「ダウンロード」というファイルが追加されています。こちらからもダウンロードした画像や資料を開くことが可能です。

9. USBに対応

iPadOSで、USBに対応したというのは嬉しいニュースです。近年、Google DriveやDropboxなどのクラウドサービスを使う機会が増えてきてはいますが、それでもUSBを使う機会はまだまだあります。

たとえば、Windows PCからiPadにプレゼンの資料を移すとき、AirDropは使えないので、USBの力が必要になりますよね。ささっとデータを移動させたい時は、やっぱりUSBの力が必要です。

今年の秋、iPadに魔法が宿る

iPadOSが発表された時は、「どれだけパソコンに近づくのだろうか?」とワクワクしたものです。

しかし、今回Beta版を触ってみて思ったのは、パソコンに近づいたのではなく、タブレットとしての完成形に近づいたということ。Appleは決して、iPadをパソコンにしようとしているわけではありません。

薄くて、タッチ操作ができて、自由に持ち運びできるiPadを、仕事や日常生活でより使いやすくしただけなのです。そして、私たちはそれを長年待ち望んでいたのではないでしょうか? パソコンとは全く異なる、仕事と私生活をつなぐ魔法のようなデバイスを。

もしスティーブ・ジョブズが、生前からここまでiPadの未来を考えていたのなら、驚きです。今年は、Appleの魔法に期待しましょう。

ちなみに、iPadOSの専用ページをAppleが公開しています。ここで紹介しきれなかった機能も紹介されていますよ。