6コアCore i7とRTX 2070 Max-Q搭載の15.6型ゲーミングノート「Acer Predator Triton 500」

日本エイサーは8月21日、Coffee Lake世代のCore i7とGeForce RTX 2070/2080を搭載する15.6型ゲーミングノート「Predator Triton 500」を発表した。今回はその下位モデルが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

15.6型の筐体にハイスペック一式を詰め込んだゲーミングノートPC!

今回ご紹介するのはGeForce RTX 2070 Max-Q(GDDR6 8GB)を搭載した「Predator Triton 500(型番 : PT515-51-76Y7)」。上位モデルとの違いはディスクリートGPUで、こちらはG-SYNC非対応となる。このほか、プロセッサ、メモリ、ストレージなどの主要部分は同じだ。おもな仕様は以下のとおり。

プロセッサはCore i7-9750H。6コア12スレッドでクロックは2.6GHzから最大4.5GHz。キャッシュは12MB、TDPは45W。Coffee Lake世代のモバイル用で6コアとしては、i7-9850H(2.6~4.6GHz)に次ぐSKUとなる。ノートPC用で最高性能プロセッサだ。メモリはDDR4-2666 SDRAMで8GB×2の16GB(2スロット使用で空きなし)。ストレージはNVMe SSD 512GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載する。

グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 630に加え、リアルタイムレイトレーシング機能が使えるGeForce RTX 2070 Max-Q(GDDR6 8GB)。CUDAコアは2,304。後述する3DMarkのベンチマークにおいて、ノートPCとしてはかなり高いスコアを叩き出している。外部出力用としてHDMI、Mini DisplayPort、USB Type-Cを備え、本体のディスプレイも含め4画面表示が可能だ。

ディスプレイは15.6型非光沢IPS式のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶。リフレッシュレートは144Hz。ハイエンドモデルとしては4K搭載のラインナップも欲しいところだが、そこはゲーミングPCということで、リフレッシュレートを高められるフルHDが最適という考えなのだろう。

ネットワークは、有線LANはGigabit Ethernet(Killer E3000)、無線LANはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0も搭載している。

そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3)、USB 3.1×3(1基はPowered)、Webカメラ、音声入出力。メディアカードリーダがないのは残念。キーボードはカラー3ゾーンのカスタマイズ可能なRGBバックライト付きだ。

サイズは約358.50×255×17.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.1kg。4セルリチウムイオン(84Wh/5,550mAh)、約8時間駆動可能なバッテリを内蔵し、税別店頭価格は30万円前後。昨今のハイエンドノートPCとしては高価だが、内容が内容なだけに驚くほどでもない。

筐体は少し青みがかかったように見えるオールブラック。15.6型で2kgを越えるため一般的なノートPCと比較すると重いものの、そのわりに厚みが17.9mmと内容を考えると結構スリムだ。

前面はパネルが狭額縁。中央上にWebカメラ。左側面に電源入力、Ethernet、USB(Powered)、HDMI、音声入出力。右側面にUSB×2、Mini DisplayPort、USB Type-C、ステータスLEDを配置。天板はロゴがブルーに光る。裏は四隅のゴム足と手前左右のスリットにスピーカー以外とくになにもない。付属のACアダプタは143×72×22mm(同)、重量505g、出力19.5V/9.23A。ゲーミングノートPC向けらしいサイズと重量だ。

ディスプレイは非光沢で15.6型IPS式のフルHD。発色、コントラスト、視野角は良好だが、気持ち明るさは最大でも暗めかもしれない。

キーボードは英語配列でテンキーなしのアイソレーションタイプ。写真からもわかるように、RGBバックライトが仕込まれ3ゾーンでのコントロールが可能だ。15.6型とフットプリントに余裕があり、主要キーのキーピッチは実測で約19mm確保。いびつな並びなどもない。ストロークや打鍵感も問題ない。タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレートタイプとなる。

ハイエンドモデルなだけに、ノイズ、振動、発熱が気になるところだが、これが驚くほど小さい。独自の「第4世代Aero Blade 3D」と呼ばれるファン機構により、従来と比較して、ブレードを0.1mmまで薄くしつつ風量最大45%アップ。5本のヒートパイプ、3基のファンを搭載するというだけあって冷却系が高性能なのだろう。

サウンドは一見キーボード上のメッシュ部分がスピーカーに見えるがそうではなく、裏手前左右のスリットとなる。これからもわかるように机など反射するものによって音質は大きく異なるが、さすがにゲーム用だけあって力強い。ステレオ感も十分あり、加えて筐体全体を響かす感じで迫力も増す。

標準搭載のアプリやPC上の仕様など

スタートには2つのAcerグループアプリがプリインストールされている。デスクトップは壁紙のみの変更でシンプルだが、ゲーミングPCとしては、もう少し派手でもいいような気がする。

ストレージはNVMe SSD 512GBの「WDC PC SN720 SDAPNTW-512G-1024」。データシートによるとシーケンシャルリードは3,400MB/s、同ライトは2,500MB/sとあり、ベンチマークテストでもその速度が確認できる。Cドライブのみの1パーティションで約475.82GBが割り当てられ、空き容量は438GBとなっていた。

おもなプリインストールアプリは、「Acer Jumpstart」、「Acer Quick Access」、「Acer Care Center」、「PredatorSense」、「Firefox」、「Norton Security」など、ほとんどが同社のツール系となる。独自アプリの「PredatorSense」はキーボードバックライトの設定、オーバークロック、ファン制御、モニタリングなどの機能を持ち、専用のキーがあり、キーボードからもワンタッチで呼び出すことが可能だ。

3DMarkのスコアが桁違い

ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。なお、PredatorSenseにはオーバークロックの機能があるため、参考までにTime Spyのみ通常/高速/最大の3つを掲載している。

各種ベンチマークテストのスコアがかなり高く、なかでも3DMarkの多くのスコアは軒並み4桁もしくは5桁と高スコアを叩きだしている。

Time SpyでのPredatorSenseによるオーバークロック時の性能は、通常:6,618、高速:6,682、最大:6,738と、確かに速くなるものの、極端な差は出なかった。CINEBENCH R15は、左下に表示されるランキングがOpenGLで1位、CPUでは12C/24TのXeon X5650(1,279 cb)に次ぐ2位。SSDもNVMeなので高速だ。

これだけの性能をたった約2kgのノートPCで、しかも低発熱なものが得られるのであれば、価格だけでは語れないマシンと言える。

バッテリはキーボードバックライト/ディスプレイの明るさを0%にし、電源モードをバッテリー節約機能にしたところ、残量5%までで9時間28分46秒だった。仕様より約1.5時間長い。ただしBBenchは内蔵GPUを使用しているので、ディスクリートGPU使用時にはかなり短くなることが予想される。ただ、このPCの用途を考えるとバッテリ駆動時間は移動用の補助と考えるべきだろう。

以上のようPredator Triton 500(PT515-51-76Y7)は、Coffee Lake世代のCore i7とGeForce RTX 2070 Max-Qを搭載する高性能なゲーミングノートPCだ。プログラマブルなキーボードバックライトがゲーミングの雰囲気を盛り上げ、性能のわりに発熱が少ないのも特筆に値する。そのほか、仕様上とくに気になる部分はなく、ゲーム用途のみならず、価格に糸目を付けず、とにかくCPU/GPUともにハイパワーのノートPCが欲しいユーザーにおすすめしたい。