限定色ローズゴールドや英語キーボード採用「HP Spectre x360 Special Edition」レビュー

日本HPの「HP Spectre x360」シリーズは、ディスプレー部がくるっと360度回転する機構を備えた2in1 PCだ。画面の角度を調節することで、通常のノートPCとして使用したり、タブレットや動画ビュアーとして使用したりすることができる。今回は、ラインナップのうち、ボディカラーにローズゴールドを採用した「HP Spectre x360 Special Edition」を試すことができたので、その外観や性能、実際の使い勝手などを紹介していこう。

アルミ×ローズゴールドの上品で美しいボディ

日本HPの「HP Spectre x360 Special Edition」は、13.3インチのタッチ対応液晶ディスプレーと360度回転するヒンジ機構を備えたコンバーチブルタイプの2in1 PCだ。洗練されたデザインと性能の高さで人気を集めた旧モデル「HP Spectre x360 13-ae000シリーズ」をベースに、限定色のローズゴールドや英語キーボードを採用した特別モデルで、専用スリーブケースやスタイラスペン(Spectre アクティブペン)などが標準で付属している。

登場からしばらく経つこともあって値ごろ感が出ており、本稿執筆時点では直販サイトにて最小構成時9万2500円(税抜、お買い得キャンペーン適用)という価格で販売されている。現行モデルに見劣りしないスペックを搭載していることを考えると、かなりリーズナブルだ。

もっとも値ごろといってもHPのフラッグシップブランド「Spectre」の製品だけあって、その本体の質感は非常に高い。天板やボトムケースにはアルミニウム素材が使用されており、金属ならではの重厚さや高級感が備わっている。アルミの表面には梨地加工が施されており、鈍い光沢とさらっとした手触りが楽しめる。指紋や汚れが目立ちにくいのも好印象だ。

本体カラーのローズゴールドは、主張しすぎない淡いピンクで、華やかでありながら落ち着いた上品さを感じる色。女性だけでなく男性にも人気が出そうだ。

天板、ボトムケースともに直線を意識した鋭角的なデザインで、薄さが際立つフォルムになっている。カタログスペックによると本体サイズは幅307×奥行き218×高さ13.6mmで、質量約1.29kgとなっているが、体感的にはもう少し薄く軽く感じる。天面底面ともにフラットで凹凸が少ないため、カバンなどにスムーズに収納できるのもポイントだ。

付属のアクティブペンで利用シーンが広がる

HP Spectre x360 Special Editionは、13.3型のIPS液晶ディスプレーを搭載している。視野角が広く、発色もかなりよい。グレアパネルのため映り込みはそれなりにあるが、その分、黒の締まりがよくメリハリの効いた映像を楽しむことができる。

ディスプレー部分は360度回転することができ、その角度を変えることで「ノートブック」、「タブレット」、「テント」、「スタンド」、「フラット」の5つのスタイルで使用できる。机に置いて文書を作成するときは「ノートブック」、ソファで寝そべってWebを閲覧するときは「タブレット」、テーブルのちょっとした空きスペースに置いて動画を楽しむときは「テント」という具合に、利用シーンに合わせて柔軟にスタイルを変えられるのはとても便利だ。

「タブレット」や「フラット」スタイルのとき、一緒に使うと便利なのが製品に付属するSpectre アクティブペンだ。傾き検知機能には対応していないものの、1024段階の筆圧検知やパームリジェクション機能を搭載しており、お絵描きやメモ取りなどに活用することが可能。

ペンにはふたつのボタンが装備されており、それぞれに異なる機能を割り当てることができる。新規ブラウザータブを開いたり、前のページや次のページに移動したり、音量を調節したりといった操作も割り当てられるので、ふだんよく使う機能を設定しておくととても便利だ。設定次第でWebサイトの閲覧やYouTubeの動画鑑賞などもより快適に行えるようになるので、お絵描きはしないという人にもメリットは大きいはず。

画面上部のベゼルにはWebカメラとIRカメラが内蔵されており、ビデオチャットや顔認証などに利用することができる。本体にはこのほか、インターフェイスとして本体左側面にUSB 3.1、イヤホンジャック、microSDカードスロットが、本体右側面には指紋認証センサー、USB Type-C 3.1(Thunderbolt 3)×2が搭載されている。また、北欧の老舗オーディオブランドBang & Olufsen のクアッドスピーカーも内蔵する。

ちなみに、指紋認証センサーは本体右側面に装備されているが、本体を回転して「テント」スタイルなどに変形すると、左右が逆転してセンサー位置が左側にきてしまう。そのため指紋認証を利用する場合は左手と右手の指をそれぞれ登録しておいた方が使いやすそうだ。

慣れれば使いやすい英語キーボード

本製品のキーボードはいわゆる英語配列になっており、国内で主流の日本語配列のキーボードとは搭載するキーの種類や位置が一部異なっている。またキートップのかな文字の印字も省かれている。そのため、キーボードを見ながら、かな入力する人には少々使いづらく感じるかもしれない。

ローマ字入力する人の場合も、慣れるまでは若干戸惑いそうだ。たとえば、enterキーの形状が違ったり、変換キーや無変換キー、半角/全角キーが搭載されていなかったりする。記号が割り当てられているキーも異なるので、日本語配列のキーボードに慣れている人ほど使い始めの時期はミスタイプしがち。しかし、ある程度使っていると、キー配置が合理的でタイピングもしやすく感じてくる。

キーボード自体のつくりはかなりしっかりしており、剛性が高く打鍵音も静かな方。またキーピッチが19mmあり、キーストロークは浅めながらしっかりとしたクリック感があるので、メールで長い文章を書くときなどもかなり快適だった。バックライトが内蔵されており、暗所でキーの位置を確認しやすいのも評価できるポイントだ。

タッチパッドはクリックボタン一体型で操作スペースが広く、スクロールやフリックなどのジェスチャーをしやすいのが特徴になっている。

第8世代インテルCoreプロセッサーを搭載

本製品はCPUやメモリ、ストレージなどの構成の違いにより、次の4モデルに分かれている。

今回試したのは、そのうち「ベーシック」モデルで、CPUにCore i5-8250U(1.60GHz/最大3.40GHz)、グラフィックスに統合型のインテルUHDグラフィックス620、メモリーは8GB、ストレージは256GBのPCIe NVMe M.2対応SSDが搭載されていた。ラインアップのなかでは最下位モデルとなるが、性能的には十分だろうか?

そこで、いくつかのベンチマークを実行して性能を測ってみることにした。まず、Windows 10のシステム評価ツールを実行したところ、プロセッサとメモリが9、プライマリハードディスク(SSD)が9.1という非常に高い結果になった。グラフィックスも6.5とそこそこ高く、普段使いには十分な性能を持っていそうだ。

CINEBENCH R15では、CPUのマルチコアが485cb、シングルコアが142cbという結果。現在は本製品が搭載するCore i5-8250Uの後継となるCore i5-8265Uが出ているが、スコアを見る限り、性能的に大きな差はないようだ。

次にパソコンの総合的な性能をチェックするためPCMark 8を実行したところ、スコアが3690となった。また、PCMARK 10では3595になった。

PCMARK 10のスコアの詳細をみると、基本性能を示すEssentialsが8279、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが5763と、快適さの目安となる3000を大きく超えている。クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationは2645と、目安の3000を若干下回るが、内訳をみるとPhoto Editingが3108、Video Editingが3523となっているので、写真編集や映像編集もある程度は快適にこなせそうだ。

SSDはNVMe接続のため、SATA接続のSSDやHDDに比べると高速なはず。CrystalDiskMarkでチェックしてみたところ、シーケンシャルリードが3500MB/s前後と、爆速とも言えるスピードだった。

グラフィックス関連のベンチマーク結果は次の通り。統合型グラフィックスのため負荷の高いゲームをガッツリ楽しむには少々力不足だが、軽めのゲームならそれなりに快適に楽しめそうだ。

バッテリー駆動時間も十分

本製品のバッテリー駆動時間は、カタログ値で最大約16時間45分となっており、薄型モバイルノートのなかでもかなりの性能を誇っている。そこでバッテリーベンチマークソフト「BBench」を使って実際にどのくらい向上したのかを計測してみた。電源プランは推奨設定、電源モードは「より良いバッテリー」、画面の明るさは「50%」にし、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態から電源が落ちるまでの時間を計っている。

その結果、12時間14分の駆動が可能だった。カタログスペックには少し届いていないものの、軽めの作業ならぶっ通しで使用しても半日はしっかり持つわけで、十分すぎる性能と言える。

いつでもどこでも持ち歩いて使いたい高性能2in1 PC

洗練されたデザインの筐体に第8世代Coreプロセッサーと高品位液晶ディスプレー、ロングバッテリーなどを搭載し、筆圧感知対応スタイラスペンが付属する「HP Spectre x360 Special Edition」。直販サイトでは、今回紹介したベーシックモデルが9万2,500円、最上位のパフォーマンスモデルが12万5,000円(いずれも税抜、お買い得キャンペーン適用)と、かなりリーズナブルな価格になっている。

CPUはひとつ前の世代になるものの、最新世代と比べて性能自体に大きな差があるわけではない。また、2in1 PCとしての完成度も高いので、本体カラーやデザインが気に入ったら買って損はしないはず。洗練されたデザインのノートを探している人や、いつでもどこでも持ち歩ける高性能なノートPCを探している人には、ぜひ注目してほしい製品だ。