Galaxy Note10+と過ごした24時間

8月7日、発表されたGalaxy Noteシリーズの新モデル「Galaxy Note10+」。いち早く入手し24時間触り尽くした米EngadgetのシニアエディターChris Velazcoによるファーストインプレッションをお届けします。 ■パンチホールディスプレイ

Galaxyが積むディスプレイの評価の高さは説明するまでもありませんが、この機種の6.8インチDynamic AMOLED(有機EL)ディスプレイも優秀のひと言です(細かくチェックしたいなら、Display評価サイト DisplayMateによるベタ褒めな評価記事をご覧ください)。

ディスプレイの質そのものよりも、前面中央をくりぬいて配置されたインカメラが視界を邪魔しないか気になる人がほとんどでしょう。うれしいことに、実際使ってみてほとんど気になりませんでした。カメラの縁ぎりぎりまで表示領域となっているため、目立つ場所にありながらも、カメラ部の違和感を無視して使うのにほとんど努力はいりません。 ■カメラ

大きな驚きはありませんでした。Galaxy Note10+の背面カメラは、トリプルカメラとToFセンサー(深度センサー)を組み合わせたクアッドカメラシステムを搭載します。先に発売されたGalaxy S10 5G(日本では未発売)とほぼ同じ仕様ですが、それでもまだトップクラスの性能を誇っています。みずみずしく鮮やかで、細部までくっきりと描写するGalaxyらしい写りですが、この画作りは好き嫌いがあるかもしれません。

注目すべき変更点の1つは、12メガピクセルの望遠カメラの絞りがわずかに広がったこと(Galaxy S10 5GのF2.4からNote10+ではF2.1に向上)。つまり、暗闇で望遠撮影するとき、多少撮りやすくなっています。望遠の写りをGalaxy S10 5Gと直接比較したわけではありませんが、数枚試した上ではっきりと向上しているように感じられました。

■猛烈なパフォーマンス

Galaxy Note10/10+はチップセットはクアルコム製のSnapdragon 855を搭載します。上位版Snapdragon 855+を搭載するという噂もありましたが、今年発表された競合フラッグシップスマホのほとんどと同じものを積むことになりました(販売国により、サムスン製のExynos 9825を搭載するバージョンも存在します)。

Snapdragon 855にクアルコムのAdreno 640という強力なGPUと12GBと大容量メモリ(RAM)の組み合わせるという強力な構成により、Note10+の処理性能は旧来モデルから飛躍的に向上しています。もちろん、それは他社のフラッグシップにも言えることではあります。 ■Sペンの手書き認識

筆者は最近、メモやリマインダーをスマホに入力する代わりに、紙に書き留めるようになりました。Note10+には手書き認識機能が備わっていて、Sペンでメモを書き、それを検索可能なテキストに変換できます。手書きとスマホ入力、両方の長所を生かせるわけです。

正直に言って、私のたどたどしい悪筆をGalaxy Note10+がきちんと認識したのには感心しました。文字認識は高速で、買い物リストに加えるアイテムを手書きして保存ボタンを押した直後には検索できるようになっていました。単語間のスペースの認識で一部ひっかかるところはありますが、Galaxy Note10+は手書きした文章を読みやすいテキストに変換するという仕事をしっかりと果たしています。

(注:筆者Chris Velazcoは英語話者のため、レビューは英語での文字認識についてのもの。Note10+は日本語での手書き文字認識にも対応しています)

■製品デザインの変化

これは人によるかもしれませんが、このレビューで取り上げているNote10+よりも、コンパクトになったGalaxy Note10のほうが扱いやすく感じます。「スマホは大きい方がいい!」という人なら、Note10+は前世代のNote9とほぼ同じサイズなので、特に問題なく使えるかもしれませんが、Note10+は、手の大きな人をしても手に余る大きさ、という印象です。

このスマホを使っていると、意図せず大きい画面の一角に手が触れてしまうことがままあります。そうしたときはタッチ操作がめちゃくちゃになり、しばし戸惑うことになります。

Note10+では、ディスプレイ両サイドのゆるやかにカーブした部分でタッチ反応する幅がやや広がっていて、これがミスタッチが頻出する原因となっています。ミスタッチはちょっとしたことに感じますが、つもり積もるとかなりのストレスになります。筆者としては、サムスンの大きなスマホはS10+がピークだったと言わざるを得ません。

使い道に乏しかったBixbyボタンは、ついに取り除かれました。よろこばしく思う一方で、物理ボタンが左側に集中する設計には疑問を感じます。他の多くのスマホメーカーは電源ボタンなどを右側に配置しているなかで、Note 10/10+だけが左側です。電源を切ろうとして、右側の何もないベゼルを掴んでしまうことがままありました。フォローしておくと、左利きの人にとって使いやすいスマホが登場した、と考えることはできそうです。 ■Sペンのジェスチャー操作

Galaxy Noteシリーズとして今年最も大きな変化は、新しいSペンに加速度センサーが搭載されたことです。すなわち、Sペンを魔法の杖のように振って、ショートカット操作を起動したりインカメラに切り替えたり音楽や動画再生をコントロールしたりといった機能が使えるようになりました。

現時点ではサムスンの公式アプリのみがこのSペンの新機能をサポートしますが、今後はサードパーティも対応が進むものと見込まれます。

他方で、Air Actionと名付けられたこの新機能は、一度か二度試してすっかり忘れさられてしまうのではないかという不安もあります。いくつかの操作はトリッキーで、たとえばカメラのズームを制御するAir Actionの操作は、三脚にスマホを固定して撮るような人以外には役立たない機能です。筆者は検証を続けるつもりですが、今のところ、この機能には懐疑的です。 ■バッテリー

Note10+に詰め込まれた4300mAhのバッテリーは、歴代Noteシリーズの中でも最大容量のものです。わずか1日の検証で有意義な結論を出すのは困難ですが、朝の7時45分に使い始めて、夜の18時に残量が約10%になりました(ただし、画面をオフにしてYouTube動画を聞いていた時間もかなりありました)。カタログスペックでは画面オンのままで約5.5時間使用可能としていますが、電池持ちについてはもっと詳しい検証を行うつもりです。 ■クリエイター向けの機能

サムスンがGalaxy Note10+からイヤホンジャックを廃したことで、"クリエイター向けのツール"という商品コンセプトに何か変化はあったのかと、Twitterで心配する声を聞きました。私は昨日ほとんど1日中Sペンを使って遊んで過ごしましたが、残念ながらサムスンのビデオ編集アプリを深く検証したり、「ズームインオーディオ」が本当に被写体の声にフォーカスするのかを掘り下げる余裕はありませんでした。AR落書き機能は、後日改めて検証します。 ■まだ検証できない新機能

Note 10+では、デスクトップPCのように使うDeX機能が強化されています。従来のPCモニターやテレビに繋ぐ方法に加え、Windows PCやMacに繋いでDeXインターフェイスをウインドウ内で表示できます。この新機能を使うには8月23日に公開されるPC/Mac向けアプリが必要になります。同じ事が「PlayGalaxyLink」にも当てはまります。PCゲームをGalaxy Noteにストリーミングして遊べるという新機能で5G対応のGalaxy Noteに投資する大きな動機になると思えますが、コンパニオンアプリが配信されるまで、もう少し待たなくてはなりません。

最後に、このレビューの著者Chris VelazcoはGalaxy Note 10+の検証を続けています。もし気になる点があれば、彼のTwitterアカウントに質問を投げかけてみると、レビューを通して回答が得られるかもしれません。