運動したくなるスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT」

ファーウェイから2018年12月に日本で発売され、独自OSを搭載しバッテリー持続時間の長さで好評となっている「HUAWEI WATCH GT」。実は3月にパリで行なわれたスマートフォンの「HUAWEI P30シリーズ」の発表会で、「HUAWEI WATCH GT」の新たに追加されるラインナップも発表されていた。

独自OS搭載でiPhoneでもAndroidでも使える

この春、新たに追加されたのは46mmシリーズの新カラー2モデルと、42mmシリーズの2モデル。今記事では46mmシリーズの新モデルについてレビューする。

「HUAWEI WATCH GT」の46mmシリーズに追加された新たな2モデルは、製品自体は12月に発売されたものと同じ。HUAWEIの独自OSを搭載しており、サイズはおよそ幅46.5×縦54.2×厚さ10.6mmで、重量はベルトを含まない状態で約46g。本体には加速度センサーやジャイロセンサーなど、各種センサーを搭載し、本体背面のセンサーで心拍数を計測する機能も装備している。

対応するOSはAndroid(4.4以上)および、iOS(9.0以上)。ファーウェイ製とはいえ、ファーウェイ以外のスマートフォンとも問題なく連携できるのは、うれしいポイントだ。スマートフォンとの連携は専用アプリ「HUAWEI Health」で行なう。HUAWEI Healthは健康管理用のアプリだが、HUAWEI WATCH GTとの連携機能も搭載している。

ちなみに連携させるファーウェイのスマートウォッチや活動量計は、複数の登録が可能。連携できるウェアラブルデバイスはひとつだけだが、接続を切り替えれば利用できるので、以前のモデルを持っているユーザーも安心。接続先がiPhoneなら、Apple WatchやWear OS by Google搭載スマートウォッチとの併用も可能だ。

大きな違いは進化したベルト

12月に発売されたモデルと大きく違うのは、ケースのカラーとベルトの素材。ケースの素材はステンレスと同じだが、カラーは12月のモデルがブラックもしくはシルバーだったのに対して、チタングレーとなっている。チタン自体に特定の色があるわけではないのでイメージしにくいが、つや消しのブラックといったところ。

ベルトに関しては12月のモデルがブラックはシリコン、シルバーは表がレザーで裏面がシリコンを採用。今回の新ラインアップではダークグリーンとオレンジの2色展開。素材はシリコンではなく、フルオロエラストマーを採用している。フルオロエラストマーはApple Watchのスポーツモデルに付属しているバンドにも使われている素材。

シリコンよりも耐久性があり、かつ手触りも良い。12月に発売されたブラックのシリコンバンドと比べると、フルオロエラストマーのほうがコシのある感触でより高級感も感じられる。

手に持ってみると、見た目のデザインから受ける印象よりは軽く感じる。腕に装着してみても不快さはない。ただ手首をちょっとひねった時にケースの重みを感じるときがある。

いわゆる時計メーカーの時計ではあまり感じない感覚ではあるので、このあたりの微妙の仕上げの違いが時計メーカーの技術や知見、歴史などの差にでているようだ。とはいえ微妙なわずかな感覚なので、普段使うぶんにはまったく問題はない。

充電なしでも1週間は余裕で使えるバッテリー性能

今回「HUAWEI WATCH GT」を使ってみて、いちばん驚いたのがバッテリーの持続時間。バッテリーをセーブするモードや2層式ディスプレーといった機能を活用したモデルなら数日間持続するものもあるが、一般的なタッチスクリーン搭載のスマートウォッチの場合、2日間使い続けるのが限界。

一方「HUAWEI WATCH GT」は、フル充電から通知や時刻チェックといった使い方だけなら、まる24時間装着しつづけても8%から9%程度しか消費しない。スペックでは2週間となっているが、少なくとも1週間はずっと装着していても問題ないレベルだ。

さらにGPSを常時稼働させて、ウォーキングやランニングの計測を行なうワークアウト動作時でも、30分間で約5%の消費だった。毎日1時間程度のトレーニングをしても、数日は充電なしで問題なく使える計算になる。バッテリー持続時間が長いので、就寝時にも装着してしっかりと睡眠ログをとることも可能だ

独自OSのため、サードパーティーのアプリを追加するといった機能はないものの、スマートフォンの着信やメッセージ、SNSなどのアプリの通知表示に対応。アラームや天気予報の表示、さらにディスプレーを白く発光させて灯りの代わりにする懐中電灯機能もあるので、機能としては十分。

ただしメールやSNSの通知に対して返信したり、音声アシスタントでの検索といった機能に非対応。そのためインタラクティブな機能としては、Apple WatchやWear OSのスマートウォッチが上。スマートウォッチはディスプレーが小さいので、通知などが確認できればオーケーと割り切って、それよりもバッテリーの持続時間を重要視したいというユーザーにオススメだ。

ちなみに本製品にはフライトモードが用意されていない。飛行機の離着陸時など電波を出さないようにするには、電源を切るしかない。最近は安定飛行中ならWi-FiやBluetoothは使用できる航空会社や機材も増えてきているので、電源のオン・オフではなく、フライトモードで対応したいところだ。

スポーツがしたくなるような工夫も◎

また日々のトレーニングを記録する「ワークアウト」も充実している。選択できる種目は「ランニング」や「ウォーキング」「ランニングマシン」といったものから「ハイキング」「クロスカントリー」など「自由訓練」も含めて全部で12種類。

最新モデルでは「トライアスロン」も追加されているが、これは12月発売モデルもアップデートで対応する。ただしケースには耐塩水性能はないため、海での使用はできない。

「ウォーキング」でテストしてみたところ、トレーニング時間や移動距離、歩数のほか、心拍数や消費カロリーなども表示。「心拍数」が大きく表示される画面など複数のパターンで用意されており、上下のスワイプで切り替え可能。チェックしたい項目が見やすい画面に切り替えておくと、走りながらでも視認しやすい。

また運動の強度もインジケーターでわかりやすく表示。歩き始める前や止まって休止している状態だと左下の青い「ウォーミングアップ」を指し、歩き始めると緑の「脂肪燃焼」を指す。さらにここからランニングを始めると、黄色の「有酸素持久力」となり、ペースを上げるとオレンジの「無酸素持久力」。そしてハイスピードで走り始めると赤の「最大」となる。「有酸素持久力」で走りたいのに「無酸素持久力」になっていたら、ちょっとペースを落とそうなど、ディスプレーをみるだけで、どんな状態のトレーニングをしているのかがわかるので便利だ。

もちろんスマートフォンの「HUAWEI Health」から、詳細なデータもチェック可能。トレーニングルートをマップ上にアニメーションで表示する機能もあり、ログを見ているだけでもかなり楽しい。筆者はあまり運動が好きではないが、これならちょっと走ってみようかなという気にもなる。

睡眠データが取得できるのも◎。睡眠の質は「目が覚めた」「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」の4パターンで、それぞれどれくらいの時間かがわかる。

さらに取得したデータを元に睡眠改善のアドバイスなども提示してくれる。睡眠中に装着していてもバッテリーはあまり消費しないので、充電をあまり気にせずログが取れるのもポイントだ。

通知機能などスマートウォッチに必要な機能はしっかりとおさえていながら、普通に使っていても1週間以上はもつ高いスタミナ性。さらに日々の生活やトレーニングをキッチリと記録できる機能もある「HUAWEI WATCH GT」。

価格も実売価格で2万4500円前後と手頃でコストパフォーマンスは高い。バッテリー消費の問題で一度はスマートウォッチを諦めてしまったようなユーザーに是非試してもらいたい。