ペン内蔵で世界最軽量約868gな2in1「LIFEBOOK UH95」を実機レビュー

富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)は、13.3型コンバーチブル2in1 PC「LIFEBOOK UH95」を7月18日より販売開始した。価格はオープンプライスで、店頭モデルの実売価格は23万円前後、直販モデルは163,363円(7月30日時点のキャンペーン価格)から。

本製品最大の特徴は、13.3型コンバーチブル2in1として世界最軽量の約868g筐体を実現したこと。軽量化にあたっては、ねじれに強い造形や側面部に厚みを持たせる処理などにより、従来のクラムシェルモデルと同様の評価試験に耐える堅牢性を実現しているという。今回FCCLより実機を借用したので、詳細レビューをお届けしよう。

第8世代Coreプロセッサーを採用、バッテリは25Whと50Whを用意

LIFEBOOK UHシリーズには、店頭モデル(カタログモデル)の「UH95/D2」と直販モデル(カスタマイズモデル)の「WU3/D2」が用意されている。

UH95/D2はWindows 10 Home/Core i7-8565U/メモリ8GB/SSD 512GB/バッテリ25Wh/ピクトブラック/かな表記ありキーボードという構成。

WU3/D2は、OSがWindows 10 Home/Windows 10 Pro、CPUがCore i5-8265U/Core i7-8565U、メモリが4GB/8GB/16GB、SSDが128GB/256GB/512GB/1TB、バッテリが25Wh/50Wh、カラーがピクトブラック/ガーネットレッド、キーボードがかな表記あり/かな表記なしなどから選択できる。

UH95/D2、WU3/D2ともに、ディスプレイに13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢、タッチ対応、スタイラス対応)を搭載し、通信機能としてIEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0、Gigabit Ethernetをサポートしている。残念ながらWWANは用意されていない。

ちなみに直販モデルは、Windows 10 Home/Core i5-8265U/メモリ4GB/SSD 128GB/バッテリ25Wh/かな表記ありキーボードという構成で196,824円(キャンペーン価格163,363円)、Windows 10 Home/Core i7-8565U/メモリ16GB/SSD 1TB/バッテリ50Wh/かな表記なしキーボードという構成で344,904円(キャンペーン価格286,270円)となる。

本製品は世界最軽量を謳う13.3型コンバーチブル2in1だが、その重さを忘れてほかの製品と比べると、かなり高価だなというのが率直な感想だ。

なお以降UH95/D2、WU3/D2を合わせて「LIFEBOOK UH95」と記載させていただく。

軽さと堅牢性を両立しつつ、ユーザービリティに妥協なし

LIFEBOOK UH95の本体サイズは309×214.8×16.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約868g。13.3型コンバーチブル2in1として世界最軽量筐体を実現しつつも、従来のクラムシェル型ノートPCで実施していた耐落下、耐加圧、耐振動試験に加えて、ヒンジ評価(360度開閉試験/360度ひねり開閉試験/高速開閉試験)、ペン評価(ペン挿抜試験)、タブレット時のキーボード評価(キーボード面転倒試験/10cm繰り返し片持ち落下試験/摩擦試験)などの「2in1専用試験」が実施されている。

実際にいじくり回してみた感想としては、パームレスト部を握って上下に振ると筐体底面にじゃっかんのたわみは感じるが、筐体からきしみ音などはいっさい聞こえてこなかった。しいて雑に扱う必要はないが、堅牢性は頼りにしてよさそうだ。

個人的にもっとも高く評価しているのはインターフェイスが充実していること。USB 3.1 Type-C×1(USB Power Delivery対応、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0 Type-C×1(USB Power Delivery対応)、USB 3.1 Type-A×2、HDMI、ヘッドセット端子、有線LAN端子、SDカードスロットが搭載されている。一般的な使い方であれば拡張用のUSB Hubなどは必要ない。

またワコム製4,096段階デジタイザペンを内蔵できるだけでなく、Windows Inkワークスペースをワンプッシュで起動できる専用ボタン「ショートカットボタン」をキーボード奥に用意したり、タブレットスタイルでホワイトボードを撮影するためのカメラをキーボード奥左寄りに設置するなど、軽さを追求するだけでなくコンバーチブル2in1としての使い勝手を向上させるための工夫が盛り込まれている。軽さと堅牢性の両立が注目されているが、ユーザービリティに妥協がない点こそ、LIFEBOOK UH95がもっとも評価されるべき点だと思う。

同社クラムシェルPCと同等の打鍵感、ペンの書き味は硬め

コンバーチブル2in1としての使い勝手は申しぶんない。正直これまでほかの2in1を試用したときには「タブレット端末」としては重すぎるといつも感じてきたが、約868gのLIFEBOOK UH95なら長時間片手でホールドしても疲れは少ない。個人的には電車車内で立ったままでも片手で扱える重量だと感じた。

キーボードの使い勝手も良好だ。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mmが確保されており、打鍵感は良好で、打鍵音も低め。カーソルキーは凸型に配置されており、無理なく操作できる。同社のクラムシェル型ノートPCと同様に長時間快適に文字入力できるキーボードだ。

LIFEBOOK UH95の入力デバイスで唯一不満を感じたのが専用デジタイザペン。筆者にはペン先が硬すぎるように感じた。「Apple Pencil」のような硬いペン先が好きな方ならよいが、筆者のように軟らかいペン先が好みならワコムのAES規格に対応した他社製デジタイザペンを試してみよう。

筆者は「Dell Premium Active Pen(直販価格14,796円)」で書けることを確認した。Dell Premium Active Penのペン先は軟らかめなので、アナログの筆記用具のような書き味を得られる。ただし、この組み合わせでは傾き検知機能を利用できなかった。おそらくLIFEBOOK UH95自体が傾き検知機能に対応していないと思われる。

ノートPCとしては平均以上の色域、サウンドに過大な期待は禁物

LIFEBOOK UH95には、13.3型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢、タッチ対応、スタイラス対応)ディスプレイが搭載されている。実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率は97.2%、sRGB比は100.9%、Adobe RGBカバー率は72.8%、Adobe RGB比は74.8%とかなり高めの値が出た。モバイルノートPCとしては平均以上の色域を備えていると言える。

一方、サウンドについては過大な期待は禁物だ。音が割れていたり、びびり音が鳴るような明らかな破綻はないが、いかにも小口径スピーカーなりのサウンドだ。ボリュームが小さいし、音もこもっているように感じる。映画やミュージックビデオ、音楽を楽しむのであれば、ヘッドフォンや外付けスピーカーを用意するべきだ。

バッテリ駆動時間を優先させるなら50Whバッテリは必須

最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2115」

3Dグラフィックベンチマーク「3DMark v2.9.6631」

CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」

CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」

ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」

バッテリベンチマーク「BBench」

CPU単体の処理能力を見てみると、CINEBENCH R15.0でLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約86%、CINEBENCH R20.060でLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約89%のスコアだ。3DMarkでもNight Raidを除いた項目はLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約89~93%にとどまっている。そしてPCMark 10のトータルスコアでLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約88%となっている。

CrystalDiskMark 6.0.2で計測したストレージ速度も、Q32T1シーケンシャルリードでLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約56%、Q32T1シーケンシャルライトで約90%と大差がつけられている。

処理能力以上に厳しく思えたのがバッテリ駆動時間。PCMark 10の「PCMark 10 Modern Office Battery Life」でLIFEBOOK UH95はThinkPad X1 Yogaの約42%に相当する6時間、「BBench」で約32%に相当する4時間9分33秒にとどまっている。4~5時間動作するならば、できるだけ軽い方がいいという方は25Whバッテリでもよいだろう。しかし長時間バッテリ駆動が必須条件なら、直販モデルで50Whバッテリにアップグレードすることを強くおすすめする。

高負荷時の表面温度については、CINEBENCH R20.060を3回連続で実行中に計測してみたが、表面が51.3℃、裏面が51.1℃とかなり高い値を記録した。しかし、いずれも放熱口から出る熱風が直接当たっているヒンジ部分だ。写真全体を見ると本体やや左寄りの温度が高くなっているが、極端に温度が上昇しているスポットはないようだ。ヒンジ部さえ避ければ、膝上で利用する際に熱を不快に感じることはないだろう。

処理性能だけではなくトータルバランスに優れた2 in 1を探している方におすすめ!

率直に言えば、LIFEBOOK UH95はベンチマークスコアだけで比較すると、同じプロセッサを搭載したノートPCより見劣りするのは事実だ。しかしLIFEBOOK UH95は13.3型コンバーチブル2in1として世界最軽量の筐体、使い勝手のいい入力デバイス、内蔵できるデジタイザペン、SDカードスロットも用意された豊富なインターフェイスと多くの美点がある。処理性能だけではなく、トータルバランスに優れたコンバーチブル2in1を探しているなら、LIFEBOOK UH95は非常に魅力的な選択肢だ。