「Windows 7」サポート終了迫る、「Windows 10」移行に向け課題は

「Windows 10」の利用が「Windows 7」よりも増え、PCでもっともよく使われているOSになってからしばらく経った。しかし、Windows 7のサポート終了を間近に控え、まだ課題は残っているようだ。

Windows 7の延長サポート終了まで残り6カ月となったが、現状を(少なくとも大まかには)見て取れるデータはいくつも存在する。

IT企業Kollectiveが英国と米国の意思決定者200人を対象に実施した調査によれば、大企業の5分の1弱はまだWindows 10への移行を終えていない。これはかなり深刻な数字だが、2019年の初めに同社が実施した同様の調査では43%という数字が出ており、それよりは下がっている。この調査では、企業の大半がすでにWindows 10への移行作業を始めており、4分の3は移行プロジェクトを完了したと推定している。一方で、残りの4分の1はまだ作業中であり、残された6カ月はすべての作業を終えるには十分ではないかもしれない。

認証ソリューションを提供する企業Duoが実施した別の調査によれば、同社のソフトウェアを利用しているPCの66%をWindows 10が占めており、Windows 7は29%だったという。一部の業界では状況はさらに深刻だ。Duoは、特にWindows 7の利用が多い業界として医療業界を挙げた。忙しい病院でアップグレードを行う時間を見つけるのは大変であり、一部の医療機器はそもそもアップグレードが不可能であることなども原因になっているとみられる。また、「Windows XP」が気がかりなほど多く使われていることも注目に値するだろう。英国の国民保険サービス(NHS)では、リリースから18年経つWindows XPが依然として2300台のPCで利用されているという(ただし、NHSでは140万台のPCが使われており、これはその0.16%にすぎない)。

NetMarketShareが発表したデータは、Windows 7の利用は徐々に減っていることを示しており、今ではインターネットに接続しているPCの38%前後まで減少した。Windows 10がWindows 7を初めて上回った2018年の終わりには約40%だった。こうした数字の根拠に注意を払うことは重要だが、大局的なトレンドは明らかだ。

Windows 7とWindows 10に関する正確な数字はともかく、2020年1月14日に延長サポートが終了するまで6カ月弱しかない現在でも、依然として多くのPCでWindows 7が利用されていることは明らかだ。

1月半ばまでにWindows 7からの移行を完了できない企業や、何らかの理由でWindows 7を使い続けたい企業には、Microsoftから延長サポートパッケージを有償で購入するという選択肢も存在するが、それにはかなりの費用がかかる。

しかし、仮にそれらの企業が期限までにWindows 10への移行を終えられたとしても、今度は「サービスとしてのWindows」の新しい世界に順応するという、新たな課題に直面することになる。

これは、数年に一度、大規模な「リフトアンドシフト」式の移行を行うのではなく、定期的に機能アップデートやセキュリティパッチの適用を行っていく必要があることを意味している。このモデルには利点も多く、企業にとってもメリットがある。新しい機能やセキュリティパッチを準備が整い次第利用できるようになり、それらをまとめた次のバージョンのWindowsを待つ必要がなくなるからだ。

問題は、米ZDNetで記事を執筆しているEd Bott記者が指摘しているように、サービスとしてのWindowsが始まってから4年経ったにも関わらず、Microsoftがアップグレードのプロセスを統制し切れていない部分があることだろう。

Windows 10を理解するために十分な時間と手間をかけてきた大企業には問題はないだろう。だが、Windows 7のサポート終了期限が迫ってきたことで、慌ててWindows 10について検討している企業には問題が起こってもおかしくない。それらの企業は、テストの強化や定期的なロールアウトに対する準備を整える必要がある。しかしこれは、ソフトウェアのアップデートやパッチの適用ですでに後れを取っている多くの企業にとっては、簡単なことではないだろう。

多くのそうした企業にとって、今回のWindowsの移行は、変化の終わりではなく始まりになるはずだ。