ROG Zephyrus S (GX701) 実機レビュー = 超薄型ノートでもバリ速の時代が来たのだ~!!

ASUSの夏モデルゲーミングノートでおじさん的にいちばん気になっていた、超薄型爆速マシン「ROG Zephyrus S」の17型モデル「GX701GXR」が編集部に届いたのでさわってみた.

2017年に登場したZephyrusシリーズは、NVIDIAが発表したばかりのMAX-Qテクノロジーを使った初の新設計ノートだ.15型でスリムボディながら、液晶と連動して底部が開き、大きな吸気口となる「しくみ」が大きな特徴だった.

当時は第7世代のTDP45W4コア8スレッドのHプロセッサーi7-7700HQに、GeForce GTX1070/1080をMAX-Qで搭載していた.そして、2019年3月に発売となった春モデルでは初代の厚み(16.9~17.9ミリ)から、さらにスリム化を実現して15.35~16.15ミリになりました.にもかかわらず、冷却能力は向上して、6コアのi7-8750Hを搭載し、GPUはRTX2070/2080をMAX-Qで搭載してしまいました.そして今回の2019年夏モデルでは、17型が加わったのです.

RTX搭載なのに 世界最薄のゲーミングノート

今回の17型モデル(GX701GXR)は、第9世代コアHとGeForceのRTX2080をMAX-Qで搭載し、厚みは18.7ミリを実現.15型モデルの「GX531GWR」はRTX2070をMAX-Qで搭載して16.15ミリを実現している.これはどちらも「世界最薄」である.

CPUは両サイズともに、最高4.5GHzで6コア/12スレッドのi7-9750Hを採用.さらに144Hz+3msの高速駆動型液晶を搭載している.解像度も両サイズともにフルHDで、もちろん「ノングレア・ノンタッチ」だ.

メインメモリは17型が32GB、15型が24GBで、SSDはきっぱりと1TBを搭載しているのはエラいのである.ただし、スペック表では17型はPCIe3.0x2接続で、15型はx4接続となっている.

インターフェイスのUSB関連はUSB3.1Gen2のタイプC×1、Gen1のタイプC×1、タイプA×1に、USB3.0のタイプA×2と全部で5つも積んでいて、足りなくなることはない.

手前型キーボードはそのまま 左右にスピーカーでサウンドも向上

サイズは17型のほうが399×272ミリで、15型は360×268ミリだから、横幅は39ミリの差があるが、奥行きは4ミリしか違いがない.重さは17型が2.65キロで15型が2.1キロと550グラムの違いがある.

さて、全体のデザインは2017年から変わらず、最も特徴的なのがキーボードが手前ギリギリに設置されていることだ.液晶とキーボードの間の内部にはマザーボートがあり、CPUとGPUからの発熱をキーボードからユーザーの指先に伝えないことと、この中間部分に小さい穴を多数開けて、吸気をおこない、より効率的な冷却を行うという目的がある.

事実、各種ゲームやベンチマークテストで操作していても、従来型のゲーミングノートのような「あたたかさ」はまったく指に感じない.

キーボードは両サイズともに同じデザインで、おじさんの好きな英語配列のみである.メインキーの右側のタッチパッドはテンキーボタンを押すと赤い数字が浮かび上がり、テンキーとして使うことができる.

ポインティングデバイスが右側に寄っているのは、すなわち右手だけでこれを操作しなさいということである.通常の中央にあるタッチパッドはポインティングとボタン押しを両手で行えるのだが、この位置ではちょっと無理で、マウスを使うかのように右手だけで、ポインティングからドラッグまでこなさなければならない.

だが、逆にそれができるようになれば、SHIFTやCTRLを押しながら、マウスカーソルを操作できるわけで、まさにマウス+キーボードという黄金の操作ができることになる.これは訓練してでもやってみたくなるのだ.

テンキーボタンの右には、おなじみのROGキーがあって、こちらを押していただくと、「ArmouryCrate」が起動する.CPU・GPUのオーバークロック指定も可能な統合コントロールソフトで、キーボードバックライトや周辺機器の色指定を行う、「Aura Sync」もここにある.カスタマイズしたいことがあったらこのボタンを押すだけというのは迷いがなくていい.

薄型なのに剛性感は高く 中身が詰まっている感じです

本体を手にした感想は、やはり「うっすっい~」である.とはいえ本体重量が2.6キロあるから、軽快感ではなく、凝縮されたモノという、まさにモノリスを手にしたような嬉しさがこみ上げる.

液晶を開けると、底板の後部が持ち上がるギミックは初代から続く伝統芸で、17型でもキーボードが若干傾くのはわかるが、15型ほどの傾斜は発生しない.

手前寄りのキーボードは、15型ではホームポジションに手をおくと、液晶面が遠くなった感じがしたのだが、17型だとちょうどいい距離感になる.

タッチパッドはスベリがよくて片手操作も慣れそうだが、カタチが縦長なので、横方向にマウスカーソルを動かすのがちょっとまだるっこしい.逆に、ブラウザーで画面を上下にスクロールさせるのはとても楽なのである.17型はキーボードの左右が余っているというか、そこにスピーカーが設置されているが、本気でこのレイアウトを推すならば、タッチパッドの面積を横方向に増やしてほしい.おじさんとしてはキーボード中央部に「トラックポイント」的なものをおいていただくだけで十分なんですけどね....

ターボモードの威力 ついにFireStrikeが18000 PortRoyaleが5000を超えた!!!

おなじみのベンチマークテストを行ってみた.ArmouryCrateのTurboモードを指定して実行している.

まずCinebenchのCPU値は1299をマーク.ぎりぎり1300に届かなかったが、i7-9750Hを搭載したノートでの最高値である.

3Dmarkでも記録を樹立(といってもおじさんの経験内ですが)、FireStrikeで18826と、シングルGPUのノートPCでは最高値を叩き出してくれました.

そして、GeForceがRTXになってから実施しているレイトレーシングのPortRoyaleでは5007と、こちらも初めて大台を超えた.スリム型ながら、メインボードの上には多穴ボード、底面も開口型で大量の冷却用吸気の威力である.

とはいえ、いちばんファンが回っても、変な高音や、ボーボーとうるさい騒音はしない.排気は背面と本体の左右両面と、全方向に拡散する設計である.

SSDはインテルのSSDPEKNWの1TBモデルが搭載されているのだが、スペックではPCIe3.0x2とあるとおり、x4よりは遅い結果で、CrystalDiskmarkのマルチシーケンシャルはリードが1562に留まったがライトは1701と逆転した結果となった.

バッテリーは76Whを搭載しており、おなじみBBenchで液晶輝度最大、CrateはWindows設定にして、最も高いパフォーマンスにたところ、1時間30分稼働した.Crateのサイレントモードだと、2時間稼働したので、17型液晶の消費電力を考えれば省エネ型である.

ACアダプターは19.5V11.8Aの230W出力型で、重さはケーブル込みで804グラムある.上記と同じ条件で利用しながら充電すると、50%まで33分、70%まで54分、90%まで82分と、バッテリーをいたわるために満充電に近づくと、低速になるタイプである.30分で半分充電できればまったく不安はない.

最上位ノートパソコンも 超薄型の時代に突入なのである

今回の新ゼフィーの2モデルは、第9世代コアの同じCPUを搭載して、液晶サイズとGeForceRTXの2070か2080かが最大の違いである.

奥行きは5ミリしか違わず、重量は500グラムも違う.そして熱設計は最高レベルで、CPUもGPUも最大回転する.あとは、どれくらい持ち歩くのか、500グラムの差をどう考えるかだ.

いづれにしても、超高速な超薄型ゲーミングノートとして、また、モノリスタッチでソリッドで、デザイン的にもスマートなので、クリエイターPCやモバイルワークステーションとしてもカッコよく使えるモンスターノートなのである.買っておこう!!