Windows 10 Pro搭載の超小型“チビパソ”「GPD MicroPC」を衝動買い

Windows 10 Pro搭載の超小型“チビパソ”
「GPD MicroPC」を衝動買い

2019年の4月初旬にウェブで注文したGPD MicroPC(ジーピーディー・マイクロPC:以降MicroPC)が約3ヵ月後の7月初旬に届いた。

ここ3年ほどは、年に数個のクラウドファンディング商品を衝動バックすることが多く、GPD MicroPCは、雰囲気的に少しデリバリー期間の短いクラウドファンディングのような印象を受けていた商品だった。販売元から出荷案内が届いた7月初旬にも、正直それほどの期待感は無かった。少し多忙な週でもあり、商品を受け取って実際に梱包を解いて電源を入れたのは、なんと3日後だった。

ところが、いろいろ設定をやり始めると、やっぱり久し振りの「チビパソ」(筆者周囲の方言)は、昨今のように呼び方が“UMPC”(Ultra Mobile PC)と変化してもめちゃくちゃ楽しいガジェットだった。

筆者は1990年代初頭に出張で出かけた西海岸の「Fry's」で衝動買いした「HP95LX」の堅牢さと楽しさに夢中になり、それがきっかけになって日々小さなガジェットにハマってしまう生活になってしまった。

その後は「HP100LX」「HP200LX」とお決まりのコースを進み、自らも商品企画に参画した日本IBMが1995年に発表した「IBM Palm Top PC 110」(通称:ウルトラマンPC)そして、その12年後の2007年に富士通が発表した「FMV-BIBLO LOOX U50WN」も衝動買い。2019年の夏に衝動買いした「GPD MicroPC」につながっている。

その間、チビパソの本体重量は初代の「Palm Top PC 110」の時代から、630g→580g→440gとどんどん軽く、高機能に変化し続けてきた。

今回筆者が予約購入した天空のGPD MicroPCモデルは、同社独自のキッティングによる出荷を行っているようで、本体の付属品(ACアダプターとUSB Type-Cケーブル、保証書、取説)以外に、オマケとして専用ケース、3ポートUSBハブやイヤフォン、ストラップ、液晶画面拭きクロス、KingSoft社のWPS Officeのライセンスカードなどが入っていた。

超小型PCながら入出力端子が充実
OSにWindows 10 Professionalを採用

富士通のLOOX Uはすでに手元には無いが、自宅にあるPalm Top PC 110とMicroPCを並べて比べてみると、MicroPCがほんの少し小振りだ。またThinkPad同様、Palm Top PC 110は直線的でシャープなイメージだ。LOOX Uは両者の中間的な外観デザインとなっている。

MicroPCの最大の特徴は、このサイズにしては入出力拡張ポートが充実していることと、Windows 10 Professionalを搭載し“ハイパフォーマンス産業用小型PC”という位置付けになっているところだ。

もちろん、メーカーの想定通りの市場で大活躍するイメージは十分伝わるのだが、筆者のように、モバイルパソコンもフル入出力ポート型大好き人間には、ビンビンと脳みそとハートにアタックされる感じがするのだ。

実際のポート構成は、背面にHDMI 2.0ポート、USB 3.0×2、USB Type-C(3.0)、RJ-45、RS-232C。そして左側面には、3個目のUSB 3.0とmicroSDXCスロット(最大2TB)が配置されている。

実際に、背面に配置された6個の拡張ポートすべてに同時に対応するケーブルを何度か抜き挿ししてみたが、まったく問題は無かった。筆者の大好きな機能性とは関係なく、過剰に外観デザインに凝ったUSBメモリーの中には両側にケーブルがあることで極めて抜き挿ししにくい商品もあったが、側面には3番目のUSB 3.0ポートがあり、それも問題ないだろう。

このように、MicroPCは極めて小さなボディーサイズであるにも関わらず、入出力拡張ポート的には大型サイズのラップトップPCのようなハードウェア設計だ。そして、それらの使い勝手を考え実現するために外観デザインもヒンジ部分が大きく、また強化された丸くて柔らかいデザインを実現している。

外観デザインは個人の趣味性もあり意見の分かれるところではあるが、昨今のシャープて薄くて当たり前というUMPCの路線とは一線を画す、プロフェッショナルな割り切りは素晴らしい。

HD解像度の6型ディスプレーを搭載
両手持ちで操作できるポインティングデバイスもアリ

クラムシェル型のMicroPCの液晶部分を持ち上げて開くと、アスペクト比16対9、解像度1280×720ドットの6型サイズ、Gorilla Glass 4対応の液晶ディスプレーが登場する。全体サイズのコンパクト化と入出力ポート拡張性の実現の設計上、液晶画面は180度オープンにはならず140度近辺となるが、一般的な使用においてはまったく問題はない。

CPUはインテルの「Celeron N4100」プロセッサーでメモリー8GB、内部ストレージ128GB。OSはWindows 10 ProfessionalとUbuntu MATEをサポートしている。これだけの機能と拡張性を搭載したチビパソが実測437gは上出来だろう。

Windows操作に必須のポインティングデバイスも、右側に実測45×30mmサイズのタッチパッドを備え、対応する3ボタンはキーボードの左上に配置されており、両手親指を使ってのオペレーションには最適だ。

キーボード配列には多少の癖があり、慣れるまでに時間のかかるユーザーもいそうだが、元々一本指入力の筆者にとってハードルではなかった。HP100LXと同様の両手持ち両親指での入力に慣れたユーザーなら、かな漢字変換起動などのマルチキーはFnキーとPFキーの未アサインの組み合わせなどを指定設定すれば便利だ。筆者はFn+PF12を指定している。

外付けディスプレーとして
Type-C接続のThinkVision M14」を導入

さて、多機能で高拡張性に優れたMicroPCではあるが、出先やオン・ザ・ウェイでは良いとして、自宅で落ち着いて使うには6型ディスプレーは多少心もとない。そういう場合には、Type-Cポートの複数ある外付けディスプレーの「ThinkVision M14」をMicroPCのType-CポートとThunderboltケーブルで接続して、同時に外付けUSBキーボードを取り付ければ完璧だ。

筆者は自宅でMicroPCをデスクトップPCのように拡張して使う場合は、AC電源で運用することにしている。MicroPCのType-CポートはThinkVision M14との接続で使用しているので、ThinkVision M14の2番目のType-CポートをAC電源に接続し、Windwos 10 Professionalの設定画面で、AC電源で使用の場合はMicroPCの液晶蓋を閉めてもスリープしない設定にしている。これで、屋内と屋外で都合よく切り替わってくれる。

Type-Cケーブルを使ってMicroPCとThinkVision M14のような外部の周辺機器とを接続して使う予定のあるユーザーは、より柔らかいType-Cケーブルや、多少硬いケーブルでもポートからの立ち上がり角度をフレキシブルに変更することのできるL字型プラグアダプターなどを用意すると便利だろう。

また、MicroPCの底面(裏側)には2個のネジ穴が用意されており、MicroPCをディスプレー用のフレキシブルアームスタンドなどに取り付けて、据え置き型のコンパクトなオール・イン・ワン型パソコンとして使用することもできる。

前述したように、キーボード面と液晶面が最大でも140度くらいしか開かないので、MicroPC底面に取り付けるアーム部分の首振り角度の自由度の高いモノを選択すれば、その種の問題も忘れられる。

もうほとんどの観点で筆者の“お気に入りチビパソ”になったMicroPCだが、唯一残念な点はLTE対応ではないことだ。やむなくWi-Fi環境の無いアウトドアでは、常時携帯しているメインスマホである「HUAWEI Mate 20 Pro」や、MicroPCとお似合いの超小型スマホ、Unihertzの「Atom」のテザリング経由でネットにアクセスしている。

よくよく考えてみると、従来からあったようなUMPCという概念が再設定、再認識されて以来、各社から登場してくるチビパソは、内部スペックをデジタルで比較しないと区別がつかないそっくりさんばかりだ。GPD MicroPCはそんな中にあって超個性的なマシンだ。今、限られた予算内でUMPCに興味のあるユーザーならGPD MicroPCは候補として選んで良いチビパソの筆頭株だ。