静寂が好きなら、ソニーの左右独立ノイキャンWF-1000XM3を勧めたい

ワイヤレスイヤホンといえば、Appleの「AirPods」や「Bose SoundSport Free」などが肩を並べて競い合っていますが、ソニーがまたもや王者に君臨する「WF-1000XM3」を発売しました。価格は2万6000円(税別)です。

「WF-1000XM3」は、ノイズキャンセリング性能や左右独立伝送など、ソニーの技術力を惜しみなく注ぎ込んだワイヤレスイヤホンです。

その実力はどれほどのものなのか、じっくり探っていきたいと思います。 豊富な種類のイヤーピースが付属

ハイブリッドイヤーピース4サイズ(SS/S/M/L)と、トリプルコンフォートイヤーピース3サイズ(S/M/L)から、好みに合わせてサイズを選択することが可能です。

この手のワイヤレスイヤホンとしては、豊富なイヤーピースが同梱されていることは評価できるポイントです。特にトリプルコンフォートイヤーピースはスポンジとシリコンの中間のような質感なのでフィット感も抜群に良いです。

イヤホンとケースは小ぶりで持ちやすい

ケース本体は、滑りにくいラバーのような感触ですが、スベスベした手触りで心地が良いです。底面にはType-C端子穴があり、ケーブルの裏表を気にすることなく充電できます。底面にかけて緩やかに丸みを帯びたデザインも特徴的です。

蓋の部分はややブロンズ寄りのゴールドカラーで、ソニーロゴがあります。

イヤホンの充電はケースに入れて行います。イヤホンを収納する際はイヤホンとケース内部がマグネットでくっつくため、スポッと吸い込まれるように収まります。AirPodsに似ているかも...

イヤホンの充電はケースに入れて行います。イヤホンを収納する際はイヤホンとケース内部がマグネットでくっつくため、スポッと吸い込まれるように収まります。AirPodsに似ているかも...

イヤホンの連続再生時間は約6時間で、充電にかかる時間は1.5時間。ケースを使うことで約3回分フル充電できます。たった10分の充電で90分再生可能な急速充電にも対応します。

イヤホン片側の重量は約8.5gと軽め。10円玉と比較してもサイズはほぼ同じかそれを少し上回る大きさdです。ケースの重量は公表されていませんが、片手で軽々と持てる感じです。

ケースはポイントカード類とサイズが近いです。ズボンのポケットに入れていても重みを感じることなく、手に収まるサイズです。

ノイキャンは確かに最高 クリアな音質

WF-1000XM3を実際に装着して試聴してみました。音質というよりもノイズキャンセリングの効果に驚きました。街中や電車の中でも静寂を保つような、やや大げさですが、自分だけの空間に居られる感じがしました。

この効果はどのように生み出されているのでしょう。ソニーによると、ノイズキャンセリング「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1e」と、それぞれ左右のイヤホン内部に2つのマイクを搭載しており、このマイクから周囲の音を拾い、プロセッサーが高精細なノイズ除去を行うとのこと。

装着時の安定性もノイズキャンセリング性能に寄与する部分です。WF-1000XM3では、耳の3点で支える構造を採用したおかげで、装着感が向上しています。ただし、自身の耳のサイズに合うイヤーピースを選択することをお勧めします。

音質については、楽曲によってはシンバルやトライアングルなどの高音域が良い意味でシャリシャリと聞こえてきました。ものによっては高音域が潰れてしまいジャリジャリとなり、全体的にのっぺりとしてしまいますが、WF-1000XM3ではシェイカーなどの繊細な音も潰れることなくバランスよく聞こえてきます。

低音ズンズンが好みな人にとってはちょっと物足りない気もします。まあ、この聞こえ方は好みの問題ですね。全体的にはクリアで透き通るようなバランスの音質だと感じました。バランスがどうしても気になる場合は、後述のスマホアプリ「Sony Headphones Connect」からイコライザーを調節してみましょう。

ワイヤレスイヤホンでよくある左右の音切れ問題についても触れておきましょう。WF-1000XM3では新しいBluetoothチップを搭載したことで、左右同時に伝送でき、動画再生時などの遅延も大幅に改善しているといいます。実際に数日、音楽を視聴したり動画を再生したりと、使ってみた限りでは映像と音声とで遅延があるなどの問題はありませんでした。

タッチでの操作は慣れが必要

WF-1000XM3では、前述のノイキャンや音質だけでなく、使い勝手も工夫して設計されているのもポイントです。左右にタッチセンサーを搭載しており、触れるだけで「再生の一時停止」「曲送り」「曲戻し」といった操作ができます。

・右側をワンタップで再生/停止
・右側を素早くダブルタップで次の曲へ
・右側を素早く3タップで前の曲へ戻る

左側のタッチセンサーに触れているときだけ、外音を取り込める「クイックアテンション」機能も搭載しています。イヤホンを装着しながら相手の会話を聞いたりするときに便利かもしれません。

・左側をワンタップでアダプティブサウンドコントロールのON/OFF

しかし、このタッチセンサーですが、知らない間にパネルに触れていたせいなのか、モードが切り替わっていることもありました。耳をかくときや髪の毛を触るときにはセンサーに触れないように注意しましょう。左右で操作方法が異なるのも気になりました。初めはかなり戸惑いますが徐々に慣れていくしかほかないでしょう。

スマホアプリ「Sony Headphones Connect」はできることが多い

WF-1000XM3は、スマホアプリ「Sony Headphones Connect」(iOS/Android)と連動し、本体の状態を確認できるだけでなく様々な機能を設定できます。

画面上では、左右それぞれのバッテリー残量、接続中の音声コーデック、DSEE HXのステータスを確認できます。

便利なのは「アダプティブサウンドコントロール」という機能。ユーザーの行動(歩いているのか/座っているのかなど)を検知して、外音をどの程度取り込むのかを自動で切り替えます。取り込みのバランスは歯車マークをタップすることで変更できますが、大きく4つのシーンで分けられるようです。

この他にもイコライザーや、左右センサーにどの機能を割り当てるのかの変更、自動電源オフ、通知音とガイダンスの言語変更などが行えます。

ここが惜しい

ここまで良いとこずくしなWF-1000XM3ですが、気になったのはワイヤレス充電ができないこと。ライバルAirPodsを先に体験していたせいなのか、完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ上で、ワイヤレス充電も選ぶ決め手になると感じました。防水や防滴も非対応なので、スポーツにも向かないでしょう。

しかしながら、ノイキャン性能やアプリ連携なども踏まえると、2万円~3万円台でここまで完成度の高い完全ワイヤレスイヤホンは他にないと思います。単純にノイキャン効果だけを使って自分だけの空間に浸るのもアリだと感じます。クリアな音質で、アプリから色々と機能を設定できるノイキャン付きの完全ワイヤレスイヤホンを求めているなら、間違いなくWF-1000XM3がお勧めです。この先どのようなライバル機も登場するのか期待したいです。