トレンドを押さえつつ完成度が高い「Galaxy S10+」のカメラ 「ベストショット」ガイドも面白い

「Galaxy S10+」ときたら、もう画面はでかくてめちゃ横長(いや縦長)だわ、前面が全部ディスプレイでインカメラがうまいこと隠れていて、例によって端っこが少し丸まっているわ、アウトカメラは見事に3連だわで、ハイスペック好きにはたまらん超最新端末なのだ。

その中でも面白かったのが、これでもかというほど上手な撮影方法をガイドしてくれるカメラアプリ。あまりに面白いので、スクリーンショットを撮りまくったのである。

ベストショットガイドと豊富なシーン認識が面白い

まずはメインとなるアウトカメラから。見ての通り中央横並びの3連カメラ。向かって左から望遠カメラ、広角カメラ、超広角カメラだ。

中央の広角カメラ(よく見るとレンズが一番でかい)は約1200万画素で、35mm判換算で26mm相当。まあ、今の主流スマホカメラと同じだ。違うのはレンズ。スマホカメラは基本的にF値固定だが、Galaxy S10+は前モデル(S9+)と同様、2段階切り替え式で、F1.5と2.4。基本的に明るい場所ではF2.4、暗い場所ではF1.5と使い分けている。絞りによって作られるレンズの口径はアパーチャーというので、「デュアルアパチャー」と呼んでいる

他のスマホカメラと同じくF1.5だけでいいじゃん、と思うわけだが、F2.4の方がディテールが少しクッキリして解像感があがるのである。

広角カメラは「スーパースピードデュアルピクセル」仕様。要するにAFが速くて正確ということだ。広角カメラがメインカメラになるので最も性能がいいのである。

望遠カメラは1200万画素で光学2倍となる52mm相当でF2.4。超広角カメラは約1600万画素で光学0.5xとなる13mm相当でF2.2。この超広角カメラの超広角っぷりがよい。

例によってガスタンクで撮り比べ。

カメラを立ち上げ、ガスタンクに向けると、中央に何やら怪しげな○が(上の方にある○は画面の好きなところにシャッターボタンを置ける「フローティングシャッターボタン」なので気にしなくていい)。

で、今回一番面白かったのがこの中央に出てくる「ベストショット」ガイド。普段はまっさらなのだけど、あるとき(つまりはきっとカメラアプリによる診断が完了したとき)、すっとこのゲージが出てくるのである。

アドバイスされているのは2つ。1つは「○」と「●」を重ねると最適な構図になりますよ、もう1つは横線が水平になるようカメラを調節するときちんと水平がとれた傾いていない写真を撮れますよ、だ。

こうなったらパーフェクトということだ。

面白いでしょ。大きなお世話という気もするけど、自分で「この写真はこの構図!」と自信持って撮れるような人は一部だし、もちろんオフにもできるのでよい試み。自分が撮ろうと思った構図と、カメラがベストという構図を比べてみても楽しい。

シャープのAQUOS R3も似た機能を持っているけど、AQUOSは撮影したときと同時に「補正した画像」も記録して後で「好きな方を選んでね」、Galaxy S10+は撮るときに「こうやって撮るといいよ」と示してくれるのが違いだ。

で、撮ったのがこちら。

木々の葉っぱをガン見すると不自然なところがあるし、四隅の画質はちょっと劣化しているけど、色も解像感もよし。等倍で目を凝らさないかぎり実に安心して楽しめる画質だ。

望遠カメラと超広角カメラを試す

お次は望遠カメラ。画面の端に「木-林-森」みたいに、木が1本2本3本と並んだアイコンがあるんだけど、この中の「林」が広角カメラ。「木」にすると2倍の望遠になる。

しっかりしたよい写り。広角カメラよりセンサーサイズが小さい分不利なのだけど、しっかり撮れている。「森」をタップすると超広角になる。

超広角はちょっと周辺部が湾曲するけれども、あまり気にならないレベル。設定でゆがみを真っすぐに直すこともできるが、このままでも使える。

いろいろなシーンで撮影してみる

では、いろんなものを撮ってみよう。まずは猫。ちゃんと猫と認識。ただ、横を向いていたり顔が全然見えておらず、遠くにいて小さくしか写っていないと猫と認識してくれないのは残念。

次は「建物」。

次は「夜景」。イマドキのスマホカメラなので夜景はきれい。

料理はけっこう高い確率で認識してくれた。

でもGalaxyは別途「食事」モードも持っているのだ。食事モードにすると、料理用のセッテヒング+ライブフォーカスで料理以外の背景をボカしてくれる。

次は「服」。実は「服」や「靴」も認識するのだ。

「食事」モードに「服」や「靴」。つまり、最近SNSによく上げられる被写体を積極的にチェックしているのだ。そのあたりはさすがである。ギャラリーアプリでもちゃんと被写体別に分類するので、後から探したいときにもよい。

他にも「室内」「花」「テキスト」「乗りもの」「日没」と認識してくれるシーンは多い。

というわけで、シーン認識とベストショットガイドは面白いのである。

気になったのはデュアルアパチャーの振る舞い。F1.5/2.4が自動的に切り替わるのだけど、F2.4のまま引っ張り過ぎるかなという気はする。被写体ブレすることもあるので、もうちょっと早めにF1.5に切り替わってもいいんじゃなかろうか。

人をきれいに撮れるか背景はきれいにボケるか

では、いよいよ人を撮ってみよう。

もちろん、人を認識する。「人」と「人々」と「顔」と幾つかパターンがあって、顔がアップになると「顔」となる。上半身全部が写っているくらいだと「人」。

さて、人を撮るなら「ライブフォーカス」。やっと背景ボケの話だ。ライブフォーカス時は通常の「ぼかし」の他に、回転や放射、さらにカラーポイントも選べる。下のスクリーンショットは「回転」ボケのもの。

では4パターンそれぞれどうぞ。

もちろん、人以外でもぼかしはかけられる。

続いてはインカメラ。インカメラは中央上部ではなく端っこについていて、その上に目立たない。「撮るときにどこを見ればいいの?」と聞かれちゃったレベル。そのくらいよくできているわけだが、作っている側もそれは分かっているようで、インカメラに切り替えたとき、一瞬、カメラの周りを白い光がしゅっと流れて教えてくれる。

インカメラもデュアル……だが、1つは深度を測る用。インカメラ時もきれいなライブフォーカスをかけられるのだ。

インカメラ時は広角と標準の2つを切り替えられる。といっても使うカメラは1つだけ。広角側が本来の画角であり、35mm判で25mm相当。望遠側をタップすると32mm相当になり画素数も少し減る(つまり「クロップ」される)。レンズはF1.9で約1000万画素だ。

写りの違いはこんな感じ。

ビューティーモードも設定できる(同等の設定をアウトカメラでも可)。

彼女の好みで撮ってもらったのがこちら

まあ何というか、うまいもんだなあと思う。不自然さもあまりないし、でもよく見ると、しっかり美肌処理かかっているし。

で、ウリはインカメラでの「ライブフォーカス」、つまり背景ボケなんだが、残念ながら撮りそびれてしまったので、猫写真で勘弁。

超広角動画と超強力な手ブレ補正に注目

最後は動画。動画機能は豊富で、スーパースローモーションとか4K動画とかタイムラプスとかいっぱいあるのだけれども、ここでは2つの機能に注目してみた。

1つは「スーパー手ブレ補正」。これがなかなかすごい。これをオンにすると、ズームも効かなくなるし動画サイズもフルHDに固定されるし、電子式手ブレ補正を強くかけるので画角は狭くなるのであるが、実にブレなくなるのだ。

試しに自転車にスマホを付けて走ってみた。これ、地面からの細かな振動が伝わるので、ガタガタと細かいブレが出やすい。

走ってみたのがこちら。路面状況はあまりよくないし、小さな段差も何度か通過しているが、実に安定していて滑らか。

もう1つは超広角。フルHDに加えて、画面に合わせてフルスクリーン(つまり2280×1080ピクセル)でワイドな動画を撮れるのだ。

このワイド感はなかなか迫力である。

かくして、こう全体的に性能が上がって、トリプルカメラの基本をちゃんと押さえていて(0.5x、1x、2xとバランスよい構成)、インカメラのライブフォーカスもちゃんとしていて、Galaxy S10+ならではの撮影も加わって、画質も安定感があり、2019年のスマホカメラのトレンドをしっかり押さえつつ完成度がすごく高い優秀なカメラといっていい。さすがのデキでありました。