ファーウェイSIMフリースマホのフラグシップ機「HUAWEI P30」レビュー

SIMフリースマホを中心にタブレットやノートPCなど、ファーウェイ製品を毎回詳しくレビューしている「ファーウェイ通信」。

今回は、同社SIMフリースマホのフラグシップモデル「HUAWEI P30」を取り上げる。これまで以上に進化したLeicaトリプルカメラ、フルビューディスプレー、プレミアム感あふれるデザインを中心に紹介していく。

空と海をイメージしたというグラデーションが美しい
約71.36mmという比較的コンパクトな筐体に大型画面を搭載

ファーウェイのSIMフリースマホの中では最新のフラグシップ機となる「HUAWEI P30」が発売された。Leicaトリプルカメラを中心に非常に高いスペックを誇るプレミアムモデルだ。まずはデザインから見ていこう。

外観で目を引くのは、本体背面の美しいグラデーションカラー。カラバリはブリージングクリスタルとオーロラの2色があるが、空と海をイメージしたというブリージングクリスタルは特に印象的。紙の100分の1という薄さのフィルムを9層に重ね、見る角度によって色合いが変わるナノオプティカルカラー仕上げとなっている。オーロラも青とエメラルドグリーンのグラデーションが非常に美しい。

本体前面は、約6.1型のフルビューディスプレーを搭載。パネルはOLEDだ。2340×1080ドットと高精細で、鮮やかな表示が特長。ギリギリまでサイズを抑えたしずく型ノッチと狭額縁仕様により、広い表示領域を実現している。

指紋センサーは外観からは存在しないように見えるが、実際にはディスプレー内に内蔵されている。これにより、本体下部のベゼル幅も狭められた。顔認証にも対応しているので、使い分けも可能だ。

本体幅が約71.36mm、厚さは約7.57mmとスリムなのも特徴だ。重量も約165gと軽量で、手に持ってみると実際の数値以上に薄く、軽く感じる。片手持ちがラクにできるだけでなく、片手での操作も十分に可能だ。エッジ部分が滑らかなカーブに加工されていることで、持ち心地も良好である。

光を40%以上多く取り込む新型センサーで
光量の少ない場所でさらに強くなったLeicaトリプルカメラ

続いては進化したLeicaトリプルカメラをチェックしていこう。

まずカメラの組み合わせだが、メインとなる広角(35mm判換算で27mm相当)の約4000万画素カメラ、超広角(17mm相当)の約1600万画素カメラ、光学3倍ズーム(80mm相当)の約800万画素カメラの3つとなっている。レンズ名称は「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.8-2.4/17-80 ASPH.」だ。

スペック自体は昨年末登場の「HUAWEI Mate 20 Pro」に似通っており、メインの4000万画素センサーは1/1.7型という大型サイズなのも同じ。しかし、このセンサー自体は新型になった。G(グリーン)をY(イエロー)に置き換えた新型「RYYB」カラーフィルターを採用し、HUAWEI P20シリーズの「RGGB」使用時より、光を40%以上も多く取り込めることで、これまでも強かった暗所での撮影がさらに大きく強化されている。

その暗所撮影だが、実際に撮影してみると、その性能には驚かされる。下記の作例は光量の少ない夜中の神社で撮影したものだが、狛犬の造形も、石材や樹木の質感などもしっかりと写っている。上記作例のISO感度は1万2800だが、HUAWEI P30では最大20万4800まで対応。ほとんど光がない場所でも撮影が可能だ。

ファーウェイ製スマホではすでにおなじみのマルチフレーム処理+長時間露光による「夜景モード」も、HUAWEI P30で強化されている。下の作例を見てもわかるとおり、暗い部分の細部が潰れることなく、また明るい部分が色飛びもせず、どちらも鮮明に写っている。AI手ぶれ補正「HUAWEI AIS」の働きにより、手持ち撮影時の長時間露光でも手ぶれしにくいので誰でも気構えることなく撮影できる。

AIが撮影シーンを判断してフレーム内のエリアごとに最適な露出バランスを調整してくれる「AI HDR+」も、HUAWEI P30での強化ポイントだ。逆光の環境下で撮影した場合にも、被写体が黒潰れしたり白飛びしたりすることを防げる。太陽の向きを意識せずに済むので特に初心者にはうれしい。

AI HDR+は、撮影者が特に設定をしなくても「マスターAI」機能がオンであれば、自動的に有効になる。ファーウェイ製スマホではおなじみの機能で、AIが撮影シーンを判別して、最適な撮影設定を選んでくれる。

構図の自由度が大幅に上がり、
観光旅行で威力を発揮する超広角レンズ

昨年リリースされた「HUAWEI Mate 20 Pro」でも採用されていた超広角レンズは、構図の自由度が上がるため、これが想像以上に撮影が非常に楽しくなる。

下の2つの写真は、スタジアムの同じ場所から17mmと27mmで撮影したものだ。比べて見ると一目瞭然だが、超広角のほうが広い範囲を撮影できることがわかる。被写体から距離をとらなくても広い範囲を撮影できるため、あまり広くないスペースで記念撮影をする場合にも、このメリットは活きてくる。

また、構図をいろいろと工夫することで、遠近感や奥行きを強調したダイナミックな印象の写真も撮影可能だ。うまく使いこなすには少しだけ慣れが必要だが、上達すればSNS映えするインパクトのある写真を撮れるようになる。広角と超広角の切り替えは画面内のボタン1つなので、カンタンに試せるのもプラスの点だ。

さらに、光学3倍ズームのレンズと組み合わせると、より多様な構図が楽しめる。下の4つの写真は、同じ立ち位置から超広角、広角、光学3倍ズーム、ハイブリッド5倍ズームで撮影してみたものだ。HUAWEI P30が1台あれば、これだけバリエーションのある写真を撮れるのだ。

HUAWEI P30は、動画撮影周りも強化されている。前述したHUAWEI AISの強化などにより、被写体も撮影者も動いている状態でも、手ぶれを抑えたキレイな映像を撮影できる。また、広角と望遠の同時撮影が可能なデュアルビュービデオも利用可能。この機能は、子どもの運動会や発表会などで、全体の様子を撮りつつ、同時に自分の子どもにズームした映像も記録するというようなケースで役立つ。

さらに、HUAWEI Mate 20 Proからの機能である「AIカラー」や「背景ぼかし」も同様に搭載されている。前者は背景をモノクロにした中で人物だけはカラーを残した映像を撮れるもので、後者は背景をキレイにボケさせることで被写体を美しく浮かび上がらせるものだ。写真だけでなく、自分で撮影した動画のSNSでの共有が日常的になっている現状で、周囲の人と差をつけることができる機能だと言えるだろう。

なお、HUAWEI P30のインカメラは、約3200万画素センサーを搭載。前述したAI HDR+やマスターAIにも対応しており、自然で美しく高精細なセルフィーを楽しめる。

以下もHUAWEI P30で撮影した作例だ。正直、ここまでキレイで印象的な写真を撮れると、特に旅行ではデジカメの出番はなくなる。撮りたい時にサッと撮れて、仕上がりも満足でき、そのまま共有もできるというメリットはデジカメにはないものだ。

高性能CPUに、6GBメモリー、128GBストレージ
DSDVにも対応するなど、文句なしのハイエンド級

最後に、HUAWEI P30のスペックも見ておこう。

軽量スリムな本体のHUAWEI P30だが、スペックはフラグシップモデルにふさわしく充実している。CPUは、AI処理を担当するNPUが2基組み込まれた「HUAWEI Kirin 980」(2.6GHz×2+1.92GHz×2+1.8GHz×4、オクタコア)を搭載。パワフルな処理性能でありながら、高い電力効率も備える。

ディスプレーは前述のとおり、約6.1型と大画面の有機ELフルビューディスプレーを搭載。また、メモリーは6GB、ストレージは128GB。最新のAndroid 9とEMUI 9.1を採用し、複数アプリを立ち上げても快適な使い心地だ。

バッテリー容量は約3650mAh。AIの機械学習による最適化で、高い電池効率も実現している。同梱の充電器では、ファーウェイ独自の超急速充電(22.5W)が可能だ。また、オプションでワイヤレス充電対応ケースも用意されている。

ネットワークは、SIMフリースマホらしくDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に対応する。nanoSIMスロットのうち1つは、nanoSIMと同じ大きさで、ファーウェイ独自の規格である「HUAWEI NMカード」でのストレージの追加が可能。

HUAWEI P30は、ファーウェイ・オンラインストアのほか、ビックカメラ、ヨドバシカメラなどの家電量販店やECサイト、MVNOなどで販売中。市場想定価格は税抜7万7880円。カラバリはブリージングクリスタルとオーロラの2色が用意されている。

「HUAWEI P30 lite」にも注目!
人気のミドルクラスについにトリプルカメラが搭載

HUAWEI P30はファーウェイのSIMフリースマホとして最上級の性能を持つ1台だが、予算的にちょっと厳しいなという場合なら、「HUAWEI P30 lite」もチェックしたい。

HUAWEI P30 liteは「HUAWEI P10 lite」「HUAWEI P20 lite」と国内SIMフリースマホの中では常にトップクラスの人気を誇るシリーズの最新モデル。

市場想定価格は税抜3万2880円というミドルレンジの製品ながら、ついにトリプルカメラを搭載。17mm相当の超広角レンズにより、上位機と同様に旅行や集合写真で強味を発揮する。美しいグラデーションの筐体なども上位機譲りの高級感を持つ。いわゆる格安SIMとの相性も非常にいい1台だ。

HUAWEI P30、HUAWEI P30 liteは、ファーウェイ・オンラインストアのほか、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、上新電機など一部の家電量販店やECサイト、IIJmio、イオンモバイル、エキサイトモバイル、NifMoなどのMVNOで販売中。