これぞ“王道”のAMD構成といえる、50周年記念モデルCPU搭載PCをチェック

今年で創業50周年を迎えたAMD。2017年に発売したCPUのRyzenシリーズは性能面でインテルを追い越す勢いなうえ、さらにコスパに優れるとあって、一躍人気CPUとなったのは記憶に新しい。さらに今年の頭には、一足先に7nmプロセスを採用した「Radeon VII」を発売するなど、CPUだけでなくGPUでも存在感が大きくなっている。

そんなAMDが50周年記念モデルCPUとしてリリースしたのが、「Ryzen 7 2700X Gold Edition」だ。このCPUは通常のRyzen 7 2700Xと性能は変わらないが、ヒートスプレッダーにAMDのCEOであるLisa Su氏のサインが刻印されているのが特徴。また、50周年記念Tシャツがもらえるコード入りのカード、サイン入りステッカーなどが同梱されている。

この50周年記念CPUを搭載したAMDファン垂涎ともいえるBTOパソコンが、サイコムの「G-Master Spear X470 AMD 50th Edition」だ。

CPUもビデオカードもAMDで固めた、王道ともいえるAMD構成

G-Master Spear X470 AMD 50th Editionは、まさにAMDファン向けという言葉がぴったりなBTOパソコン。GPUに「Ryzen 7 2700X Gold Edition」を搭載しているのは当然として、CPUクーラーは純正の「Wraith Prism」、そしてビデオカードには「Radeon VII」を採用と、王道ともいえるハイスペック構成になっている。

BTOパソコンなのでスペックを自由に変更できるのもいいところ。サイコムはとくに選べるパーツが多く、メモリーの容量変更はもちろん、通常では変更できないマザーボードですら、多くの選択肢が用意されている。また、コダワリ派の人にうれしいのが、選べるストレージの種類が多いことだ。一般的なBTOパソコンであればSSDといってもM.2かSATAくらいしか選べないのだが、サイコムではメーカーやブランド違いで多数の候補が用意されている。

例えばG-Master Spear X470 AMD 50th Editionの場合を見てみると、PCI-E接続のM.2 SSDに絞ったとしても、ADATA「XPG SX8200 Pro」、Intel「660p」、ウエスタンデジタル「WD Black」、サムスン「970 EVO」の4種類が選べる。それぞれ容量違いが用意されているので、製品数でいえば10種類という数だ。

BTOで選べるパーツの数が多いほど、自分好みのPCにできるだけに、BTOパソコン選びでは重視したいポイントといえる。今回試用した構成は、標準構成から光学ドライブをBDドライブとなる「Pioneer BDR-209BK」へと変更したモデルだ。試用機を使い、性能をチェックしていこう。

CPUベンチの結果はハイスペックパソコンにふさわしい高スコア

G-Master Spear X470 AMD 50th Editionのスペックは、8コア/16スレッドで基本クロックが3.7GHz、最大ブーストクロックが4.35GHzというもの。この性能をみるため、ベンチマークソフトの「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を試してみた。なお、どちらのベンチマークソフトもCGレンダリングからCPU性能を測ってくれるものだが、「CINEBENCH R20」のほうがデータが大きく、より負荷の高いテストとなっている。

どちらのスコアもハイスペックパソコンにふさわしいもので、ゲームや動画編集などの負荷の高い作業も軽々こなしてくれるだけの実力がある。CINEBENCH R20の比較データが手元にないためCINEBENCH R15だけでの比較となるが、Core i7-9700Kだと1537cb、Core i9-9900Kだと2052cbとなっていただけに、ちょうどこの中間あたりの性能だということがわかる。

なお、以前別のマシンとなるが、ノーマルのRyzen 7 2700Xで試したときのスコアは1748cb。今回のスコアとほぼ同じことからも、50周年記念モデルだからといって特別な性能上昇があるわけではないことが確認できた。

ちなみにCINEBENCH R20は、少し前までスコアの単位が「cb」だったものが、今では「pts」となっていた。CINEBENCH R15と同じ単位だと紛らわしかっただけに、この変更はわかりやすい。

せっかくの「X」モデルなので、「Precision Boost Overdrive」を試してみた

オーバークロックというと自己責任の危険行為という印象があるが、より安全に、余裕があるときだけ上限を超えた動作クロックで動かしてくれるというAMD純正の機能がある。それが、「Precision Boost Overdrive」だ。この機能を使うには対応するチップセットやマザーボード、そしてCPUが必要となるのだが、G-Master Spear X470 AMD 50th Editionはこの条件をクリアしていたため、少し試してみた。

やり方は非常に簡単で、設定ツールとなる「AMD Ryzen Master」をインストールし、「Precision Boost Overdrive」を選択。後は「PPT」「TDC」「EDC」の3つのパラメーターを手動で設定するだけだ。

このパラメーターの意味をざっくりといえば、消費電力の上限が「PPT」、通常時の電流上限値が「TDC」、ピーク時の電流上限が「EDC」といったもの。設定できる範囲は環境によって異なるが、試した環境ではPPTは1000W、TDCは114A、EDCは168Aが最大となった。そこで今回は、TDCとEDCを最大値、PPTを180Wに設定。これで性能が変化するか、「CINEBENCH R15」で確認してみた。

うえのRyzen Masterの画面は、Precision Boost Overdrive設定を実施したあと、CINEBENCH R15を実行したときのもの。よく見てもらえるとわかるがTDCが上限となっており、OC設定で動作している様子がうかがえる。

ベンチのスコアは1176cbと、35cbだけとはいえ上昇していることが確認できた。今回はTDCの上限がネックとなってここまでの性能上昇だったが、さらに上の値へと設定できれば、さらなる性能上昇が期待できそうだ。

ただし、いくらPrecision Boost Overdriveを使っているとはいえ、オーバークロックには違いない。比較的安全だとはいえ、故障や不具合が起こったときは自己責任となるので、試すときはリスクを承知の上で挑戦してみてほしい。

50周年記念にふさわしい構成と性能で、そつのない1台

第3世代Ryzenの登場を控えたタイミングということもあり、今から第2世代RyzenとなるRyzen 7 2700X搭載機を購入するというのはやや抵抗があるが、このタイミングでしか買えない50周年記念モデルとなれば話は別。さらに、今なら特別割引で3万円安くなっているというのも見逃せない。

なお、AMDのCPUは世代が変わっても同じマザーボードのまま新しいCPUが動作することが多いだけに、後々のアップグレードも期待できる。パーツを交換しながら長く使えるマシンをお得に購入したいと考えているなら、50周年記念モデルとなるG-Master Spear X470 AMD 50th Editionを今のタイミングで購入するというのは、そう悪くない選択だといえるだろう。とくに、AMDのファンであれば尚更だ。