11型iPad ProとSurface Goをキーボードセットで比べてみた

近年はノートPCを使わず、タブレットだけであらゆる業務をこなすワークスタイルが一般的になりつつある。従来ならば、やや長めのテキスト入力にはノートPCが欠かせないというのが共通認識だったが、今やタブレット×外付けキーボードという組み合わせでも、そこそこの作業ができてしまう。時代も変わるものだ。 さて、テキスト入力に適したタブレットとしてすぐに思い浮かぶのが、日本マイクロソフトのSurfaceシリーズだ。中でもコンパクトさとリーズナブルさを兼ね備えた「Surface Go」は、バッグに入れて気軽に持ち歩き、出先でテキスト入力を行うのに最適な製品だ。 一方、タブレットとしてはトップシェアであるAppleのiPadも、外付けのキーボードを組み合わせることで、快適なテキスト入力が行える。中でも現行のiPad Pro(11型および12.9型)は、収納時には背面をも保護するSmart Keyboard Folioがオプションとして用意されており、日々携行するにはもってこいだ。 今回はこの両製品について、それぞれ専用のキーボードオプションを組み合わせた構成を用意し、テキスト入力での使い勝手を検証する。日常持ち歩けるテキスト入力ツールとして、タブレットとキーボードの組み合わせを検討している人の参考になれば幸いだ。 iPad ProはiPadシリーズの最上位にあたるモデルで、現行製品は11型と12.9型(第3世代)の2種類がある。ホームボタンを廃し、顔認証(Face ID)を採用しているのが特徴で、専用のSmart Keyboard Folioを組み合わせることで、物理キーボードによるテキスト入力が行える。直販価格は12.9型が2万4624円(税込み、以下同)、11型が2万1384円だ。 キーボードの接続は、Smart Connectorという独自規格のコネクターで接続する。Bluetoothと違ってペアリングの必要もなく、マグネットで吸着させるだけですぐに利用できる。iPad本体から給電されるので、充電の必要がないのは大きな利点だ。 また、後述するSurface Goのタイプカバーは背面が保護されないのに対して、本製品は表裏両方を保護できる。重量はキーボードとの合算で776g(実測値)で、ノートPCを持ち歩くほどではないものの、物理キーボードを必要とする場合に最適だろう。 ただし、見た目はノートPCライクとはいえ、PCと同じ使い方をするのは難しい。そもそもiOSはマウス機能をサポートしない上、Split Viewによる2画面表示を除けば、WindowsやMacのように複数のウィンドウを並べての作業が行えない。テキスト入力がメインでも、ブラウザを参照しながらの入力などは不自由な面があることを認識しておいた方がいいだろう。 Surface Go+タイプカバーの組み合わせ 一方のSurface Goは、OSにWindows 10(Sモード)を採用した日本マイクロソフトのWindowsタブレットだ(ビジネス向けにWindows 10 Proモデルもある)。ほぼ同じ構造の上位モデル「Surface Pro 6」がCore i5や同i7を搭載するのに対し、CPUなどのスペックは控えめだが、コンパクトなボディーサイズとリーズナブルな価格設定が特徴だ。 ホームページなどのイメージカットではキーボード込みで写っていることが多いため誤解されやすいが、本製品もキーボード(タイプカバー)やペンは別売だ。専用のコネクター(Surface Connect ポート)を使ってマグネットで吸着させる仕組みは、iPadの前世代のSmart Keyboardとよく似ている。背面にキックスタンドがあるので、背面をカバーしてくれないのが大きな違いだ。 ちなみに、「Surface Go Signature タイプカバー」のMicrosoftストア直販価格は1万6632円、「Surface Go タイプカバー(ブラック)」が1万2744円、「Surface ペン」が1万2744円だ。 本製品の特徴は、Windows 10がそのまま動作することだ。正確には、最初はSモードという、ストアアプリだけを使える状態で、ユーザーが任意に切り替えることで通常のWindows 10 Homeが利用可能になる。そのためWindows用のエディタの他、クリップボードユーティリティーなどの補助ツールが使えるのは強みだ。 重量は、タイプカバーとの合算で767g(実測値)と、iPad Proとほぼ互角。またサイズについてもほぼ同等で、まさにライバルといった作りだ。 両者を並べた時の最も大きな違いは、タッチパッドの有無だ。これはiOSがそもそもマウス機能をサポートしないためで、ノートPCのような外観を持つSurface Goに比べると、キーボードの奥行きがかなり短い。 カバー畳んだ状態で比較すると、面積はもちろん厚みもそっくりで、その類似ぶりに驚かされる。Surface Goは背面がカバーで覆われていないので、その分だけ厚みがあることになる。この構造によって、キックスタンドの厚みをうまく隠しているともいえる。 側面については、両製品ともヒンジの部分だけが覆われており、それ以外の3つの面はむき出しの状態になっている。四隅は露出した状態なので、両製品ともに落下などには留意する必要がある。 次回は、キー配列やキーピッチ、実際に使い比べて気が付いた点などを考察する。