超狭額縁の13.9型ノートPC、ASUS「ZenBook S13 (UX392FN)」


ASUSは3月29日、「ZenBook S13(UX392FN)」のほかノートPC 4製品を発表した。今回、そのなかでもっともハイエンドなZenBook S13が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

Whiskey Lake世代のCore i5とdGPUを搭載した超狭額縁ノートPC

4月にWhiskey Lake世代のCore i5を搭載した狭額縁ノートPC「ZenBook 13 UX333FA」のレビューを掲載したが、今回ご紹介するのは、さらにその上位のモデルだ。

一番の違いはディスプレイが13.9型、メモリ16GB、そしてdGPUとしてGeForce MX150を採用している点となる(もちろんその分、価格も上がる)。

加えて特徴的なのが、同じ狭額縁設計でも本機はさらにフレームがせまくなっており、Webカメラのために上に出っ張り(逆ノッチ?)のあるデザインに変わったことだ。

他社では狭額縁の場合、キーボードの上にWebカメラがポップアップする仕組みを採用したケースもあったが、画角がローアングルになるため、本機のほうが映りとしては好ましい。そこまで狭額縁にする必要性はともかくとして、おもしろいルックスと言えよう。なお同社のサイトによるとS13の“S”はSlimのSとのことだ。

おもな仕様は以下のとおり。

ASUS「ZenBook S13 (UX392FN)」の仕様
プロセッサ Core i5-8265U(4コア8スレッド/1.6~3.9GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W)
メモリ 16GB/LPDDR3-2133
ストレージ NVMe SSD 512GB
OS Windows 10 Home (64bit)
ディスプレイ 13.9型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢あり、タッチ非対応
グラフィックス Intel UHD Graphics 620、 NVIDIA GeForce MX150(2GB)
ネットワーク IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1
インターフェイス USB 3.1×3(2基Type-C/1基Type-A)、92万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力、キーボードバックライト、指紋センサー(Windows Hello対応)
本体色 ユートピアブルー
バッテリ/駆動時間 3セルリチウムポリマー/約16.4時間
サイズ/重量 316×195×12.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.16kg
その他 USB Type-C(給電可)、HDMI、Type-Aポート搭載のDock付属(USB Type-C接続)
税別価格 199,500円前後

プロセッサはWhiskey Lake世代のCore i5-8265U。4コア/8スレッド、クロックは1.6GHzから最大3.9GHz。キャッシュは6MB、TDPは15Wとなる。メモリはLPDDR3-2133で16GB。PCMark 10 System Informationによると(当たり前だが)8GB×2の構成だ。ストレージはNVMe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

先に書いたとおり、4月に「ZenBook 13 UX333FA/UX333FA-8265RBG」の記事を掲載したが、ベーシックな構成はメモリ容量以外は同じだ。一番の違いはパネルサイズとdGPUとなる。

ディスプレイは、光沢ありの13.9型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。写真からもわかるように、最小幅3.5mm(左右)の全辺挟ベゼル設計を採用し、画面占有率約95%と、ベゼルはかなりせまい。グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620と、NVIDIA GeForce MX150(2GB)。外部出力には付属のDockにHDMIがある。

ネットワークはIEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1×3(2基Type-C/1基Type-A)、92万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力、キーボードバックライト、Windows Hello対応の指紋センサー。

加えてUSB Type-C(給電可)、HDMI、Type-Aポート搭載のUSB Type-C接続Dockが付属する。

本体サイズは316×195×12.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.16kg。3セルリチウムポリマーバッテリを内蔵し、最大駆動は約16.4時間。

カラーバリエーションはユートピアブルーのみで、税別価格は199,500円前後となる。それなりに高額だが、内容を考えると妥当なところだろうか。

アルミニウムの筐体は非常にシャープな印象を受ける。米軍調達規格「MIL-STD 810G」規格に適合しているため、強度もある。重厚な見た目に反し、重量は実測1,157gなので、持ったときに軽く感じる。

天板はヘアライン仕上げで中央にASUSのロゴ。前面はパネル中央上に出っ張りがあり、そこへWebカメラが仕込まれている。左側面にType-C×2、microSDカードスロット。右側面にType-A、音声入出力、ステータスLEDを配置。裏は四隅にゴム足。手前左右にスピーカー。

付属のUSB式ACアダプタは、サイズは約63×63×28mm(同、プラグ含まず)、重量212g、出力は5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A。約49分で60%の急速充電にも対応する。

付属DockはType-C(給電可)、HDMI、Type-Aを備える。

13.9型のディスプレイは、ご覧のとおり超が付く狭額縁だ。パネル中央上の出っ張りがあるものの、これはこれで本機のアクセントになっている。明るさ、コントラスト、発色、視野角も十分で、高品質なパネルが使われている。パネルが傾くと下の部分が足となり、キーボードが最大4度まで傾く。ただ、パネルはもう少し傾いてほしいところか。

キーボードはテンキーなしのアイソレーション式で、3段階のバックライトを搭載している。キーピッチは主要キーで約19mm。フットプリントに余裕があるため、いびつな並びやせまいキーピッチもなく、打鍵感やストロークなどにも不満はない。

ただし、シルバーのキートップに白の刻印は視認性が悪く、完全にブラインドタッチできる人であれば問題ないが、手元を見ながら入力する場合は困ってしまう。逆に暗い場所でバックライトオンのケースだと見やすいものの、常時暗い場所で入力するわけでもないだろう。もう少し配慮がほしかったところだ。

タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め、十分面積が確保されており使いやすい。右上にWindows Hello対応の指紋センサーがある。

試用した範囲では振動やノイズは問題なし。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、おもにキーボード上側が熱くなる。3DMark中などのdGPU作動時は結構熱くなり、キーボード左右にまで熱が降りてくる。

Harman/Kardon認定のサウンドは、スピーカーが裏にあるので、机など反射する素材にもよるが、パワーがあり低音もそこそこ出る。また細かい音もそれなりに聴こえ、ノートPCとしては優秀だ。

4C/8T、16GB、NVMe SSD、dGPUで快適な性能

OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面は1画面+α。2つあるASUSグループが追加分となる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

4コア/8スレッドのCore i5、メモリ16GB、dGPU、NVMe SSDと、ノートPCとしてはハイエンドな仕様なので、非常に快適に操作できる。

ストレージは512GB NVMe SSDの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G」。Cドライブのみの1パーティションで、約475GBが割り当てられ空きは443GB。BitLockerで暗号化されている。

Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。ディスプレイアダプタにIntel UHD Graphics 620とNVIDIA GeForce MX150の文字が見える。

おもなプリインストールソフトウェアは、「AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「McAfee Securty」、「MyASUS」、「PhotoDirector for ASUS」、「PowerDirector for ASUS」、「WPS Presentation/Spreadsheets/Writer」など。「MyASUS」は画面補正のSplendidなど、以前バラバラだった同社製のツールを1つにまとめたものだ。

ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

 おもにiGPUとdGPUの比較用として、カッコ内にASUS「ZenBook 13 UX333FA/UX333FA-8265RBG」のスコアも掲載している。

ベンチマーク ZenBook S13 UX392FN ZenBook 13 UX333FA
PCMark 10 v1.1.1761
PCMark 10 Score 4,269 3,928
Essentials 8,389 8,382
App Start-up Score 11,175 11,611
Video Conferencing Score 7,017 7,036
Web Browsing Score 7,531 7,209
Productivity 7,348 6,231
Spreadsheets Score 8,973 7,390
Writing Score 6,018 5,254
Digital Content Creation 3,426 3,150
Photo Editing Score 3,638 3,862
Rendering and Visualization Score 2,850 2,144
Video Editting Score 3,881 3,778
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.0 3,695 3,420
Creative Accelarated 3.0 3,835 3,541
Work Accelarated 2.0 5,062 4,799
Storage 5,017 5,023
3DMark v2.8.6546
Time Spy 957 455
Fire Strike Ultra 431 293
Fire Strike Extreme 1,285 559
Fire Strike 2,580 1,184
Sky Diver 8,882 4,709
Cloud Gate 12,069 8,934
Ice Storm Extreme 68,254 32,489
Ice Storm 69,600 45,489
CINEBENCH R15
OpenGL 90.41fps 53.95fps
CPU 764 cb 679cb
CPU(Single Core) 191cb 156cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード 1731.180 MB/s -
Q32T1 シーケンシャルライト 1327.915 MB/s -
4K Q8T8 ランダムリード 790.138 MB/s -
4K Q8T8 ランダムライト 306.360 MB/s -
4K Q32T1 ランダムリード 321.953 MB/s -
4K Q32T1 ランダムライト 428.986 MB/s -
4K Q1T1 ランダムリード 40.854 MB/s -
4K Q1T1 ランダムライト 114.768 MB/s -
BBench(キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量2%まで 14時間54分51秒 -

全体的に、ノートPCとしてはハイスコアだ。ZenBook 13 UX333FA/UX333FA-8265RBGのスコアと比較すると、一般的なアプリケーションではそれほど差は出ないものの、3D系だとかなりの差がある。テスト内容によるが、約2倍前後だろうか。これだけ違えば、用途によっては本機を選ぶ理由に十分なりえる。

バッテリ駆動時間は、キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリ節約機能で残2%まで14時間54分51秒。仕様上の最大約16.4時間にはおよばなかったものの、輝度0%でも、室内であれば十分明るく、実際でも同等に動きそうだ。

以上のようにASUS「ZenBook S13 (UX392FN)」は、Whiskey Lake世代の4C/8T Core i5、メモリ16GB、NVMe SSD 512GB、13.9型超狭額縁ディスプレイ、そしてdGPUとしてNVIDIA GeForce MX150を搭載したノートPCだ。これだけ搭載して実測で1,157gはかなり軽く、またiGPUとdGPUの差は3DMarkでほぼ2倍と結構違う。

キートップの刻印が見辛いのは気になるものの、総じて完成度は高いノートPCに仕上がっている。少し高額でも、薄くて軽くて狭額縁でdGPU搭載機を求めているユーザーにおすすめできる1台だ。


2019-05-31 01:32:42