ThinkPad X390に「完全に一致」するモバイル液晶を導入してみた:電脳オルタナティヴ

最近、流行のモバイルディスプレイ。どれを選ぶか迷いますよね?

最近、ThinkPadの記事をばかり書いているモノ系ライターのナックル末吉です。さて、本日はEngadgetや各方面でも流行になっている「モバイルディスプレイ」のお話。筆者的には自宅では当然のようにマルチディスプレイ環境で作業しているのですが、ThinkPadの完成度が高いこともあり、わざわざモバイルにまで別体のディスプレイを持ち歩くこともないのでは? というのが筆者の考えだったのですが、やはり海外イベントなどの長期出張や、出先でのヘヴィな作業にはあったほうが便利なのは言うまでもありません。

しかも、このモバイルディスプレイという市場ですが、ここのところ中国製の安価で高性能な製品がアマゾンを席巻しているじゃありませんか。メーカーだけでなく、仕様や価格まで様々すぎて「正直どれを選んで良いか解らないぞ?」というのが筆者にもありましたが、色々リサーチを進めるウチになんとなく見えてきたので、独自レポートしてみます。

モバイルディスプレイの主な目的

基本的には、ノートPCに接続して、出先でも手軽にマルチディスプレイ環境を構築しようという人が多いかと思います。ただ、モバイルディスプレイの活用方法はそれだけではなく、例えば出先でPS4やNintendo Switchを接続して大人数で大画面を観ながらプレイしたり、スマホやタブレットの画面をキャストするなど、様々な活用方法があるのも事実です。

モバイルディスプレイの主な特徴 軽い!

給電方法が多様

低消費電力

簡易的な接続方法

サイズ・解像度の種類が多い

安価な製品が多い

こうして羅列してみると大したことはないようにみえますが、やはり軽量コンパクトという点が「モバイル」たる所以でしょう。デスクトップ用のディスプレイみたいに、ゴツめのスタンドや高剛性のベゼルは採用されていないため、1kgオーバーあるのは稀で、おおよそ数百グラムといった重量感がボリュームゾーンのようです。

次に、給電方法ですが、モバイルディスプレイのほぼほぼがノートPCで使用されているパネルを流用しているため、基本的には低消費電力に抑えられています。つまり、デスクトップ用のディスプレイのように電源を100Vのコンセントにブッ挿す必要ナシ。ノートPCやモバイルバッテリーからの給電で駆動できてしまうので、まさに「モバイル」のために生まれたディスプレイということになります。

また「安価」なのは消費者としては大歓迎ですね。あくまでも「持ち歩く」以上、最悪破損しても涙の量を少なめにできる価格帯が多いのもモバイルディスプレイのメリットです。

ついに筆者も禁断のモバイルディスプレイの世界へ

別に「禁断」ってほど大したことではありませんが、一度その利便性を味わってしまうと、ノートPCの1画面に戻れなくなってしまうのではないかという危惧はありました。なので、当面はノートPCの1画面で行くつもりでしたが、なんとなくビッグウェーブに乗りたくなり、多種多様のラインナップがある中、自分なりにこだわったモバイルディスプレイを購入することにしました。基本は、筆者はいま試用しているThinkPad X390に最適化しようというコンセプトです。

筆者がモバイルディスプレイに求めたコンセプトは以下の通り ThinkPad X390同じ画面サイズ(13.3型)

ThinkPad X390同じ解像度(フルHD 1920×1080)

ThinkPad X390同じドットピッチ(165dpi)

Thunderbolt3対応

「だからなんだ?」という話でもありますが、解像度やサイズが違う画面を2枚左右に並べたときにドットピッチが違うのは、まぁ慣れっ子なんですけど、せっかく新しい環境を新調するのであればということで、ジャストな画面を並べてみたい衝動に駆られました。

それと、13.3型じゃ「小さい」という意見もあると思うのですが、画面サイズが大きいほうが老眼には優しいものの、大画面は重量や本体サイズとトレードオフなのは言うまでもなく、高解像度は消費電力やマシンパワーに依存するので、やはり携行性などを重視してX390と同サイズとしました。

接続方法ですが、なにやら界隈の話を聞いているとUSB給電+MINI HDMIとかビミョーに煩雑なイメージがあったので「Thunderbolt 3」で一撃必"挿"を狙いました。(後述しますが、これは大正解!)

別にもったいつけるほどじゃないんですが、要件に沿うモデルがアマゾンで3000円引きのクーポンが目についたのと、本体単体で約500gと軽量で、少なくとも及第点はクリアしていると思いポチりました。それと、「HDR連携」という謎の機能が気になったところ。締めて1万8800円となりました。

メーカーはなにかとアマゾンを席巻している「cocopar」製。499gの30.9×19.7×0.9cmというサイズ。スペックは13.3型フルHDで、有効表示領域:294×166 mm、視野角:178°、スピーカ:8W×2、輝度(標準値):400 cd/m2、コントラスト比(標準値):1000:1、インタフェースタイプ:MINI HDMI/3.5mmヘッドホン/USB-C(Thunderbolt 3/USB 3.1)/給電USB-C。開封すると、恐らくドライカーボンをイメージしたでああろう編み模様が、どう見てもオッサンが持っているようなダンディなクラッチバッグ風のケースがコンニチハ。

で、イマイチなケースはとっととめくってディスプレイ本体をチェック。筐体は軽量な樹脂性ではあるけど、ヘアライン加工が悪くない。裏面にはカバーをかけるための凹みが。

同梱されている接続ケーブルは4種類。左から「Thunderbot 3」「USB-A Type-C」「イヤホン延長ケーブル」「HDMI-MINI HDMI」に加えてUSBコンセント。このあたりは、特に過不足なく。

それではThinkPad X390に接続してみましょう!

まずは絵面を見て下さい。どうですか、この完全に一致したジェミニ感は! Thunderbot 3ケーブル1本挿し込むだけという手軽さが出先での煩雑さを軽減してくれます。ケーブル類も複数もちあるくと、やはり重量コスト増につながりますからね。シンプルなのにこしたことはありません。

まぁ同サイズ同解像度だからといって、横真一文字に並べて作業する必要なんてどこにもないので、あくまでもサブディスプレイとして「ながら」作業や、画像/動画編集など重作業のお助けになるのは間違いありません。視野角や輝度も文句ナシ。なんなら、X390のディスプレイより明るくてキレイに見えて困るくらいです。

で、気になる「HDR連携」とかいう機能。本モデルのOSDを開いてみると「HDR MODE」なるものがあり、コントラストと輝度のプリセットを変更できる模様。HDR MODEには「2084」と「AUTO」と「OFF」があり、「2084」が最も明るく高コントラストの様子。筆者の好みでもあったので、それにセットしていたら、肝心のTihnkPad X390の画面が暗く感じてしまうジレンマに。

気になるモビリティ面

「モバイルディスプレイ」というぐらいなので、持ち歩いてナンボ。ということで、気になる大きさと重さですが、本モデルにカバーをつけて、ThinkPad X390と重ねると横幅はほぼ同一。縦が2cmほど短い程度。サイズ的にはX390を2冊持ち歩くイメージで間違いないでしょう。ただし、重さは1.5冊分といったところ。

筆者が普段、買い物にノマドに通院に愛用しているミニトートにも、なんとか2冊スベリ込みます。さすがにファスナーは閉まりせんが、2画面のガチ環境がコレに入るなら合格点。また、みんな大好きリュックへのスロットインは、どこでも見かける風景に。

もちろん不満点はある

筆者的に総じて大満足な本モデル。しかし、2万円以下でこれだけのクオリティなので、やはり細かいところで不満点はあります。まず、付属しているThunderbolt 3ケーブルが約70cmしかないこと。これだと、画面に向かって左側にThunderboltコネクタがあるThinkPad X390と真逆の右側にコネクタが配置されている本モデルとの相性が悪く、この長さだと、並べ方によってはケーブルが突っ張ります。別にサブディスプレイが必ずしも右になくてはならない理由もないんですが、筆者の場合は右が定位置なので、余裕を持って1mのケーブルを買い足しました。 まぁサブディスプレイをX390の左に配置すれば問題ないのですが、このケーブル類のゴチャり感に巻き込まれるのは美しくないと思い、やはり右側に置きたい衝動に駆られます。

それと、もう一つ大きな不満が。このケースってただの樹脂性というか、特に滑り止め加工とかされていないのは、安物製品のお約束。なので、滑って「パタムっ!」とディスプレイが倒れちゃうのですよ。これが本当にストレス。特に上記の画像のように左置きした際に、ケーブルで押されたりして不意に倒れてしまうのです。別に壊れたりはしませんが、パタパタママじゃないんだから、簡単に倒れてしまうのは本当にストレスフルですよ。

そこで、一計を案じた筆者がとった施策。まずはこんなモノがアマゾンから着弾します。

模型やクルマ関係のD.I.Y.をやるような人にはお馴染みの溝が掘ってあるゴム。素材の縁取りなんかによく使われるパーツですね。普通ならホームセンターや100均でも売っているのですが、今回は諸事情によりサイズ感さえ解らないものをアマゾンでオーダー。

はい、もうお解りですね。先ほどのツルツルテカテカなキックスタンドの先端にこのゴムを挟み込みます。サイズを確認せずに買ったので不安はありますが、なんと専用品並にドンピシャ。

ってことで、完全無欠とはいきませんが、間違いなくスベリにくくなり、「パタムっ」と倒れてしまうこともほぼなくなりました。ただし、あくまでも加工は自己責任というのはお忘れなく。例え失敗しても溝ゴムはいくらでも入手可能ですが、ケース単体での入手はほぼ不可能と考えたほうがいいでしょう。しかし、あの「パタムっ」のストレスから解放されるのであれば、こんなのリスクのうちに入らないと感じる筆者なのでした。