2019年発売の全てのChromebookがLinux対応に

Googleは5月7日から9日まで開催した「Google I/O」で、「2019年発売の(Chromebook)はそのままの状態でLinuxが使えるようになる」と述べた。どういうことなのか?

2018年、Googleは「Chrome OS」でLinuxが利用できるようになると発表した。それ以降、Linuxが動くChromebookデバイスは増えている。今後、全てのデバイスで動くようにしていく、というのが今回の内容だ。これにはARMとIntelの両方が含まれる。

Chrome OSはLinux上に構築されているので、Chrome OSでLinuxが動くと聞いても驚きには値しない。Chrome OSはUbuntu Linuxのスピンオフとしてスタートし、その後Gentoo Linuxに移行した。そして、純粋なLinuxカーネル上にGoogle独自のものを構築した。しかし現在も、インターフェースはウェブブラウザ「Chrome」のUIのままだ。

以前は、オープンソースソフトウェアの「Crouton」を使えば、chrootしたコンテナの内部で「Debian」やUbuntu、「Kali Linux」を実行することはできた。あるいは、Chromebook専用に作られた「Xubuntu」ベースのサードパーティー製Linuxである、「Gallium OS」を使う手もあった。しかし、どちらも技術に詳しくない人には向かなかった。

今はこれが簡単になった。Search/Launcherキーを押してChrome OSアプリスイッチャーを開き、「Terminal」と入力する。これによりTermina VMが起動し、Debian 9 "Stretch"の Linuxコンテナが動く。

Debian Linuxはこのように簡単だが、Ubuntuはどうか?こちらはそう簡単ではないが、いくつかのシェルコマンドによりUbuntuを動かすことは可能だ。FedoraもChrome OSで動かすことはできる。Chrome OSでLinuxを動かす方法については、RedditにあるCrostiniのページに詳細がある。

ChromebookノートPCの上でのLinuxは起動時にどのOSを利用するかを選択デュアルブートオペレーションではなく、両方のOSが同時に動いている。つまり、Chrome OSのファイルマネージャー経由でドキュメントファイルをクリックし、Linuxセッションを開始することなくLibreOfficeで開くなどのことができる。

実際、最新のChrome OSのCanaryリリースには、ファイルマネージャを使ってChrome OS、Google Drive、Linux、そしてAndroidの間でファイルを共有できる機能が加わっている。

そのとおり、Androidもだ。Chrome OSは、以前からAndroidアプリにも対応していた。Chrome OSの最新のアルファ版では、Androidとの互換性が大きく向上している。

また、ポートフォワーディングによってLinuxとChrome OSのネットワークサービスを接続することもできる。これは例えば、Linuxコンテナの中でウェブサーバーを実行し、同じマシンでそのサーバーをデバッグできるということだ。

これはどんなときに便利なのだろうか。開発者であれば、答えは明白だ。これがあれば、1つのプラットフォームで、3つのOS向けに開発を行うことができる。例えば、Chrome OSに「Android Studio」をインストールするのもずっと簡単になる。

Chrome OS 77では、Androidスマートフォン向けのセキュリティ機能付きUSBにも対応している。このため、どんなAndroid開発者向けChromebookラップトップでもAPK(Android Application Package)ファイルを開発、デバッグ、プッシュすることができる。

3つのOSを同時に実行できるChromebookは一般ユーザーにとっても非常に便利なはずだ。例えば、Linuxの「GIMP」を使って画像を編集し、Androidの「Pinterest」を使って写真を見ながら「LibreOffice Writer」を使って文章を書き、同時にChrome OSで「Gmail」をチェックするなどということも可能になる。

AndroidやLinuxが使えるChromebookのラップトップは、これまでよりもずっと便利になる。Linuxがあらかじめ組み込まれたChromebookが数多く世に出れば、その年がLinuxデスクトップ元年になるだろう。それは2019年かも知れない。