ChromiumベースのEdgeブラウザーが公式プレビュー

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間4月8日、Chromiumエンジンを搭載したEdgeブラウザーの最初の公式バージョンを、Windows 10用にリリースした。最初のデベロッパー向け、およびカナリービルドは、ここからダウンロードできる。カナリービルドは毎日、デベロッパービルドは週1回のペースで更新される予定だ。もう少し経てば、ベータチャンネルも、そして最終的には安定版チャンネルのリリースも期待できる。

Microsoftは、このプロジェクトについて昨年12月に初めてアナウンスした。そのニュースは、やはりかなり物議を醸した。Microsoftは自らのブラウザーエンジンを棄ててまで、オープンソースのエンジンを選ぶのかと。しかも、オープンソースとはいえ、いまだGoogleの強い支配下にあるものを。そうなれば、ブラウザーエンジンはほとんど2つに集約されてしまう。GoogleのChromiumとMozillaのGeckoだ。

私は、先週あたりに出た最新版のビルドを使ってみた。Microsoftの新しいChromiumベースのEdgeブラウザーを使ってみて最も注目すべきことは、まったく注目すべき点がないように感じられることだろう。それは紛れもないブラウザーであり(最初のリリースにつきもののバグはいくつか見られるものの)期待した通りに動作する。それは良いことだ。Windowsユーザーであれば、新しいEdgeをデフォルトのブラウザーとして難なく使用でき、それは何事もなかったかのように動く。その一方で、少なくともこの段階のプロジェクトでは、Chromium版のEdgeを、Google自身のChromeブラウザと区別するものがほとんどない。

ただし、Windowsエコシステムへの統合が深まるにつれて、それもだんだん変化していくだろう。今のところ、これはほんとうに最初期のプレビューであり、ウェブサイトと拡張機能のデベロッパーに対して、サイトやツールのテスト環境を提供するためのものなのだ。

とはいえ、すでにMicrosoftの他のサービスと統合されている部分もいくらかは存在する。現在、Edgeのプレビュービルドをインストールする際には、新規タブのレイアウトを選択することができる。選択肢は、検索バーといくつかのブックマークだけを配置した非常にシンプルなものと、Bingのものに似た、きれいな写真を背景に設定できるバリエーションだ。さらに、Microsoft Newsの最近の主なニュースを表示する機能も、新規タブページをパーソナライズするオプションとして用意されている。

Microsoftによれば、タブの管理や、その他の特徴的なUIを強化する過程で、自社のブラウザーを他社のものから差別化する方法を検討していくということだ。

この最初のプレビューでは、いくらかの同期機能もすでに利用可能となっている。ただし、いくつかのヌケもある。たとえば、ブックマークは同期するが、機能拡張、閲覧履歴、設定、開いているタブ、アドレスやパスワードは同期しない。そうした部分は、今後のビルドで動くようになるはずだ。

今のところ、利用可能な検索エンジンはBingだけ。それについても、まちがいなく今後のビルドで変わるだろう。

Microsoftが優先しているのは、完全なエンドツーエンドのブラウザコードベースをユーザーに提供すること、Windowsの更新サイクルとは別に定期的な更新をプッシュし、同時にユーザーからテレメトリデータをプルすることを可能にするエンジニアリングシステムを構築することだという。

私が遭遇したバグのほとんどはマイナーなものだった。ただし、Netflixには何度も悩まされた。私が試した限り、他のすべてのビデオサービスは問題なく動くのだが、Netflixのホームページはしょっちゅうガクガクしたり、数秒間反応しなくなったりした。

まあ、それは例外だろう。新しいEdgeをデフォルトのブラウザーとしてほぼ1週間ほど使ってみたが、同じような問題に出会うことはめったになかった。ほとんどは、すでに「うまく動いて」いる。PDFもブラウザー内で、期待通りに読むことができる。Yubikeyによる2段階認証を使ってGmailにアクセスするのも、何の問題もなかった。複雑なウェブアプリも、素早く、問題なく動いた。私が日常的に利用しているLastPassなどの拡張機能も、シームレスに動作した。Googleのストアからインストールした場合も、Microsoftのライブラリからインストールした場合も、まったく同じだった。

いくつかのベンチマークも実行してみた。もちろん驚くべきことではないが、EdgeとChromeの最新バージョンは、実質的に同じ結果を示す場合が多かった。開発のこの段階で、ベンチマークについてうんぬんするのは気が早いが、それでも結果は期待を裏切らないものだと言える。

今回のリリースでは、新しいEdgeで拡張機能を利用する方法を、初めて公式に目にすることにもなる。Microsoftは、独自の機能拡張ストアを提供する予定だが、それはむしろ当然のこと。しかし設定を切り替えるだけで、サードパーティのマーケットプレイス、つまりChromeウェブストアから拡張機能をインストールして使うこともできるようになるのだ。拡張機能のデベロッパーは、自分のツールをMicrosoftのストアに追加したければ、基本的に既存のChrome用の拡張機能を、そのまま持ってくればいい。

Microsoftは、新しいEdgeを、当然ながらWindows 7とWindows 8でも使えるようにすると約束している。さらにMac版も登場する。ただし現時点では、この最初のバージョンは、64ビット版のWindows 10専用となっている。それ以外のバージョンの開発も進行中だが、Microsoftによれば、それらは単にWindows 10版ほど進捗していないだけだそうだ。また、この最初のリリースは英語版のみだが、ローカライズされたバージョンも近々リリースされるだろう。

もちろん誰でもこのリリースをダウンロードして試してみることができるのだが、Microsoftでは、今のところ技術に精通している人以外にはお勧めしない、と強調している。この最初のリリースは、はっきり技術者を対象としたものなのだ。しかし、これから数か月以内に、Microsoftがさらに機能の充実したベータ版を配布し始めるのは間違いない。そしてその時には、より広い範囲のユーザーに向けたものとなるはずだ。それでも今すぐ試したいのであれば、あなたの技術レベルはどうであれ、誰も止めはしない。