「HP ENVY 15 x360(AMD)」5モード変形でAMD Ryzen 5搭載の高性能15.6型2in1 PC

日本HPの「HP ENVY 15 x360」シリーズは、15.6型タッチ対応液晶ディスプレーと360度回転するヒンジを搭載した2in1 PCだ。利用シーンに合わせてディスプレー角度を調節することで5つのスタイルに変形して使用できるのが大きな特徴。プロセッサーにインテルの第8世代Coreプロセッサーを採用したモデルと、AMDの第2世代Ryzenプロセッサーを採用したモデルの2種類用意されているが、今回はそのうちAMDモデルの使い勝手やパフォーマンスを紹介していこう。

洗練されたアルミボディを採用

日本HPの個人向けPCブランドの中でも、デザインや上質さを重視しているのが「ENVY」シリーズだ。外見の美しさだけでなく、素材や加工にまでこだわって質感を追求しており、いずれの製品も凛とした独特の佇まいを持っている。

今回試したHP ENVY 15 x360(AMD)も表面に梨地処理が施されたアルミニウムを使用しており、金属ならではの高級感や剛性の高さ、手触りのよさが感じられるボディに仕上がっている。細部のこだわりも相当なもので、スピーカーグリルのパンチングが幾何学的なパターンになっていたり、ヒンジ部分にダマスカス鋼模様があしらわれていたりするのがユニーク。本体底面もムダな凹凸やネジ穴がなく、非常にスッキリしているのが印象的だ。

本体カラーは、落ち着いたダークアッシュブラックが採用されている。黒系でありながらも色味を感じさせるカラーのため無骨さや重たさはなく、おしゃれなカフェでも気楽に取り出して使える。ビジネスシーンからプライベートまで幅広く活躍しそうだ。

デザイン性を重視しているからといって、実用性や機能性をおろそかにしているわけではないのも高く評価できるポイント。インターフェイスはかなり充実しており、本体左側面に電源コネクターとUSB3.1 Gen1、電源ボタン、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート、SDカードスロットを搭載。また、右側面には音量ボタン、USB Type-C 3.1 Gen2、USB 3.1 Gen1、HDMI 2.0出力端子が装備されている。このうち、USB Type-CはPower Delivery 3.0にも対応しており、データ転送だけでなく、PC本体の充電や外部ディスプレーへの映像出力なども行えるようになっている。

用途や利用シーンに合わせて自由なスタイルで使用できる

本機には、360度回転するヒンジが搭載されており、ディスプレーの角度を変えることで「ノートブック」、「フラット」、「テント」、「スタンド」、「タブレット」、の5つのモードに変更できる。

そのうち「ノートブック」は、通常のクラムシェル型ノートと同じスタイルで使用可能。文章のタイピングに適したモードだ。

「フラット」は、ディスプレーを180度倒して天面をペタンと机にくっつけた状態。対面相手と一緒に画面を見ながらコミュニケーションするのに適している。設置面積が広くなるため机の空きスペースもそれなりに必要だが、「ノートブック」モードで使用している最中に指一本で変形できるのはとても便利。とくに打ち合わせなどで使うのが便利だと感じた。

「テント」は、ヒンジ部を上にしてテント状に開くスタイル。5モードの中ではもっとも設置面積が小さくなるため、空きスペースの少ない机の上にも置きやすいのが大きなメリットだ。キッチンの机に置いてレシピを見ながら料理したり、ソファのサイドテーブルに置いてWebや動画を見たりするのにちょうどいい。

「スタンド」は、キーボード面を下にして机につけ、ディスプレーを起こした状態で使用するモード。デジタルフォトフレームのような感じで利用できる。「テント」モード同様に閲覧メインになるが、こちらの方が設置面積が大きく安定感があってタッチ操作やペン操作がしやすい。ゲームやペイントアプリなどを使う場合は「テント」よりもこちらのスタイルの方がよさそうだ。

「タブレット」はディスプレーを360度回転した状態。本体の重量が2.11kgなので、長時間手に抱えて操作するのは正直つらいものがあるが、画面が広くて見やすいのはとても便利。とくに電子雑誌や電子コミックスを読むような場合は、細かい文字や絵柄も見やすくて快適だった。

ちなみに液晶ディスプレーは視野角の広いIPS方式のグレアパネルを採用しており、斜めから見ても色味の変化はきわめて少なかった。そのため、どのモードでも画面はとても見やすく感じた。タッチパネルの反応もよく、フリックやスワイプ、ピンチイン、ピンチアウトなどのジェスチャーもスムーズに行えた。

キーボードはキーピッチが約19mmあり、薄型ノートとしてはストロークも確保されている方。クリック感もしっかりあるため、タッチタイプがしやすく、文章入力が快適に行えた。テンキーが標準搭載されているのも嬉しいポイント。タッチパッドはクリックボタン一体型で、物理的なボタンがない分操作エリアが広く、スクロールなどもしやすかった。

第2世代のRyzenプロセッサーを搭載

「HP ENVY 15 x360(AMD)」のプロセッサーやメモリー、グラフィックス、ストレージの構成は次の通りになっている。

ちなみに第8世代インテルCoreプロセッサーを採用したHP ENVY 15 x360(インテル)は価格が9万3800円~(税抜)となっており、本機はそれより1万円近く安い。AMD Ryzenの採用によってかなりリーズナブルになっているが、パフォーマンスは十分なのだろうか?

そこで、いくつかのベンチマークを実行して性能を測ってみることにした。まず、Windows 10のシステム評価ツールを実行したところ、プロセッサが9.1、プライマリハードディスク(PCIe NVMe M.2対応SSD)が9という非常に高い結果になった。グラフィックスも8をマークしており、基本性能がかなり高いことがわかる。これを見る限り、第8世代インテルCore i5/i7とも十分渡り合えそうだ。

CINEBENCH R15では、CPUのマルチコアが616cb、シングルコアが139cbという結果。シングルコアはインテルのCoreプロセッサーに比べると少し低めだが、マルチコアはCore i7-8650Uあたりと比べても遜色ない。

続いてCrystalDiskMarkでストレージの性能をチェックしてみたところ、SSDはシーケンシャルリードが3265MB/秒前後になった。NVMe SSDだけあって非常に高速。また、セカンドストレージのHDDも同様にチェックしてみたところ、180MB/s前後となった。7200回転のHDDを搭載しているだけあって、ノートの内蔵HDDとしてはかなり高速な方だ。

次に、PCの総合的な性能をチェックするためPCMARK 10を実行してみたところ、総合スコアが3596になった。スコアの詳細をみると、基本性能を示すEssentialsが7386、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが5230と高い数値になっており、Web閲覧やOffice文書の作成などには十分すぎる性能を持っていることがわかる。クリエイティブワークの性能を示すDigital Content Creationも3000を超えているので、ある程度負荷の高い作業も快適に行えるはず。

グラフィックスは統合型ではあるものの、パフォーマンスに優れたVegaアーキテクチャーのGPUを搭載している。そのため、ライバルの第8世代Coreプロセッサーが搭載するインテル UHD グラフィックス 620よりも高めのスコアが期待できそうだ。

そこで、まず3DMARKでチェックしてみたところ、ゲーミングノート向けのテスト「Sky Diver」で7673、ミドルレンジパソコン向けの「Cloud Gate」で11469と、インテル UHD グラフィックス 620よりもかなり高い結果になった。とくに「Sky Driver」は8割近く高いスコア、ゲーミングPC向けの「Fire Strike」では倍近いスコアになっており、負荷の高いテストほど差がついている。

3DMarkの結果を見ると、ある程度グラフィックスに負荷のかかるゲームでもそれなりに快適にプレイできそうな印象。そこでドラゴンクエストX ベンチマークソフトも試してみた。

結果を見てわかるように、ドラゴンクエストXくらいならフルHDの最高品質でも快適にプレイすることが可能だ。

同様に「FINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者(リベレーター) ベンチマーク」も試してみた。

比較的負荷の高いFINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者(リベレーター)でも、標準品質なら快適に楽しめることがわかった。エントリー向けのゲーミングノートPCに搭載されるようなディスクリートグラフィックスに負けない性能は持っていると言えそうだ。

バッテリー駆動時間も十分

本製品のバッテリー駆動時間は、カタログ値で最大約10時間となっている。そこでバッテリーベンチマークソフト「BBench」を使って実際にどのくらい持つのかを計測してみた。なお、電源プランは推奨設定、電源モードは「より良いバッテリー」、画面の明るさは「40%」にし、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態からバッテリー残量7%で電源が落ちるまでの時間を計っている。

その結果、6時間31分の駆動が可能だった。ちなみに、Core i7-8550Uを搭載するHP ENVY 15 x360(インテル)の場合、カタログ値が約11時間、BBenchでの計測結果が9時間27分だったので、バッテリーの持ちに関していえばインテルモデルの方が有利だ。ただ、本機の場合も6時間以上持つので、会議や打ち合わせくらいなら残量を気にせず使用できるはず。普段使いには十分な駆動時間と言えるだろう。

コストパフォーマンスのよさが魅力的

AMD Ryzenプロセッサーを搭載することで高性能と高コストパフォーマンスを両立した「HP ENVY 15 x360(AMD)」。

日本HPの直販サイトでは、本稿執筆時点でお買い得キャンペーンが実施されており、メモリー8GBの場合、通常より2万円お得な8万4800円(税抜)で購入することができる。また、キャンペーン特典としてプラス5000円で16GBメモリーにアップグレードすることが可能。その場合でも税抜き価格が8万9800円と9万円を切り、性能や上質なデザインを考えると非常にリーズナブルだ。洗練されたデザインのノートを探している人は、この機会に購入を検討してみてはいかがだろうか。