完成間近のWindows 10「19H1」に“ファイル消失問題”は反映されているのか

Windows 10の次期大型アップデート「19H1」(バージョン番号は1903)が間もなく配信開始になるとみられている。Microsoftは3月20日(米国時間)にWindows Insider Program参加者のFast Ringユーザー向けにWindows 10 Insider Previewの「Build 18362」の配信を開始しており、続く22日にはSlow Ringユーザー向けの配信も開始している。

実質的に開発途上ビルドの更新は1週間近く停止している他、正式リリース間近のサインとなるデスクトップ画面右下のウォーターマークはすでに消え、現在のところ新ビルドでの更新内容も軽微なバグ修正に留まっている。

「Build 18362」が「April 2019 Update」相当ビルドか

これが最終版であるRTM(Release To Manufacturing)に相当する候補ビルド(Release Candidate:RC)だと報じるメディアもあるが、おそらく正式版のリリースは25日の週の後半、ビルド番号がもう1つ上がるか、もしくはバグ修正を中心としたパッチ配布でマイナーバージョンが若干上昇してのRTM到達になる、と筆者は予想している。

Windows 10の大型アップデートでは、現行のOctober 2018 Update(1809)のファイル消失問題で配信再開が大幅に遅延したこともあり、AdDuplexが示す2019年2月末時点でのWindows 10でのバージョン別シェアではOctober 2018 Updateはわずか21.9%となっており、歴代のWindows 10大型アップデートにおいても最も遅いペースでの上昇となっている。

「Windows as a Service」を掲げ、OSの最新状態を保つことを目標に掲げているMicrosoftにとって、このつまずきは大きなマイナスに作用しており、おそらく「19H1」においても「配信即アップデートは危ない」との認識から、少なからずアップデートの遅延を呼び起こすことになる。Microsoft自身も慎重になっていると思われ、3月末ギリギリまでGOサインは出さないという予測だ。

なお、現時点でまだ正式名称が発表されていない「19H1」だが、順当に「April 2019 Update」の名称が冠されることが予想されており、一般向け配信は4月上旬のいずれかのタイミングが見込まれる。前回の教訓から、慌てず急がず、適切なタイミングにアップデートされるのを待とう。

Windows 10 Homeのアップデート猶予が緩和される?

前述したように、October 2018 Update(1809)における問題は、トラブルの対象となり得るユーザーがWindows Updateを介して大規模アップデートを実施した際に発生するものだった。

Microsoft側の説明によれば、強制アップデートによってOctober 2018 Updateになる前に配信を停止したということで、「Windows Updateを手動で実施」しなければ問題に遭遇しなかったということになる。つまり、配信が開始されても実際に適用するためのリードタイムがある程度確保されていれば、その間に問題が解決されてトラブルが回避できる確率が高くなっていたわけだ。

こうした大規模アップデートに限らず、Windows Updateは毎回トラブルの種になる。「勝手にアップデートが始まっていた」「朝出社してPCの電源入れたらアップデートが継続していて業務がすぐにスタートできない」「アップデート後に不具合が噴出して対策を余儀なくされる」といった話はよく聞こえてくる。

最初の「勝手にアップデート」については「アクティブ時間」の設定を行っていないユーザーの問題ではあるが、アップデートの適用タイミングを自分で調整できないWindows 10 Homeの場合は割と悩ましい話だろう。

企業利用を想定しているWindows 10 Proでは、最大30日という品質更新プログラムの適用延期の他、35日間の更新機能停止という対策がとれるため、業務の繁忙期やPCの連続稼働が必要なタイミングなどでアップデートによる再起動を防ぐことができる。

Windows 10 Proの30日(もしくは35日)延長は緊急回避手段ではあるものの、意図しないタイミングでのアップデート回避に有効なのは間違いない。注目は、これについてWindows 10 Homeにおいても「35日延期」オプションが追加される可能性があると報告されていることだ。

Redditへのあるユーザーの書き込みによれば、「19H1」(1903)に該当するWindows 10 Insider Previewのウォーターマークが消滅した開発途上ビルドにおいて、従来であれば最大7日間までしか延長できないアップデート猶予期間が、Windows 10 Homeにおいても最大35日まで設定可能になっていたのだという。

ただしいくつか条件があり、すべてのWindows Insider Program参加者が対象ではないこと、クリーンインストール後に当該オプションが出現したということが記されている。

ZDNetのZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏がMicrosoftの公式コメントとして紹介した話によれば、Windows Insider Programはさまざまなテストを行うための環境であり、そこで登場した新機能や変更点が、将来のWindowsに反映される可能性があることを示唆していたという。

一方で、今回の35日オプションはあくまで一部のユーザーを対象にした導入テストの一環であり、19H1のタイミングで導入されるというよりは、フィードバックを経て将来のいずれかのタイミングで導入される可能性がある……程度の認識でいいのかもしれない。