「Windows 7」サポート終了控え、「Windows 10」への移行状況は?

間近に迫った締め切りほど、集中力を高めてくれるものはない。これはジャーナリズムの世界だけではなく、ITの世界でも同じのようだ。

Microsoftは、「Windows 10」搭載デバイスが8億台を突破したと発表した。こうした数字の意味を深読みしすぎるのは危険だが、この数カ月で移行が進んでいるように見えることは確かだ。この数字が6億から7億になるまでには9カ月近くかかったにもかかわらず、7億から8億までは5カ月半しかかかっていない。リリース直後の時期(一般ユーザーが無料でアップグレードできた時期)ほどではないとしても、この数字は勢いが増していることを示している。

Windows 10の導入ペースが加速している理由の1つは明白で、「Windows 7」の終焉が間近に迫っていることだ。Windows 7に対する延長サポートが終了するまで、もう1年を切っている。

Windows 7は依然として多数のPCで動いており、その多くは企業で使われている。このOSは、信頼できる製品として10年近くも利用されてきた。

一部の企業は、メインストリームサポート終了後もWindows 7を使い続けようとするかもしれないが、それにはコストがかかる。そしてそのコストは、時間の経過とともに上昇していく仕組みになっている。多くの企業では、時代遅れの古いソフトウェアの追加サポートに高額な料金を長期間支払い続けることは、財務の観点から正当化しにくいだろう。また多くの組織では、メインストリームサポートの対象ソフトウェアだけを使用するというポリシーが整備されるはずだ。

ほかのプレッシャーもある。例えば英国政府は、同国の国民医療制度を運営している国民保険サービス(NHS)に対して、Windows 10へのアップグレードを2020年1月までに終了させるよう促す取り組みを明らかにした。その対象から外れたデバイスについては、それ以降OSのアップグレード費用を提供しない可能性があると報じられている。

移行が必要になるのは、大規模な組織だけではない。IDCは最近、大量のWindows 10への移行プロジェクトが2019年中に駆け込み的に行われると予想しており、特に多くの古いPCを抱えている中小企業で移行が進むとしている(お気に入りのWindows 7が使えなくなることに文句を言っているユーザーは、真新しいノートPCが手に入って喜ぶかもしれない。IDCが発表したPC市場に関する予想はおおむね悲観的だったが、数少ない明るい材料の1つとして、デスクトップPCはノートPCに転換されつつある可能性が示唆されている)。

Microsoftは間もなく、Windows 7ユーザーにアップグレードを促すメッセージを表示し始める。また、「サービスとしてのWindows」へ移行に対する懸念を抑えるために、(最近打撃を受けた)Windows 10のアップデートの信頼性を信じさせようとするキャンペーンを展開するだろう。Microsoftはユーザー全員をWindows 10に移行させたがっている。同社には、サポート業務を合理化するだけでなく、「HoloLens」などの新しい技術の利用を促進させたいという思惑もある。

企業が急いで移行プロジェクトを進めていることを考えれば、2019~2020年の頭にかけては、引き続き速いペースでWindows 10の導入が進むだろう。このペースでいけば、当初の計画から18カ月遅れではあるが、近々Windows 10のユーザーが10億人を超える可能性もある。